ろー
目覚まし時計の音がして
私はもうずいぶん目覚まし時計など使っていないが
もっぱら携帯のアラームで起きてる
いつも鳴る前に目が覚める
私のポケットの中の消しゴムは
ずっと前からそこに入っている
取り出す手間が省けて
いいなと思っていたところだ
私の鉛筆は
だいぶ短くなってしまった
捨てようにも替えがない
私のものは
こんなにも少ないのか
私のものは
こんなにも要らないのか
ずっと読んでる
漫画のタイトルも忘れてしまって
本屋さんで困った
あの本ください えーっと
何だっけ 私がずっと読んでいた
あの本は
何て名前で
誰が書いていて
どういうところが面白いと思っていたのだっけ
分からない
本当に色々なことが分からなくなった
明日から元気に過ごそう
そう思うばかりで 私の気分は簡単には変わらない
ただ 低調を続けているばかりである
今 私の目の前にあることが
この次に 続いて いくとは
限らない
世の中の 多くのことは
知らない振り 見ていないことになって
触らないこと 聞かないことが 重要なスキルなのですと言って見て見ぬ振りをした私のことを指差した人間の群れの中に混じって今より昔より楽しいこと探してる私達の行く末の終わりのことを教えてくれる大事な機会に恵まれて今よりきっと幸せになってるはずの私のこと頭に思い描いてやったと大きな声みんなが振り返るとそこには私の影がも形もない大きな死神の影だけがあったのでした。
いまになってやっと分かったことがたくさんあり今よりもきっと豊かになれるはずの思い出が私の手元にいくつもたくさんあったのだがそのさきのことはあまり思い出すことができず今より先のことはきっと何も考えなくていいはずのことそうだよといって私の肩をたたいたあなたのこと今考えていて忘れてしまったそこには何にでもなれるようなものがあったような気がしていたのに触ってしまうとそれは溶けて今あったことが順番になくなってしまうのだと気づけただけでも良かったのに。
そうと分かったら今すぐ手を離してしまいなさいといった人たちのことが今でも忘れられないのは現在の手の届かない位置にある豊かなものがみんなの周りにある大きなものが私の手には入らないからなのだとそう言ってしまえばきっとそうなのだと私の存在価値を確かめるようにして握った手のひらを丸めて床においたまま湿ったままそこにおいておくといいよそこにはなにもないからなにもないことが許容されるから私のあとに付いておいでと言ってくれたらきっとどこまでも私の足はひりついた火傷の痕のように地面に落下してそのまま消えた。
なんにもないことばかりが誇らしくて何にもないことばかりが私らしさであるとそんな気まぐれのような言葉を吐いて行くばかりが人生じゃないさと手をつないでいくことがきっと正しさなのだとわからせてくれてありがとうございますそれは私には必要ないので持ち帰っていただいて大丈夫なのですきっと役に立つ日が来るでしょう私にとってそれは未来永劫使わないものだったとしてもきっとそういうんでしょう分かってますすべてわかっているような顔をして生きていく権利を私はしっかり保有しているのだということをきっと教えるまでもないことなのでしょう。
私は目の見えないままの窓に立って世の中を見渡しているとしきりに雨の降る音ばかりが聞こえてどこへゆくのかと聞いてくるので私はその人の後をついていってしまいには私にはわからないことだらけのまま夢の話ばかりしていたのです。それはそれは美しいお姫様が私の後にいました私はその人と対談をするうちに次第にはっきりしてきたことがあったのですそれは私のうちに帰ってくるものほど私のそばにはいないということでしたしたがって大きな川を泳ぐほどに体力のいるものなのだなと言う気付きも手伝って次第には私の中程まで上がってきていた黒い排水はやがて溶けていって消えてなくなりはしませんでした代わりに訪れたのは永遠に終わらない夜の始まりでした触らないものほど遠くにあるものではなく近づいてゆくものほど次第次第に大きなうねりを上げうるものなのだと分かってしまってからには次第次第によくわからなくなっていく決まりの中に沈んでいく夜更けの音楽のことを全然その日は全然眠れませんでしたやがてくる朝焼けのために最後の一呼吸を残しておこうとしたのですがそれもやはり無駄な努力のようでした。
それはよくわからないなというといまだかつて分かったことなどないかのような解釈をされることがたまにあるのですがそんなことはなくやがてくる決戦の時のために今ゆっくりと準備をしている最中なのですと私は昔見た映画の中で覚えていた言葉ばかりをつぶやきはしたのだがそこからくるものは大きくなっていくばかりだったのでそこからくるものは私の手には負えないものばかりだったのでやめてくださいといったまま手をぶらりと下げてよくわかりませんねそれはよくわかりませんねといっていい腕のついた大きな声のひとがたくさんいてよかったな良かった良かったと思うままに今さっき見ていたことを今さっき忘れていたことを思い出してくださいよ最後どうにかしてくださいよと言ったっけ言ったかなどうだろう分からないなあと言った私の一人のことについてはまだまだ予定が立たないままでいるのだった。
