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私の前で命を馬鹿にするな

「せんせー、あたし達に話ってなんですかー?」

「もうカウンセリングとかいうの終わったんですよね?」

「それなのに1人で私らに会っていいんですか?カウンセリングの時だって教頭先生とか一緒だったのに」


表面だけ聴いたら先生を心配するか非難するのか、意見が分かれることだろう。


場所は保健室。時間は放課後。現在部屋の中にいるのは、彼女たち3人と片山養護教諭のみである。

いかがわしい想像でもしてるのか、ニヤニヤとした表情と雰囲気を纏って話すのは、このグループのリーダー格だろうあいつだ。

アレのせいで二河さんは屋上で手すりを乗り越えて僅かな勇気をだすところだった。


人が、死にかけた。それだけのことを、した。


「あぁ、今なら他には誰もいない。用件をすましてしまおう。教頭もいないから、正直に楽に話してくれて構わない。君たちは、今回の件何を思った?」

「カウンセリングの時も話しましたけど、二河さんがオーバーに受け取ったのが原因だと思ってまーす。だって、少し考えればわかるじゃないですか?いけないことだって。小学生でもわかるんじゃないですか?」

「そうだね。その後の顛末については、どうかな?」

「あれだって、あの子が大げさに騒いだ感じですね・・・」

「じゃあ、今回の一連の中で、君たちに非はない、ということでいいかな?」

「そうですね。常識的な考えを持ってれば誰だって思いとどまるとか、するでしょうし」

「そもそも、どういうこと?ってあたし達に話してくれればこっちだって答えますよ?あたし達が話してたのを聞いて、勝手になんかされて、全部あたし達の責任みたいに言われるのはちょっと。って感じです」


「そうか・・・。だそうだけど、君からは何かあるかな?」

私は保健室の備品倉庫にいた。彼女たちの声を聞くために。話す相手は片山養護教諭のみ、という状況に彼女たちも気を許したことだろう。出てきたのは反省とはほど遠い、二河さんを非難する声のみ。

それでは二河さんがあんな行動をとるまでにさせたのは誰だ、ということになるんだが・・・分からないのだろうか?


倉庫から出てきた私を見て、驚きと怒りをあらわにする3人。

「あんた、前にあたしらに説教くれた子ね。そんなとこで盗み聞き?あぁ、前も盗聴してたっけ。もしかして、趣味なのかしら?」

「侮辱罪」

「は?」

「脅迫罪。自殺教唆罪。傷害罪。犯罪強要罪。」

「なに、それ」

「二河さんから聞いた、あなた達の罪状。日常的に脅迫まがいの言動を浴びせて、今回は自殺をほのめかす言葉まで使った。実際に叩かれたりの暴力を受けたこともある。何より、この間私が録音した内容を改めて聞き返すと『わかってんだろーな?』などの実行を指示すると思われる、もしくはそうとしか意味が受け取れない言葉もあった。ひとつでも前科はつくけど、今回は量がすごいね。重い方で考えたけど、ここまでいくとは思わなかった」

「あんたっ・・・・!」

「そっちこそ、盗聴とかしてんじゃねーかよ!ふざけんな!」

「私は盗聴はしてないわ」

「はぁっ!?」

「自分の身を守るために証拠を集めただけ。何をしでかすか分からない複数の人間に対してなら防衛手段を持つのは当たり前じゃない」

そんなことをも分からないの?と言うと自分達が『何をしでかすか分からない人間』と言われたことに気付いたらしい。


「とりあえず言いたいことがあったからこの場を設けてもらったのよ。あなた達全員にね・・・・・。私の前で命を馬鹿にするなっ!」

最後の一言は本気で声を張り上げたから多少はこちらのペースになった。

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