蘭と明
「それで、どこのクレープ食べに行くの?私この辺りの地理ってまだそんなに把握してないんだけど・・・・・」
申し訳ないが、学校とスーパー、寮の往復だけで生活は成り立ってしまうのだ。
「ありゃ、そうなのか。それなら今日は駅前のモールに入ってるクレープにしようよ。いいのね、アキ?」
「私はどこでも大丈夫よ」
「モールなら色々お店も入ってるからさ。さっきも言ったけど大きい本屋もあるし、フードコートもあるし、服とか雑貨も見れるよ。何時までに帰りたいとかある?」
「一応寮で暮らしてるからあんまり遅くなるのは・・・5時くらいまでなら平気だと思うわ」
「おっけ、行ってクレープ食べながら歩いて、色々見て回ろうぜ」
そう言って蘭はニッコリと笑った。
学校近くのバス停からバスに乗り、駅前に到着する。バスの中ではクレープのメニュー表を見てなんのクレープにしようか、一口くれないか、とおしゃべりをしていた。
そうしてついたのが駅前モール。商業施設がたくさん入ってるし、映画館まであった。明からは「今度は映画も観たいわね」と言っていたが、映画好きなのだろうか。
そうしてやってきてのはフードコートに入ってるクレープ屋さん。メニュー表は見ていたが種類が多いのが特徴で、定番は抑えつつもフリートッピングというシステムもあり自分で好きなクリーム・具材・その他を好きなだけ選べるそうだ。勿論、値段は頼めば頼むほどするが、楽しさの方が勝ったらしい。
まずは蘭が注文をする。
「フリートッピングで。カスタード、いちご、チョコレート、バナナ、マシュマロ、アーモンドで」
ちなみにフリートッピングの場合種類に関わらずトッピング1つで100円増し。生地+クリームのいわゆるベースになるものが300円だそうだ。5種類トッピングなので、これで800円。
蘭のクレープが出来たのを確認してから明も注文する。
「キャラメルバナナ、ブラウニートッピングで」
こちらはシンプルながらもはずさないチョイスなんだろう。こちらは700円。
「次のお客様、お決まりでしたらどうぞー」
「えっと、ベリーヨーグルトで」
生地にヨーグルトらしきソースが塗られ、ブルーベリーのジャムと冷凍のベリーが乗せられた。それをクルクル巻いて出来上がり。こちらは600円。安くないかこのお店。
全員分のクレープが揃うのを待ってくれている蘭。そこに明と一緒に私も合流した。
「明はいつもと同じじゃんー。高田さん・・・・さちって呼んでいい?名前さちだったよね?」
「うん、高田幸。名前でいいよ」
「ありがとー。さちのはさっぱり系だけど美味しそうだね。あとで一口ちょーだい」
「皆でシェアするものよ、さち。私も名前でいいかしら?」
「うん、よろしくね明」
「じゃあとりあえずさちの歓迎会ぷらすお買い物女子会、はじめるよー」
おー、と言わんばかりに明もクレープを掲げた。




