表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/61

奪われたもの

「奪うって、俺は何もさちから取ったことはないだろう?」

「りことの時間が削られた。貴方のせいで他の女子から絡まれることが多くなって自分の時間もなくなった。私から平穏を奪った」

「そんなの、しらな」

「だから、だよ。しらないだけで罪は消えない。私が感じた傷は消えない。お願いだから、これ以上私に関わらないで。奪わないで。りこみたいに取らないでよ」

気付けばポロポロと涙がこぼれた。

私の情緒はかなり不安定だ。

りこという依存先を喪って。

その怒りを向ける矛先を失って。

あるのはぽかりとした胸の内の穴だけ。


多分虚無感というのだろうこれは、痛みはない。苦しくもない。

ただ時折消滅願望のようなものを私に感じさせる。


それでも私が私を傷つけなかったのは、ひとえにりこのおかげだ。

私がいなくなったらりこを覚えている人が減ってしまう。

ただそれだけの、なんとも自分勝手な思い込みで私は自傷の類をしてこなかった。


たが、だ。

もし仮に、死んでもりこと同じ場所へ行けるなら、と考えてもしまう。



改めて思う。

康太が私から奪ったのはりこであり、平穏であり、私の生きる意思だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