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魔物の暴走

 俺たちの心穏やかにならない生活は続いていた。

 肉屋の店主から状況を確認しているが、その様子は悪くなる一方だった。 


 高熱を出し薬も効かない赤子を抱きかかえた夫婦がサワートさんに薬を求めた。だか夫婦には大金などは払えなかったが、どうしても赤子を救いたかったのだ。

 事情を聞いたサワートさんはその夫婦を蹴り飛ばし「金のない奴に渡す薬などないわ!!」と追い出た。そして大金を積んだ武器の密輸商人を屋敷の中へと招き入れた。

 

 その様子は肉屋の店主は「もはや人ではなかったそうだよ。あの時のサワートさんの形相は魔物だったと」

 そして裏社会の人間まで関わってくるとおそらく王室も黙っていないだろうと。

 

 サワートさんは薬の件に関しては役人に多額の賄賂を払い、上に話がいくのを止めていた。

 だが裏社会の人間にまで手を伸ばしてしまうと、役人だけで抑えるのは難しくなるだろうというのがグナシの考えだった。


「役人の口塞いでも、軍が単独で調査したり、秘密裏に王室の調査団が組まれたりするからな」


 グナシは俺の目をじっと見て低い声でいう。


「そろそろ俺たちに調査の手が伸びるかもしれない。覚悟してくれ」


 俺はグナシの気迫に圧されて、コクっとただ頷いた。半分は、今後どうなってしまうのかという恐怖心だった。


「あまりいい状況とは言えないんだね」


 手土産に持ってきてくれたブルーベリーをつまみながらハラヘリーナさんが答える。

 サワートさんの顧客は貴族だけにとどまらず、金さえあればお尋ね者などにも薬を与えていた。


「私の責任でしょうか。まさかこんなことになるなんて・・・」

「聖女様は悪くありませんわ、だってアルベルトを救いたいってお気持ちだけでした」


「そうだよ、聖女様は悪くないよ。要は力を持ったものの使い方なんだからさ。いい?だから魔法だって厳しく管理されてるんだから」


 この国では一定以上の魔力を持った者は王国が設立した魔法学校への入学が義務付けられている。そこで魔法の基礎を学び、教養を深め、力のコントロールのやり方や法律を学ぶ。


「そうしないと力が暴走しちゃうから。時には契約をして国も魔法をコントロールしてるの。いい?力に善悪はない。あるのは使う者の善悪だよ」


 ハラヘリーナさんがそっと俺の手に自分の手を重ねる。

 にっと口角をあげて笑っている。

 その優しい瞳と、表情からこれが仮面ではなく、心からのものだと伝わる。


「大丈夫だからさ」

「ありがとう・・・」

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