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初めての依頼


 実はもういるってどういう意味だ?

 ちょっと待ってと俺が言うより先にラベンダーがグナシにかなりきつめの口調で問い詰める。


「あんたもうクライアントがいるってどう言うこと?」


 罰の悪そうにあちこち視線を泳がせつつ、グナシは「いやー昨日たまたま大家が集金にきててさ。そしたらあの彫刻が素晴らしいのでぜひ譲ってくれって。あ、もちろんあれは弟のだから断ったよ。そしたら別の彫刻をくれないかって、もちろんタダじゃないって言うからさ。な?」


 な?ってなんだよ。


「つまり勝手に受注して来たのか」

「まあそう言うことになるかな」


 あはは・・・とから笑いを浮かべて。

 グナシも弁解するように早口で話す。


「でもよ、その報酬っていうのが、いいんだよ」

「いくらよ?」

「銀貨300枚(日本円で3万円くらい)」


 悪くない。

 確か、半分はグナシが手数料などと言って持っていくという話だったら、実質150枚か。

 150枚あれば、いい肉も買えるだろうし、ラベンダーが水仕事で荒れた手の治療薬ももらえるかもしれない。


「で、クライアントはどのような彫刻をお望みですか」

「鳥でいいと」


「鳥でいいのか、鳥がいいのかで意味は変わりますが」

「えーそんな事言われても、大家はただ同じような鳥の彫刻が欲しいって言ってたんだよ。他の鳥でもいいじゃねーのかな」

「他の鳥っていうと?」

「俺鳥なんて詳しくねーもん。お、大家は派手好きだからさ、小鳥とかよりは派手な鳥がいいんじゃねーの」


 派手な鳥と言われてもな。

 まあ、派手好きの金持ち大家からの依頼となると、雀や鶯ではなくもっと見栄えのするのがいいだろう。


「つまり、鳥であればある程度は自由度があるという解釈でいいのかしら?」


「ま、そうだな。ま、大家が気に入らなければ、また作り直して貰えばいいし」

 簡単に言ってくれるな、グナシめ。

 一体の彫刻を作るのにどれだけの技術と労力が掛かっているというのだ。

 だが、ここは貴重な資源になる。ラベンダーのことも考えると簡単に断ってはいけない。


「わかった。では大家の気に入りそうな彫刻を作るわ」

「おおおおぉぉ!!よかった。じゃよろしく頼むわ。できれば今週の週末までに頼む」


 一週間もない、か。

 まあ、時間はある。

 

「ふーよかった。大家に任せろって言ってしまった手前、断られたらどうしようかと思ったぜ」


 グナシは水を一気飲みした。

 そして徐に立ち上がり「ちょっとお花を摘みに・・・」と外に消えた。

 話の最中にいつも通り水をガバガバ飲んでいたからな。

 「ションベン言ってくる」というのをラベンダーに下品だからやめなさいと叱られ、別の言い方を教えられた様だが・・・・。

 成人男性の兵士がお花を摘みにってのも、なかなか妙だけど。



 こうして早速初依頼の仕事に取り掛かった。

 

 なんの鳥がいいだろうか。

 派手好きで見栄っ張りな金持ちだから、鷲や鷹なんてどうだろうか。

 見栄えが十分だし、勇ましい感じもして大家受けしそうだ。


 見上げた空に鷹がなんとも優雅に旋回していた。

 まるで空の支配者のように。


 決まりだ。


 そうと決まれば、創作に取り掛かるのみ。

 グナシに紙やペンは用意してもらえた。

 まずは下絵だ。どのような鷹がいいだろうか。

 先ほどのように優雅に大空を羽ばたいているのもいいが、鷹の凛々しさを表現するためにあえて羽を休め、凛と背筋を伸ばした構図にした。


 あまり大きな檜が薪置き場になく、また締切まで一週間もないのを考慮して一尺程度の大きさにした。

 下絵が描き終わると、それを木に転写する。


 今回はお代を頂く仕事だ。

 気合を入れていかねばなるまい。


 俺が今行っているのは一木造りと呼ばれる手法だ。

 簡単に言えば一つの木から彫り出すのだ。

 ただ一木造りは非常に干割れしやすい。

 それを防ぐために、今回は内刳り(うちぐり)をする。


 内刳りは荒削りで大体の形を作った後に、背面から像の内側を刳り抜くのだ。それにより干割れや軽量化を図ることができる。

 抉った後は、別の木材を切り抜いた蓋板をはめる。


 こうして彫り続け、なんとか前日には完成した。

 グナシとラベンダーにお披露目をする。それと、腹減り爺さん。

 今日はちょうどくるみマフィンを焼いたと届けてくれたので、4人でお茶を囲みながらのお披露目会となった。


少し体調を崩してしまい、間が空いてしまいました。

スローペースになっても更新は続けます。


感想などありがとうございます。

大変嬉しく励みになります!

いいなと思ってくれたら、評価も頂けると嬉しいです。

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