気味の悪い亡霊が私の足元に取りすがっていて右目が割れていてそこから青色の体液が流れだしているのだがこの世の中は至ってそんなふうに災いを起こさないようにためらいのないように取りすがってゆくものだから君の事も今朝見た夢のことも全部忘れてしまってここから新しくやり直そう世界はまだ終わってなかっただなんて遠くの世界で聞いたような言葉を並べて一体何が世間体にそってつらつらと述べていく大まかなことを特別なんでもないようなことを述べていく最後にはみんな決まって大成功って笑えるように良い夢にしましょう一生覚めなくていいようないい夢はこの世にはあまりないのだと私は昔ながらの考え方に毒されながら思ったのだがこの際言ってしまおうと思うのだ昔からのことは昔からのことについてもっと話し合うべきよと話し合ううちに分かってくることもあるはずだわと世間の波に揉まれながらこの日は太陽がとても大きくなってしまってこの世の終わりかのような気持ちにさせられたのだがそんなことはないそんなことはないよ今世界ではみんなが見ている窓の近くに置いておいた大きなムカデの人形が世界を壊して暴れまわっているという妄想に取り憑かれた世の中のこと何も分かってないふりをしていまだかつてないような大きな夢を企んでいるのだよこの世界のためにね
体に悪いことばかりしていると今さっき分かったことって一体何という気持ちにさせられることもあるのだがその両手に映ったものは何と言われると急にわからなくなるのです今思い出していたっけ今話しかけていたっけとか急に言われるとやっぱりわかんなくなるもんですよねとか言って知らないふりまだわかんないことばかりを積み上げて今死んでないよ私私のことよく覚えてるとか言ってなんだか図々しいやつだなとか思ったでしょ今さっきまで偶然そうでなかったものが急にそうであるかのようなものになるってこと今ではそう珍しいことでもないかもしれないけど今よくわからないことはきっといつになってもわからないままだねとかいった昨日のこと私覚えてるよさっきまで通り過ぎるまで一緒にいた大きな影のこと私覚えてるよ
にべもなく襲いかかってくる鋭い音響が世の中を明るく照らしたところでどっちにしろ終わりだろと思ったのですが私にしても見てなかったものほどよくわからなかったものはないなと妙に納得した気持ちでいたのですがところで大きなものを運ぶときの重さは一体どれくらいのものであれば私は今世の中に映っているものに対して大きな気持ちでいられるのでしょうかその時に伺えるこだわりは今しがた捨ててきたものと何が違うのでしょうか私には今あるものが昔からあるものと見分けがつかなくなっていてそれはきっとこんなものまで残しておいた世間に対しての何か特別な感情を持たなくていいかのような風潮に対しての何か私にしかわからないことなんてなにもないんだよっていって教えてくれた昨日私のそばにいたみんなから離れてそこにいたきみのことは今よりも先に知っておくべきだったのかもしれない
触ってもわからないものたちの中で今私のことを考えているということはさっき見たことだけ覚えておく今見たことは忘れてしまう手に入ることだけ大切にして何があろうと平気でいるなんてことが本当に私にとって必要なことなのかわからないから今あることだけを大切にして今からすることは全て途方も無いこと今にしてみると忘れてしまったほうがいいことなのかもしれないな
今の今まで目を閉じていた。周りにあるものは全てどうでもよかった。
気の所為にしていることがあるとそのうち大きな波は私の体を飲み込んで
どこかに
連れて行ってしまう
私は
手のひらを
大きく
広げて この空に
飛び立つために
準備をしている
昨日今日明日のことを
考えずに
今はまだ
はっきりとわかることだけを
手のひらに
書いて
その日は
昨日より
大きなこと
まだ
見つけられる気がしていた
昔から
思い出してたみたいに
聞いたこと
ある日から
変わってしまった
こと
金曜日の
私は
昔から
そう
そんな感じで
私は
昔から
そう
気になっていた
いつまでも
終わらない
映画のように
続く
この先は
いつまでも
終わらない
日々の中
尽きてしまった
生命は
いまでも
土曜日の
午後 に
降っているのだろうか
この先は
まだ
分からない
終わらない
続かない
明日
いまでも
そういえば
そうなのだ
私の
昔の
思い出の
今までの
これからの
私の
明日の
明後日の
昨日の
私の
こと
まだ
覚えていて
さようならといった日のことだけ繰り返してさようならといった日のことはいまでもその日のうちに忘れてしまえといったさようなら私達は今までたくさんのことを我慢しすぎたのかもしれないさようなら私達は昨日の一日までにやるべきことがたくさんあったはずさようなら今の今まで私達はあなたに理解されようだなんて途方も無いことを考えていてそれで昨日私達はあなたにさようならを言った
それでは
昔の
ことについて
考える
私
今
ある
ことについて
考えない
私は
今より
昔より
変わってしまったこと
ばかり
数えて
今より
私より
変わってしまったこと
何か
あるかな
って
考えて
いたけど
それは
そのことは
全然
今よりも
昔よりも
分かっていた
ことよりも
全然
未だに
分からないこと
たくさん
並べて
今なら
昔なら
ってことを
何度か
考えて
いた
今なら
昔なら
私なら
あなたなら
できる
ことが
