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第参話 朱夏先生

神宮寺家


神宮寺家前で気合いを入れる朱夏


「昨日の今日だけど、大丈夫かな?大丈夫だよね!よし!頑張れ私!頑張れ私!手土産もあるし!」


インターフォンを鳴らす


「はい、どちら様ですか?」


「あっあの、土御門家から来た者です。昨日の件を謝罪したいのでお伺いしました。」


「今開けます」


ガチャリとドアが開くと、警戒心むき出しの黒髪の少年が立っていた。


「昨日のって昨日の人はいつのまにか居なかったけど」


「此方の対応に不手際があったのは認めます。大変申し訳ありませんでした、申し遅れましたが私は土御門家の近藤朱夏と申します。」


「その、近藤さんは、昨日のおじさん達みたいに壊しに来たんですか?」


「壊すが何かはわかりかねますが違います。私は土御門家頭首楼閣様の命により貴方をスカウトに来たのです。

御一考頂けたら幸いです」


晴明は不思議な顔をしている。


「スカウト?スカウトってあの勧誘ですよね?何で僕を?」


「楼閣様の命ですので。貴方を一人前に鍛える為に私は来ました。言わば家庭教師って奴です」


「かっ家庭教師!?何でまた僕に?僕勉強も運動もできないし」


「運動機能は、訓練で多少なりとも変わります。私が鍛えるのは学校での勉強ではありません。貴方の身体の中にある力に関する事です」


そう言い晴明の胸を指す朱夏。


「ぼっ僕の力?僕にそんなのありませんよ・・・」


「う〜ん、昨日力を使ったって報告書に書いてあったけど無自覚かあ。昨日の事は何処まで覚えているの?」


「おじさんが部屋に入って来て絆を壊そうとして、それからそれからえーっとえーっと」


「家の中に入っても良いですか?君やご両親には危害を加えない事を約束するから、何なら手を縛っても良いから」


「はっはい。」


昨日の事で晴明は確かに朱夏を警戒していたはずだが、警戒はいつの間にか解けていた。

晴明の部屋に案内する。


「あっあの僕さっき話したところまでしかわからなくて」


晴明はドキドキしていた、初めて同年代と思われる女性を部屋に招き入れたのだ。

しかも朱夏は美人、漫画やアニメ出てきそうなくらいの眼が覚めるような美人。

綺麗な緋色の髪、黒い瞳、白い肌、存在をはっきりと主張する大きな胸。

晴明の理想の女性と言っても過言ではない。

そんな人と同じ空間に居るのだ、思春期の童貞に緊張するなと言うのが無理な話だった。


「手を貸してくれますか?」


晴明が出した手を取る朱夏、手を取られた晴明は顔を真っ赤にしていた。


「照れている場合じゃないよ。私の巫力を流してみよう、それを感じとる事から始めてみよう」


(ふりょく?ふりょくって何だろう。手綺麗だなあ、じんわり暖かくなってきた、紅い光?何だろう?)


