高低の出会い
タイトル定まってません
中学3年の夏、俺達は市大会を勝ち抜いたものの地区大会では2回戦で姿を消した。最後の試合、俺は30得点。俺は負けなかった。マッチアップを圧倒し、孤軍奮闘。俺のバスケ人生は宮市高校へと進む。
入学式が終わり、各クラスのホームルームが終わり放課後。俺は早速体育館へ向かおうとする。
「背高いね。何cm?何部に入るの?」
教室で後から声をかけられた。振り向き、目線を落とすと爽やかないわゆるイケメンがいた。
「187。バスケ部だけど」
「やっぱり!俺もバスケ部なんだ。よろしくな。俺は冨田堅、167cmだ」
言い終わると同時に応えられ、少し気遅れする。
「俺は大和晃。よろしく」
適当にあしらい、2人で体育館に向かう。
体育館につくと、まだ入学式の片付けをしている最中だった。
「今日、練習ないのかな」
冨田が残念そうに呟く。しばらくその様子を見ていると、大柄な教員が近付いてきた。
「君達、バスケ部?だったら練習は午後1時半からだよ。売店にでも行ってなさい」
俺達は教員に言われた通り校内の売店へ行き、時間を潰す。
1時15分を過ぎた頃、体育館に向かうと1年生らしき集団と、先程の大柄な教員がいた。
「君達もバスケ部だね。俺はコーチの北村だ。これから君達にはインターバル走をしてもらう。各自着替えて準備してくれ」
部室に案内され、俺達は急いで準備をする。外に出ると北村が待っていた。
「これから校舎の外周を走ってもらう。とりあえず全員ついてこい!」
訳もわからないまま俺達1年生は北村について行く。ペースはかなり遅かった。1周で800mくらいだろうか、2周走ったところで北村が止まって振り返った。
「今走ったコースを2組に別れて交互に走ってこい。先頭が1周したら2組目がスタートだ。最低でも5周するぞ。早ければ早いほど評価するからな。頑張ってくれ」
1年生が2組に別れ、俺と冨田は1組目になった。
北村の合図で1組目がスタート。俺もゆっくり走り出す。
すると、1人だけ明らかに速いやつがいた。それは冨田だった。全力疾走ではないだろうが、明らかに他のやつとはペースが違う。周りもつられてペースを上げる。
俺が1周目を終えた時、冨田は既に北村と話していた。あの速度で走っていたのに、まだまだ余裕がありそうだった。
5周が終わり1年生のほとんどは膝に手をつき、息を切らしていた。そんな中冨田はまた北村と何かを話していた。顔はほんのり赤かったが、まだ余裕がある。冨田は小さいが、すごいやつな気がしていた。
北村とともにゆっくり全員でもう1周歩き、やっと体育館へ行くようだ。