ある
はず
だ
私は今
にいたって
ついに
私は今
についに
この世の中のことを
わからないふりしてた
昨日
まで
にいたって
ついに
そこにいたって
私は
今
の
今まで
わからなかったこと
あの
ことについて
わからなかったことについて
昔より
今より
わからなかったことについて
それよりも
ずっと
大切にしていたものについて
昨日
より
明日より
何より
大切にしていたものについて
わからなかった
わからなくなってしまっていた
ついに
私は今
にいたって
私は
でももしも別に大したことではなかったら
明日も
私は
昨日
の
ことについて
話し合う
努力
を
放棄して
それでも
いたって
それにしたって
私は
私たちは
それまで
昨日
の
それまでの
ふたり
昨日までの
いつからか
ふたりは
いつからか
いったい
それまでは
どうしていたのか
わからなかった
それまではずっとわからないことはわからないままにしていてそれまではずっとわからないことばかりかぞえているとそれまではきっとたぶんわからないことだらけのまますごしていたのだとおもうそのうちたぶんわたしはそれまでのことやめてしまってそれまでのことはそれまでのこととして扱う毎日のようにふと気がつくと終わってしまう日々のように昨日のことのようにして毎日を過ごしていられたらそれはそれでありなのではとか思いつつ気がつくとさっきまで回っていたことが止まってしまったいつしかわたしひとりきり昨日のことのようでいてそうではないわからないわたしひとりきり笑うと悲しい
それでも昨日のことのように毎日のことのように思い出すと思い出してしまうのでそれはそれでありなのではないでしょうかといってみてそれはそれで昨日のことのように私は思い出すとそれはそれでありなのではないのかといってそれはそれで昨日のこととしていればそれはそれでありなのではないのかといっていれば私はいつになったらこんな日々から抜け出すことができるのか分からない
何も手につかないよと言って昔からある扉に手をかけたのだがその日は向こうから来る風の音が聞こえていなくて遠くの方にあるものまで見通すということが出来なくてそのときのことをよく覚えているということもできなくてでは何が出来ていたのかというとその日はあまり何も手につかなくてそれでいて一体このままどうなってしまうんだっていってそれではずっとわからないままだよっていってそのときのことはあんまり覚えてなくてそれでは一体何を覚えているのかっていうとそれはそれでよくわからない話だなとか思ったりもしてそれでは一体何が私にとって一番重要なのかというとそれは決まってそれはそうとして一体これは一体何のための目的を失った日々の中の一人で過ごしている日々の中の何かを無理やり見つけ出さなければならないような世の中のことを今もって判断がつかずそれはそのままとして何か聞こえているときはきっと決まって私の耳がおかしくなってしまっているときのことなのだと思い起こしてそれはそれでいいのだなんてやっぱり分かった気になるのは良くないなとか思ったりもしたのだがそれはやはり昨日のことまでにしておいて昨日のことは私にはもうわからないことなのでそれはやはりそういえばそうなのだなという日々の中で暮らしているとやがてどこかおかしくなってしまうということがやはりあるのかもしれないと思ったりなんかしてしまったわけなのであった。
空が
明るくなってきたとき
私は
南の
方を向いて
今か今かと待っていたのだが
それは
何か
起こりそうな
予感というものも特になく
それは
何かが
駄目になってしまうような
こともなく
それは
ひょっとして
命懸けのことであったかもしれず
それは
やはり
それは
私には
荷が
重かったのだ
ということだけが
残った
それまではなかったことたくさんあってそれではなかったことが今はもう全部台無しになっってしまった日々の中を生きるようにして私は今はもう覚えていないことばかりをゆっくりと数えていると昨日のほうからある日突然訪れたような顔をして昨日のほうからやってくるものがあったそれは私には似ても似つかない凶暴な顔をした男でその手は尖っていて舌は焼けただれていたそんなふうにしてやってきてしまったものを追い返すということはせずただそこにいてくださいよと言っておいてひとまず作戦を練ることにしたのだがこの男はやはり私の中に潜んでいたものという解釈であっているのだろうかそれはやはり私の内側からやってきたものという解釈であっているのだろうかと思っているとそれは違いますよといって唐突にやはりその男は去っていてあとに残された私にはやはりその男の残り香がプンプン漂っているのだ
グランド・ブタペスト・ホテルと秘密の花園は内面(心の秘密)に通じる鍵のモチーフが共通しており、ムーンライズ・キングダムでスージーが「(図書室の本を盗んだのは)心に秘密を持つためよ」というように簡単には立ち入らせないもの個々人を個々人たらしめているものとして描かれ、それを守るための鍵の同盟に名を連ねるところのホテルマン・グスタフの秘密は本編中を通して一切明かされることはなく、鍵とその内側にあるものを守るものは小説とその作家になぞらえられ、簡単に立ち入らせてはならない秘密であるところの物語は読者の心の内側に鍵をかけたまま閉じ込められる。