自転車
掲載日:2019/07/15
自転車を押して坂を上る
私は立っていた、丘の上に
夏の澄んだ空
遠く伸びる入道雲
刺すような日差しを避けるように私は帽子をかぶる
その下に広がる景色に見覚えはない
いつも暮らしているはずの街を上から見ることはないから
自転車を止めサドルに座る
私は見ていた、遠い向こうを
土の湿ったにおい
鳴きやまない蝉しぐれ
近くに感じる雨の気配
差し込む日の光が雲に消され近くの軒下に隠れる
雨に濡れたいと思う人はほとんどいない
ただ降ることを知らないから濡れてしまうのだから
自転車に乗り地面をける
私は感じていた、これからの未来を
湿った夕焼け空
ぬるい追い風
コーラの泡のように星が現れ夜の訪れを伝える
楽しかった一日が終わることを喜ぶ人はいない
明日がもっと楽しくなるはずとわかってはいないのだから
自転車は私を乗せて下り坂を勢いよく走っていった




