表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/61

寮監の晩酌

「おいしいわね〜」

と言いながら、鶏の照り焼きと日本酒を交互に口にする叔母。

照り焼きが半分くらいになるのを見計らって次のおつまみを出す。スモークチーズとベーコンの盛り合わせ。私も少しは食べれるやつだ。

「さちちゃ〜ん、これ夜に食べるにはギルティよ〜」

「じゃあいらない?」

「半分こしましょう」

そう言って皿を少しだけ前にずらした。私もお茶を入れて席に着く。

半分こしましょう、は遠回しにおしゃべりしよう、という意味であろう。


「康太くんの言ってたとおりなら、お料理はさちちゃんの負担ね〜。でも花谷さんの言うとおりなら、気分転換になってるみたいだけど、どうしたいかしら?」

「負担にはなってないし、楽しいから続けたいよ」

「なら、これからもお願いね〜」

そう言ってチーズとハムを一緒に口に入れる。

「これ、かけてあるのはバジルソースかしら?見た目も鮮やかだし、風味も爽やかになるわね。この組み合わせでパスタもいいかもしれないわ〜」

見えないようにかけた。盛り付ける際にソースを下に塗ってからチーズとハムを乗せたのだが・・・・。

確かにパスタにもいい組み合わせだろう。


「じゃあ、私は部屋に戻るね」

「はーい、おやすみなさい」

そうして私は部屋に戻り、シャワーを浴びるとすぐに薬を飲んでベッドに入った。今日はなんとなく胸のあたりが温かい。




「さちちゃんはいいお友達を見つけたのねぇ」

料理は愛情、などと言うが実際には作り手の気持ち次第だ。気合いを入れて、失敗しないように、味付けを個人に寄り添わせることで美味しくなるのだ。

そういう意味でも花谷さんはなかなか良い相性なようだ。

「問題は・・・康太くんね」

彼だけは、何故あんなにも自己中心的なのだろうか?彼の歳を考えれば仕方ないかもしれないが、もう少し他者の気持ちを考えられても不思議ではないはずだ。

さちが最後に出した皿は、ハムとチーズの盛り合わせハーブソースを添えて。食べる人のためを思っての選択だと思うし、提供のタイミングも良かった。

「意外と料理人も向いてるかもしれないわね」

最後の一口を食べ、日本酒を飲み終えると片付けをするべく台所へ持って行く。

そこでまだ温かいお茶漬けを見つけて更に喜ぶことになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