名前呼び
「ただいま、遅くなってごめんね」
「あら、大丈夫よぉ。事前に連絡ももらってたしね」
「高田さんおかえりなさい」
「夕飯の支度は?」
「終わってるから大丈夫よー。気にしないで、着替えてらっしょい」
「うん、ありがとう」
そうして私は制服を着替えに部屋へ向かった。
ジーンズにTシャツという少しラフな格好に着替えて、夕飯の配膳を手伝った。
今日の夕飯は肉じゃがにきんぴらごぼう。野菜がたっぷり摂れるメニューだ。調理工程は見たかったが、仕方ない。1人分の肉じゃがをお皿に盛ってはトレイに乗せて運ぶ。時間になると寮生の皆が集まってきた。
「おー、肉じゃがだ。今日も高田さん作ったんかな?」
「今日はさちちゃんはお休みだったので、私がつくりましたー」
「美味しいことには変わりないよ。高田ちゃんはどこか行ってきたの?」
「は、はい。その。クラスの新しい友達と買い物に・・・」
「へー、よかったね」
先輩たちには笑顔で言われた。すると花谷さんが
「高田さん、私も知ってる人?」
「蘭と明。杉元 蘭と桐ヶ谷 明。知ってる?」
「知ってるけど、ちょっとモヤっとした」
「もや?」
「二人のことは名前で呼んでるのに、私のことはまだ苗字呼びだなーって」
「ごめんなさい、花谷さん・・・・じゃなくて、すみれ」
「うん!私もさちちゃんって呼んでいい?」
「もちろん」
「女子同士の友情、いいなぁ」
「男臭くないしな」
「むしろいい匂いしそうだわ」
「変態どもだまれ」
「「「さーせん」」」
こうして、私のはじめてのバイトのお休みはとても楽しい日となった。




