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まさかの


 食事を下げたラベンダーが戻ってきて、向かい合って椅子に座った。


「だいぶお疲れのご様子ですが」


 そりゃそうだ。

 戒律で異性との関係も肉食も禁じられていた身が、女の姿になり男から度重なる求愛。そして今日は夕飯に鹿の肉と酒まででた。(これまでは野菜と汁物が多かったがそれは療養中だったかららしい)

 鹿の肉を少々頂いて、酒は流石に遠慮させてもらった。

 疲れぬはずはない。


「ところで祈りのことなんだけど・・・・」


 なんでしょうと首を傾げる。


「ちゃんとできてたかしら?」


 般若心経だったが問題なかっただろうか。

 祈りがうまくいかずに蓮の花が枯れてしまっていたとかないだろうか。

 内心ハラハラしながら尋ねた。


「えっ、大丈夫かと思いますわ」

「本当に?私祈りの言葉とかそういうの忘れて。あ、いや心は込めたのよ。ちゃーんとね。でも大丈夫とか心配で」


 不意に午前中のあの感じの悪い二人の女の言葉を思い出す。


ーーー全く都合の良い時期にあの事件なんて

ーーーあの者の祈りなど、何の効果があるんでしょうかね


「あれはどういう意味だったのかしら?」

「特に他意はないかと・・・」

「そう?私にはそうは思えなかったけど」

「そうでしょうか・・・」


 ラベンダーはなんとも歯切れが悪い。

 どうしたと尋ねても、たわいものことですのでとだけ答える。

 これは何かある。

「ねえちゃんと教えてちょうだい。一体何を隠しているの」

 その・・・と視線があちこちに揺れる。

 だが俺の真剣な目に覚悟を決めたように「お話しします」と項垂れた。


「実は・・・オーロラ様は一度も金の蓮の花を咲かせたことはないのです」

 耳を疑うと言う言葉がこれほどぴったりくることもない。


「私は聖女なのでは・・・」

「はい、オーロラ様は紛れもない聖女でございます」

「で、聖女って言うのは花を咲かせるんだよね?」

「はい、聖女の証は蓮の花を咲かせて国を浄化させることです」

「それで私はまだ花を咲かせたことないのよね?」

「そうでございます」


 聖女じゃないだろと思わず突っ込んでしまいそうになった。

 どう言うことだ?なぜオーロラは花を咲かせてないのに聖女になっているんだ?

 聖女は花を咲かせる祈りをする際に瞳が金色に変わる。聖女が欠けると新たな聖女の選抜が行われる。国中で妙齢の子女を集め、瞳の色が変わる者を選別するのだ。

 中には紛い物、妙な術を使い瞳の色を変えるようなものもいる為、賢者による最終選別を経て晴れて聖女になれるというのだ。

 であれば、その選別を突破したのだから聖女なのでは?


「オーロラ様は選別試験を受けておりません」


 幼いオーロラを見た先王は、美しい金色の瞳をひと目みるやいなや、祈りの時以外でも金色の瞳をしているのは聖女に違いないと慣例には従わず自ら聖女任命しのだ。

 つまりオーロラは単に瞳が金色をしていたから聖女になったのか。

 それだけで??


「生まれつき金色の色の者だっているだろ?」


 思わず男の口調になってしまったが、それどころではなかった。

 俺のいや、オーロラの聖女としての根底がくつがっているぞ。

「いえ、この国に生まれつき金色の瞳のものはおりません」

 キッパリと言い切る。そりゃ奈良だって黒髪黒目が基本だったが時折北の方で青い目を持つ子供が生まれることがあると聞いたことがある。

 たったそれだけで、力もないのに聖女として扱われていたのか。


「おい、そのことはみんな知ってるのか・・・」

 ラベンダーは力無く「はい」と頷いた。

「力のない聖女が先王の寵愛を利用し、王子に擦り寄り王妃の座を狙っていると噂が流れだし・・」

「それはまことか?!」

「とんでもございません!!!オーロラ様は全くそのようなお考えのない方です」

 そう強く言い切るので、安心した。

 この美しい女性の内側に昼間の二人のような浅ましさが眠っているとなれば許せなかった。

「噂は日増しに大きくなり、宮廷中に広まりました。ただ王子もオーロラ様を目をかけておりましたし、聖女認定は先王の御意志でもございました。しかし上奏文の中には権力者の名もあり王子様も黙殺するのは難しいと考えられ、いきなり剥奪ではなく、まずは聖女見習いに降格させることで話がまとまっていたそうです。王子が外遊から勅令を出すことになっていたようです」

「それで私が階段から落下して、降格の話が流れたと・・・」

「その通りでございます」


ブックマーク、感想ありがとうございます。

とても大変嬉しいです。


可能な限り毎日投稿頑張ります。

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