「どう?何か感じた?」


「暖かい、紅い光見たいのが、近藤さんの手から流れてくるような?」


「私の巫力を視認迄出来るなんて!君凄いよ!君は才能がある!」


朱夏は大喜びで、晴明に抱きついた。

晴明は突然抱きつかれ狼狽えていた。


「本当は半信半疑だったの!貴方から巫力感じないし!でも巫力の視認何て!一握りの人間よ!凄い!凄い!」


「ふえっ?あの?」


「君は才能がある!他の事は出来なくてもいい!君は君だけの才能を伸ばすんだ!私が認める!君は私の初めての弟子だ!」


晴明の頭は大混乱だった、朱夏の胸が晴明の身体にあたり、嬉しいやら恥ずかしいやら、頭の中はパンク寸前だった。


「これで!これで!蘆屋のクソ野郎にデカイ顔をされなくて済むどころか!大金星だ!やった!やった!」


「あっあの、弟子?あしや?って一体」


「今日から君の才能を私が鍛える、だから私は先生!だから貴方は弟子!ここまで異論反論は無いわね!」


「はっはあ」


「よーしよーし、可愛い弟子よ!確かせいめい君だっけ?」


「ちっちがいますはるあき!はるあきです!」


「むっごめん。晴明君ね!晴明君これから宜しくね!」


「はっはいでも弟子ってどうしたら?僕まだ学生だから学校あるし」


「うーん、ちょっと待ってね!」


朱夏はスマホを取り出し何処かに、電話をする。


「えっ!土御門本殿に?はっはい!晴明君を弟子にしたんですよ!私頑張ります!」


「あっあの?僕どうなるんですか?」


「私と一緒に今から土御門本殿に行きますよ!ご両親には私から話します」


「えっええ〜」


怒涛の展開に情けない声を出す晴明。

朱夏は両親の部屋へ、両親は恵理菜の術で寝ていたが朱夏が直ぐに術を解き、菓子折り付きで謝罪をしていた。


両親の部屋から朱夏の大きな声が響いてくる。


「昨日の事は謝ります!ですが、晴明君には才能があります!一握りの天才何です!才能を埋もれさせるには余りに勿体ない、自衛の手段も必要なんです!」


「息子を評価してくれるのは親としては嬉しいが、昨日の乱暴な人が居るところに晴明を連れて行くのは賛同できないよ」


「私の弟子は師である私が護ります!禅師さんにはきつく言っておきます!だからどうか!どうか!」


両親の部屋を開けると朱夏が土下座をしていた。


「近藤さん!辞めてよ!何で土下座「晴明君、今私はご両親にお願いしているの。だからもう少し部屋で待っていてくれない?」


朱夏は晴明に優しく諭した。


「近藤さん、貴女が晴明を認めてくれているのは私も嬉しいわ。ねえ晴明、貴方はどうしたい?」


「僕は」


言葉が詰まる


「僕は、近藤さんと一緒に行ってみたい。だって、父さんと母さん以外で、あのその」


上手く言葉が出て来ない晴明、自分の両親に自分は無能だったと、今まで誰からも認めて貰えたり必要とされていなかったと告げる勇気が無い


「ゆっくりで良いから父さんと母さんに話してみて?」


母が晴明の手を握る


「ぼっ僕、学校でも、いつも、何もできなくて、勉強、運動も、何もできなくて、こんな、こんな風に喜んで、認めて、お願いしてくれた人いなくて」


晴明は涙を流しながら言う。

そんな晴明を朱夏が抱きしめる。


「大丈夫、大丈夫だから。君には才能があるって先生が言ってるんだよ?だからそんな顔をしないで。お父さんやお母さんの前で自分を卑下したらお二人だって悲しくなってしまうよ?」


「晴明、お前はどうしたい?」


父は静かに聞く


「僕は!近藤さんと一緒に行ってみたい!」


両親は朱夏を見て


「危ない事や、昨日みたいたな事は無いんですよね?」


「はい!私が私の弟子を護りますから!」


「わかりました。晴明顔を洗って着替えてらっしゃい」


「朱夏さん息子の事を宜しくお願いします」


「はい。ご相談された件につきましても、何かわかり次第きちんと連絡致しますので安心してください」


朱夏は退室し、晴明の部屋へ向かう。


「母さん、晴明も成長してるんだなあ」


「ええ、そうね。何だか少し寂しいわ」


二人は肩を寄せ息子の無事を願う。


朱夏は晴明の部屋を開ける


そこには上半身裸の晴明がいた、


「ちょ!近藤さん!待って!まだ上着てないから!」


ジタバタする晴明。


(あれが、葛の葉の神紋かあ。禅師さんは何で警戒してたんだろう?別に神紋がある人何て土御門じゃ珍しくないのになあ)


「もう!近藤さんノックしてよ!恥ずかしいよ!」


プリプリと怒る晴明を見て、禅師の間違いだろうと頭を振り、晴明の額を指で小突く


「朱夏先生と呼びなさい」


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