普段の朝に彩りを
8:30。学校に到着。すみれと一緒にクラスに向かうと蘭や明が話していた。
「おはよ〜2人とも。あれ、さっちー髪乱れてるよ」
「なんだか珍しいわね。まとう雰囲気が普段とは違うわ」
「おはよう、さっき突風吹いてたからそのせいかな」
「おはよう、蘭ちゃん明ちゃん。まだ時間あるし髪やっちゃおうか。少しいじってもいい?」
「うん、お願い。ありがとう、すみれ」
すみれは自分の席に荷物を置くとシュシュを持ってやって来た。私も逆らわずすみれの言う通りにする。
しゅっしゅっとクシが私の髪を梳かす。
「う〜ん、編み込みもいいなぁ・・・・でも残り時間だと・・・」
「そのシュシュを使うの?あえて根本じゃなくて髪の先の方でアクセントにしたらどうかしら?」
「お、いいじゃ〜ん。見たい見たい」
席の後ろでワヤワヤと話している。言われた通りにされると私、幼く見られないだろうか?
「普通にまとめてくれればいいよ?」
「だ〜め。だって楽しいんだもん」
音符が飛んでそうな上機嫌で言うすみれ。
「でもすみれの気持ち分かるわ。さちの髪の毛さらさら。絹みたいな手触りね。いつまでも触ってたいわ」
「どれどれ・・・・?お、すごいねこれは!」
そうして髪をなでられいじられ、時間が経過していく。まぁ髪はまとめてもらったし、いいか。と放っておく。
「あ、ごめん。さっちー・・・・ボサボサになっちゃった」
「・・・・あ〜」
すみれから残念そうな声が聞こえた。
「いいよ。すみれ、シュシュありがとう。洗ったら返すね。それとも新しいの買ったほうがいい?」
「いいよ〜。元々さちちゃんにあげるつもりだったし、手作りだから既製品とは釣り合わないよ」
「「すみれの手作り!?」」
「え、なにその反応」
「中学時代からすみれは色んな美術コンの常連でさ」「そんな彼女が手ずから作った物は総じて価値があるわ」
「あ〜・・・・中学までの話で、まだ高校では賞とってないしなぁ」
「すみれって・・・・・すごかったのね」
ちょっと失礼か。
「でも、そうだね。これからも頑張るし。そのシュシュに価値を持たせるためにも、次のコンクールは頑張るよ」
そうして朝のホームルームが始まる。ちょっとだけ違うのはモノクロだった私に小さな赤い彩りが加わったこと。




