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とある日の教室で
キュッキュ、と紙にマジックを走らせる音が響く。
場所は夕暮れの教室で、私の他にも何人かの女子がいる。
アイツに対して次は何をしてやろうか?こうしたら泣くんじゃないか、などゲラゲラと笑いながら話しているのを尻目に私は最後の文字を書き上げた。
『いい加減にしろ』『チョーシのるな』『○ね』と、品のない言葉が書き綴られた、熱意のない手紙。どこまでも冷たいそれらを折っていく。簡単に四つ折りにして、女子達に渡す。
「よーし、そんじゃ入れよーか。どうする?全部イッキにいく?」
「えー、かわいそうじゃね?」
「ならさー、靴箱に入れてやろーよ。靴の中に砂入れてさー」
ゲラゲラ。ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ。
「ネズミの死骸とか入れてやりたいねー」
「触んのやだわー」
「コイツがやってくれるって。ね?お友達だもんね?」
「う、うん。そうだね・・・・・」
「ふーん、そんなこと考えてたんだ」
そう言って教室に入ってきたのは、ケータイを構えた高田さちだった。




