夕飯はロールキャベツ
今日は面接を受けてきます。第一志望通るか否か。
15:30。
今日は授業終了である。
「このあと遊びに行くー?」
「ごめんなさい、私部活あるんだぁ」
蘭が言い出しすみれも断っている。
「すみれは賞を取るためにも頑張るのだものね」
「私も今日は寮の手伝いをしないとかな」
「バラバラかー、明は?」
「お茶の一杯くらいなら付き合ってあげるわ」
「じゃあ私と明でカフェにでも行くかー」
「すみれは部活で私は買い物して帰る、と。すみれ、夕飯何がいい?」
「寮監さんからは何か言われてる?」
「旬の野菜が安かったら買ってきて、くらいだよ」
「旬かぁ…春キャベツとかかな?ロールキャベツはどう?」
「いいよ。作っておくね」
同時に叔母へ連絡を入れておく。するとすぐ返信がきて、『鶏ひき肉も多めに買ってきてね。あと、コンソメとトマトどっちがいいかしら?両方作る?トマトも作るならホールトマトもお願いします』と返ってきた。
「すみれ、ロールキャベツOKだって。でもコンソメスープとトマトスープどっちがいい?だって。どっちがいい?」
「トマトかなぁ・・・・・?」
「まぁ両方作るから食べれたらおかわりしてね」
そうして私はスーパーに向かった。
折りたたみんであったエコバッグを出しておいて、と。スーパーに着くまでに買い物リストが送られてきた。キャベツ一玉、厚切りベーコン、コンソメ、ホールトマト。そんなに多くない。キャベツあるからあまり重くならないように配慮されたな。とりあえずその通り買っていく。
「おかえり、さちちゃん」
「ただいま。言われた通り買ってきたよ」
「はいはい、レシートちょうだいね」
私が買い物をした時はレシートを必ず貰うことになっている。その額を返金してもらうためだ。もちろんそのレシートは寮の運営予算ノートに貼られる。月末になるとその支出額を計算するそうだ。
私は制服から着替えるために私室へ行く。その間に叔母は私がその日に出したお金を用意してくれるので受け取れば私は財布にダメージは受けない、ということになる。
「さて、今日はロールキャベツね。先に中身を作ってからキャベツで包んでいくわ。まずは野菜をみじん切りにしてね」
にんじん、玉ねぎをみじん切りにして鶏ひき肉と混ぜ合わせる。そこにナツメグとオールスパイスという香辛料を加えて、肉の臭みを消すそうだ。私がボウルの中でひき肉と野菜をこねている間に叔母はキャベツの用意。外側の大きな葉から使っていく。芯の出っ張りを包丁で切って、沸かしておいたお湯にくぐらせる。するとキャベツの色が冴えてきて柔らかくなるので取り出し、その上に私が肉だねを置く。葉の先の方に置いた肉だねを包むように巻いて、最後は感想パスタを刺して終わり。この作業を肉だねが無くなるまで続ける。
残ったキャベツは芯を落としてラップ出包んで冷蔵庫へ。出来上がったロールキャベツはバットに並べられ、味違いに煮込まれる。2つの鍋に水を沸かして、それぞれホールトマトとコンソメ、コンソメと醤油を入れる。そこにロールキャベツを沈めていって、落としぶたをして煮込む。あんまり火を強くするとキャベツが破れてしまうので中火でコトコト煮込む。ある程度煮たところで厚切りベーコンを投入。更に味が加わるのだとか。
あとはサラダを作ってご飯を炊いたら、夕飯の支度はおしまい。
18:00過ぎくらいになると、少しずつ外から音が聴こえてくる。皆が帰ってきたらしい。そうしてロールキャベツを皆で食べる。おかわりは取り合いになった。
私とすみれは味違いで一個ずつにしたのでまぁ大丈夫。なお、食べ足りない人は叔母の「リゾットにしても美味しいわ〜」の一言で残りのスープまで取り合うことになった。
私の一日は大体こんな感じ。今日はお皿の片付けとかもしなくていいって言われたので、他の人にお任せだ。学校からの課題も終わらせたし何もやることはない。
なんとなく、すみれからもらった赤いシュシュは手首に着けている。もしりこがいたら、すみれとも仲良くなっていただろう。蘭や明とも。そんなもしもを想像して、涙を流して、私は眠りに落ちた。




