私はオーロラ
「出来ましたわ」
ラベンダーがそうつげると立ち上がる私の腕を支える。
部屋を出るとそこには先ほどの侍女たちが、静かに待っていた。
「行ってくるわ」
笑顔のラベンダーに見送られ、王子の部屋を目指す。
長い廊下を進み、部屋に近づくにつれて見張りの兵士が増えていく。
王子の部屋に着くと「リース王子がお待ちです。どうぞ部屋へお入りください」
私は部屋の前で小さく深呼吸をした。
嬉しさとそして緊張が入り混じる。
いつもの豪華絢爛な服ではない随分とラフな格好の王子がベットに腰掛けていた。
「オーロラ」
部屋に入ってきた私に気づくと王子は子犬の様にこちらに駆け寄ってくる。
いつもきっちりとセットされていた髪が下ろされて前髪がそっと目にかかっている。
こんな姿を見るのはいつ以来だろうか。王子も私もずっと幼かった子供の頃以来だ。
王子は私の手を取り、嬉しそうに「よくきてくれた」と笑った。
手は温かく、包み込まれているようで、私も握り返す。互いの手が強く結ばれる。
「何か飲むか?」
先ほどの侍女が入れてくれた紅茶を指差す。
いいえと首を振る。
「そうか、もう下がってよい」
部屋の隅で待機していた二人の侍女にそう告げると、すすすっと後ろ歩きをして、二人は部屋を後にした。
パタン。
おそらく部屋の外に夜通し待機しているだろう。見張りの兵も。
でもこの部屋には正真正銘私と王子、二人きり。
「立っているのも疲れるだろう」
私の肩を抱くと、ベットへ腰かける。
呼吸さえ触れるような距離にまともに顔が見れない。白い大理石の床ばかり見つめていた。
肩を抱く王子の力が強くなり、胸がドキドキと高鳴る。
「オーロラ。本当に苦労ばかりかけたな・・・」
悲しげに陰った声にいいえと首を振る。
「私のためにその尊いお心を傷めないでください」
「何を言う。私の心は常にお前を・・・」
言い終わらないうちに王子は私をきつく抱きしめた。
王子の肩に強く顔を埋める。
一筋の涙が頬を伝う。
ずっとお側にいたかった。
こうして寄り添っていたかった。
抑えていた感情が強く嵐の様に吹き荒ぶ。
「私も王子さえおそばにいて下されば、他に何も」
そして、キスをした。
優しく温かい。
王子のそばはいつも温かく、孤独な私の心を包み込んでくれた。陽だまりみたいに。
そっと王子に押し倒されてベットに倒れ込む。
何度かキスをすると、王子の手が私の肌に伸びていく。
リードしてくれけれど、その手が僅かに震えていて王子の緊張が伝わり、こちらまで緊張していく。
髪をなで、首筋、手の甲、指先、そして服の下へーーーと。
目を瞑り王子に体を委ねる。
王子の手が肌に触れる。
トクン。
リース王子様・・・・。
―――――。
ドゴッ!!!
この場の雰囲気に全く似合わない音がして、王子の「いたっ」とうめく声がする。
「オ、オーロラ??」
戸惑う王子の声。
俺の手が渾身の力で王子の顔をグッと抑えていた。
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