第十五話 百足
次々と出される魔物を２人で倒していく。独は火力不足を運動量と持ち前のセンスでカバーしていた。
ミノタウルスの身体に確実に技を当てて倒していく。
「晴明、ラスト右だ！」
晴明は独の掛け声と共に九字神刀を振り下ろし、斬り裂く。
「破っ！！」
星龍は晴明達の闘いを見ながら考えていた。
「(ある程度迄は、闘えて巫力も使えるのじゃ。だけど所詮二流止まり、楼閣の足元にも及ばないのじゃ。それじゃ生き残れないのじゃ。うーん、うーんあっ鷹島を呼ぼうそうしようなのじゃ！)」
「鷹島ああああああ！見てるのじゃ！？妾が許可するから今すぐ来るのじゃ！来ないとアレを華にバラすのじゃ！」
黒い渦が発生して、そこから鷹島が現れる。
「おいおい！無茶苦茶すんな！それにアレはお菓子で話がついただろ！金貨10枚分のお菓子だぞ！」
「うーんもうないのじゃ！新しいお菓子を所望するのじゃ！それよりあの２人伸び悩んでるのじゃ」
「伸び悩みねえ、っておい、アレ今やりあってんのミノタウルスじゃねえか！これハードモードだろ？！まじで死ぬぞあいつら！」
「修行だから良いのじゃ、それによく見るのじゃ。今100体目のミノタウルスを倒し終わったのじゃ」
「は！？100！？俺そんなモード作ってねえぞ、お前また勝手に弄ったな！？ゴブリン、オーク、オーガ迄はギリギリわかるよ！？でもミノタウルス×100はだめだろうがああああ！」
鷹島は素早く星龍を捕まえ、グリグリをする。
「痛いのじゃ！やめるのじゃ！ぬうあああああああ」
ミノタウルスを倒し終えた、晴明達は見知らぬ男性にグリグリをされ、叫ぶ星龍を見る。
「馬鹿達が見てるのじゃあああ！謝る！謝るからもうやめるのじゃああ」
「全くこいつは。あー初めまして俺、鷹島昇職業大賢者の地球人。君達の事は知ってるから自己紹介はいらないぜ！」
「えっあの？地球人で大賢者？」
「そそ、異世界召喚されて、大賢者になったのよ。この空間も俺が作ったんだが、星龍が弄くり回して色々変わっちまったけどな」
「すげー！鷹島さん！魔法使えんの！？すげー！見せて！」
「後でな。真っ白って気持ち悪くないか？」
鷹島が杖を軽く振ると真っ白な空間が青空と草原がある空間に早変わりする。
「うおっ！すげえ！！晴明！魔法だ魔法！」
「凄いね！草もあるし、空もある！」
「ああああああ！！勝手な事をするなのじゃ！酷いのじゃ！悠の記憶にあった精○と時の部屋再現してたのにいいいいい！鷹島のバーカ！アーホ！」
「五月蝿え！またグリグリされたいのか！？頭おかしくなるわあんな真っ白な空間にいたら。精神衛生上よろしくないわ！」
草原に転がり、イヤイヤと地団駄をする星龍
「とりあえず星龍はほっとくぞ。で晴明君に聞きたいんだけど、インドラと九字神刀しか使わないの？悠はもっと使えたぞ？」
「えっ他の真言って使えるんですか？」
「あー晴明多分鷹島さんが言ってる悠さんって人は特別だぞ。全ての真言が使えるなんて初めて聞いたし、楼閣様でも全ては無理じゃないか？俺は不動様の加護が強いから不動様の力が使えるだけだしさ」
「ん？独君さあ、勘違いしてるのか、気付いてないのか知らないけど不動様だけじゃないぞお前の中の力。俺が言って良いかわからないから、自分で考えてみな。んで晴明お前はまず間違い無く他の真言も使える、言ってたろ？真言は胸の中にって」
独は自分の力が他にもあると聞いて、黙り込んでしまった。
「う〜ん」
「まっ頑張って、それじゃあヘブラッ！！」
帰ろうとする鷹島にドロップキックをする星龍
「待つのじゃあああ、何をキメ顔して帰ろうとしてるのじゃ！！あんなアドバイスでわかるわけないのじゃ、スキルなり魔導核なり埋め込む位してみせるのじゃあ！」
「はあ！？俺はあの爺いと違って神様じゃねえんだよ！スキル何てホイホイ渡せるか！それに魔導核だああ！？破裂すんぞ！」
「破裂したらそれはそれなのじゃ！こいつらが弱いだけなのじゃ！さあやれそれやれ今やれなのじゃ！」
ガクガクと鷹島の身体を揺らす。
「無理だっての！」
突如上空から声が響く
『おーい！昇私をそっちに連れてけ！』
『空島さん落ち着いて！何で武装してんの！？鷹島さーん一回戻ってきて』
「は？星龍ちょっと待ってろよ！余計な事したらお菓子抜きだからな！」
黒い渦を出し鷹島はその中に入って行く。
「全く使えんのじゃ、うーん馬鹿よ。御主の右眼見せてみるのじゃ」
「右眼？あっああ良いぞ」
「ふーむ御主も又神紋に選ばれとるな」
「俺が？イヤイヤないない、不動様に選ばれた訳でもないし真里さんもそんな話はしてないし」
「不動様じゃないのじゃ。百足これに覚えがあるじゃろ？一度見た武術や、周りに比べて異常に覚えが良いとか、思い当たる節があるじゃろ？それで周りから疎まれ御主は「やめろ！！」
独は星龍の首を締めていた
「これ以上土足で入って来るなら殺す」
晴明には、独であって独じゃない別のナニカに見えた。
尋常じゃない殺気、優しく明るい独とは違う、冷酷で憎悪が剥き出しのナニカ。
「離すのじゃ」
星龍がそう呟くと、独が吹き飛ばされ、地面に叩きつけられ星龍に踏まれる。
「馬鹿が弱いくせに、妾に手を出すとは何事じゃ。簡単に呑まれおって」
「ぐううう！」
独は歯を食いしばりながら手足をジタバタさせるが、全く動かない星龍
「星龍さんやめてよ！」
「やめて欲しければ力を示して見るのじゃ、インドラや九字神刀は妾の今度の結界には効かんぞ。御主レベルではな」
晴明を見下し不敵に笑う星龍
晴明は体当たりを心見ようとしたが、星龍の結界に阻まれ弾き飛ばされる。何度も九字神刀で斬りつけたり結界を殴りつけたり雷華をぶつけたりするが全く効果はない。
空気がピンと張り詰める。
「「おん あぼきゃ べいろしゃなう まかぼだら まにはんどまじんばら はらばりたや う」」
晴明の口が勝手に動く。
晴明の身体を金色の光が満たして行く。
「ダメだよ。晴明君」
悠が現れ、晴明の力を搔き消す。
「星龍もやり過ぎ。僕が止めなかったら独君と一緒に死んでたよ？」
