事件の顛末
廊下に嗚咽が響く。時刻はとうに夕暮れ。放課後の誰も残っていない静寂に、彼女の声だけが消える。
「わた、し・・・・これか、らどうなる、ん、ですか?」
「まぁ貴方もあの行為に加担していた、と言われるか。または同じく被害者として扱われるか。どちらにしても多少は騒がれるだろうね」
「でもあの子らよりもマシでしょう、先生?」
「あの子たちは完全に一線越えちゃったからね。もしこの状況で動くとしたら、証拠をねじ伏せるだけの何かを出すか、それこそ人に言われてやった、とかの言い逃れかな?でなければ大人しく処分を受けるかだけど・・・・」
「ちなみに、先生。その処分ってどんな風になりますか?」
「・・・・・生徒に言うものじゃないんだけどなぁ。良くて保護者呼び出して厳重注意。悪ければ停学までいくかもしれない」
「どちらにせよ、処分があれば逆上してまた何かちょっかいがありそうですね」
「そんな・・・・・」
「あぁ、そういえば。あなたの名前聞いてなかったわ。私は高田幸よ」
「二河 美月です」
「二河さん、ここからは貴方と私で耐えなきゃいけないわ。あっちはこっちでもなんとかしておくから、がんばって」
「はい」
「で?」
「いや、なんでこんなことになったのかな、って」
その日の夕食後。私と康太、寮監の叔母は私の部屋に来ていた。とりあえず人数分のコーヒーを淹れる。
「さちちゃん、危ないことするならちゃんと相談してくれないとだめじゃない」
「危なくはなかったですよ。今回はいくつもカードがありましたし、なにより先生がいたので」
コーヒーを一口飲むと、2人も同様に口をつけた。
「俺はほとんど顛末を知らないままあの場に呼び出されたんだけど・・・・・」
「事前に何か言ったらごちゃごちゃと考えるじゃない。そういうの、あの場ではいらないのよ」
「私には、説明してくれるかしら?はじめからね?」
というわけで、掻い摘んで説明をした。
あのグループが日常的に二河さんという、女子に脅迫まがいのことをしたいた。また、康太に対して好意を持っており、その康太に構われている私も攻撃対象だったこと。その中で私を攻撃する文言の手紙を入れようとしていたこと、など。
はー。と息を吐き酸化して酸っぱくなったコーヒーを飲み干した。
翌日、屋上に立つ二河さんと対峙した。




