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第七話 蘆屋

朱夏の部屋に着いた晴明はドキドキしていた、初めて入った女性の部屋、しかも朱夏の部屋だからだ。


「晴明君とりあえず座って、今後の事を話そう」


「はっはい!」


晴明はぎこちなく座布団の上に座る。


「晴明君は今高校生よね?学校は楽しい?もしね、本格的に修行に入ったら学校に行けなくなるかもしれないの。夜だけの修行でもいいんだけど、そうすると学校生活大変よね?晴明君はどうしたい?」


「学校は別に、でも出来るなら卒業位はしときたいです。今高校生2年なので後1年位なので」


「卒業資格や勉強はこちらで、取れると言ったらどう?」


「それなら、その修行うけたいです、出来るならで良いのですが」


「後土御門の寮に入って貰う事になるわ、親御さんとも離れて暮らすのはどう?晴明君の気持ちは大丈夫?」


「僕は大丈夫です、親とはその相談しないとですけど。」


「親御さんには私達土御門の人間が、きちんと説明するわ。あくまで今必要なのは晴明君の意思だったの、修行をすれば、当然魔物と戦う事もあるわ。魔物と戦い、勝てば魔物を殺す事になる。負ければ味方や自分が死ぬの。それはどう?耐えられるかな?」


朱夏は優しく諭すように晴明に話をする。


「正直わかりません、自分が殺したと思った時、僕は魔物を見た時より自分の力が怖くなりました。力の無い人を護る為には僕が強くならないと・・家族や朱夏先生が魔物に傷つけられたりするのは嫌なんです!だから僕!僕!」


語気を荒げ興奮する晴明。


「大丈夫だから、晴明君落ち着いてね?」


「はっはい。すいません。僕のあの、この前の力で救える人がいるなら頑張りたいんです」


偽りのない晴明の本心だった。


「だから朱夏先生、あの僕、運動も出来ないし、力も強くないです。僕はそれに勉強も出来ないです、そんな僕でも強くなれますか?」


「なれる!当たり前じゃない!貴方は私の弟子なんだから!」


「ありがとうございます・・」


晴明の頬から涙が伝う。

朱夏はニコッと笑い


「さっ今日は一旦家に帰りましょう。後日迎えが行くから。親御さんにはもう土御門の人が連絡して話してるとは思うけどね!」


「はい、朱夏先生ありがとうございます」


晴明は丁寧に頭を下げた。


それから少し朱夏と話、晴明は土御門を後にする。

家に着き家族と話すと、父は晴明がやりたいようにしなさいと、母は泣いていたが受け入れてくれた。

やけにすんなりと話が進んで晴明は少しだけ複雑な思いだった。


それから2日後晴明の家に、爺と朱夏が迎えにやってきた。

爺は晴明の荷物を車に積み込んで行く。

荷物と言っても、教科書や着替えと言った簡単な物だけしかなかった。


「ーーーー晴明様荷物はこれだけで宜しいのですか?」


「はい、特に持って行く物はないので」


「お母さんお父さん、晴明君は私達土御門が責任を持ってお預かりします。晴明君は私の初めての弟子なので、私が護ります!」


朱夏は両親にきちんと、頭を下げた。


「近藤さん息子をよろしくお願い申し上げます。晴明しっかりな!連絡はするんだぞいいな?」


「うん、ちゃんとするよ」


「晴明、怪我だけはしないようにね?朱夏さんの言う事を聞くのよ?」


「わかってる、大丈夫僕頑張るから!」


「ーーーーでは行きましょう」


車に乗り土御門本殿へ向かう。

相変わらず爺の運転は荒かった、スピードが早すぎて晴明は頭をぶつけていた。


「イタタタ」


「もう、爺!気をつけてよ!」


朱夏はプリプリと爺に怒っている。


「晴明君、これから新しい生活が始まるわ!まず貴方の部屋に案内するわ、荷物もおろさなきゃだし」


土御門本殿の中にある、寮がある場所に行く。


「右の建物が女性寮、左が男性寮よ。やたらめったら女性寮に行き来しちゃだめよ?怒られちゃうからね?」


「はっはい、でも朱夏先生と話したい時は?」


「ん?あー!私の番号登録しとくからいつでもかけなさいね。任務中は電源切れてるけど、爺もいるからそんなに不安がらなくても大丈夫よ」


朱夏は晴明のスマホに自分の番号を登録する。


「ーーー晴明様私も寮にいます故いつでも頼ってください」


「ありがとうございます!心強いです」


「まっ基本的に皆んな任務であんまりいないし、詰め所に居る人の方が多いからね」


男性寮の晴明に充てがわれた部屋はフローリングの1R風呂トイレ付き、部屋には家電まできちんと配置されていた。


「ここね!新人の部屋は少し狭いの。我慢してね?」


「いっいえ!大丈夫です!充分過ぎます!」


爺が晴明の荷物を部屋の廊下に積んで行く。


「ーーーーこちらに置いていきますね。朱夏様早速修練場へご案内してはいかがでしょうか?」


「そうね、修行は明日からだけど場所は覚えておかないとだしね!」


朱夏と爺の後をつき歩く事10分、鉄製の扉が目の前に出てくる。


「この扉を潜ると階段があって、私達の修練場である道場があるのよ!さっ行くよ!」


扉を潜り、階段を降りるとそこには広さが体育館4つ分はあるだろう、広さの部屋があった。


「広い!すごい!地下にこんなのがあるなんて!」


晴明は広さに感動していた。


「正確には地下じゃないけど、まあ地下って認識で今は良いわ!明日からここで訓練するからね、気合い入れてよ!」


「はっはい!」


修練場の奥から1人の背の小さい女性がやってくる。


「あんたが晴明?朱夏の弟子?」


その女の子は目つきがキツく、身長145センチ程の小柄だった。


「ねえ!聞いてんだけど?」


「あっすっすみません。神宮寺晴明です」


「声ちっさ男ならしゃんとしなさいよ!」


「ちょっと、真里!晴明君を虐めないで、私の弟子なんだから」


「ふ〜ん。まあ良いわ。私は蘆屋真里よ、覚えておきなさい。でも私の弟子のが強いわよ、顔は負けたかもしれないけど。どっちの弟子が優秀かしらね?」


「晴明君よ、今はまだ卵だけど何れ私何か追い抜いちゃうんだから!」


「そんな追い抜かれる事を自信満々に言わないでよ。まあ明日から訓練よね?私の弟子も明日は訓練をつける日だから楽しみにしてなさい」


晴明を置いて弟子自慢で張り合い続ける2人だった。

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