放課後の先約?
「ねぇ、さちちゃん」
「なに?」
「来てるけど、いいの?」
「やだなぁ」
ある日のお昼休み。お弁当をいつものメンバーで食べ終えてすぐのタイミングでやってきた。
私はゆっくりとお弁当箱を片付けて、お茶を一口飲んだ。はー、とため息をついてから立ち上がる。
「何か用?」
「えっと、今日一緒に帰れないかなって思ってさ」
「先約があるから、嫌よ」
「先約って、なに?」
「あら、プライベートに介入するの?」
「そういうわけじゃ・・・・」
「じゃあ、いいわね。用はこれだけかしら?」
「待ってくれ、先約っていうなら明日。明日ならどうだ?」
「・・・・もう好きにすればいいわ」
「よしっ、じゃあ明日の放課後空けといてくれよ」
言いたいことだけ言って去っていく康太。
「なんていうか、大丈夫?」
「大丈夫ではないわね・・・」
「本当に強引なのね」
蘭と明ぎやや同情するように声をかけてくれる。
「今日は、何かあったっけ?また晩ご飯のお買い物?」
「買い物は叔母から連絡があって、大丈夫らしいから、何か考えるわ」
「それならさ、私の部活見に来ない?見学者はいつでも歓迎してるから」
とすみれ。
「すみれは美術部だったわね。いいの?」
「ちゃんとマナーを守って、静かに見学するなら大丈夫だよ。ちょっと退屈かもしれないけど」
「すみれちゃんの活動が見れんの?ならあたしも行きたいわ」
「私も。静かにしてるから、いいかしら?」
「うん、一応部長にも伝えておくね」
と、ケータイでポチポチと何かを打ちはじめた。
「うん、大丈夫だって。なんだったら体験もしていいよって」
「体験?」
「美術部ですから。絵も描いていいし、造形もやっていいって。活動に仮参加してみない?」
なんだか面白そうだ?
「じゃあ、放課後派お邪魔するわね」
こうして美術部訪問が決まった。




