弱さ
「冨田、次はお前がPGをやれ」
「はい!」
活躍した選手にはプレイタイムが与えられる。SGには2年生の石山拓也173cmが入る。
2Qが始まり、冨田がボールを運び冨田がオフェンスを組み立てる。冨田は佐倉をスクリーンに呼びピック&ロール、ディフェンスが狭く小さくなった所で45度に鋭いパス。石山が受け取りスリーを放つが惜しくも外れる。そこに冴島が飛び込みリバウンド。ボールを掴み、ゴール下のシュートを決める。
「冴島さんナイスリバン!石山さんもどんどん打ってきましょう!」
冨田が味方を鼓舞する。シュートは外れたが俺から見ても良いオフェンスだった。冨田は鈴木監督から絶大な信頼を得ようとしている。
前半が終了し46-24。岐阜県ベスト8を圧倒している。
「良くやった。特に冨田、上手くゲームコントロール出来ていたぞ」
「はい!」
鈴木監督が冨田を褒め、上級生達も冨田を褒める。
「後半は冴島と冨田を下げるからな。点差、詰められるなよ」
監督はそれだけを言い、選手にシューティングをさせる。もやもやしたが、俺も黙って上級生について行きシューティングをする。
後半のスタメンは蛇川、石山、俺、佐倉、永野だった。俺はSFでの起用という事になる。
「2Qはインサイドを強調したからな、ウイング中心に攻めろよ」
鈴木監督はそれだけを言い、あとは選手に任せるという感じだった。
後半はマイボールで始まる。俺は蛇川に指示され、左45度のミドルポストでパスを受ける。コートを見渡すと少し狭く感じた。石山と蛇川がスペースを作ろうと動いていたが、俺は構わずシュートを放つ。シュートは外れ、リバウンドをとられて速攻を出される。俺はディフェンスに戻るのが遅れてマークマンにシュートを決められてしまう。
その後も俺は積極的に行くよう指示され、パスを受けてシュートを狙うが、ジャンプシュートが全く入らない。3Q、俺が得点したのはドライブして得たフリースロー2本とレイアップ1本の4得点だった。
「大和、もういい下がれ」
鈴木監督に言われ、俺はベンチの端に座り込む。
「あんま気落とすなよ」
近くにいた冴島が俺を励ます。返事はしたが、俺の頭には入って来なかった。