第6話 仲良くなろう
「やばい....逃げねぇと.....殺される」
そう言っておっさん冒険者は後退りした。
「わ、私も.....」
魔法使いっぽい女性は逃げる途中足を挫いて立てないようだった。
「悪いなリタ、お、俺はこんな所で死ぬ訳にはいかねぇんだ.....」
おいおいおっさん、逃げたぞ。最低だな。殺さねぇのに。
「な.....、待ってくださいっ.....置いてかないで.....」
え、かわいそ。フード被ってて顔見えないけど、俺と同じくらいの歳だろうか、まだかなり若い。
この世界について色々聞きたい所だがどうやって話そう。声、ウゥとかアァしか出ないし。
そういえば、転生したらその世界の文字って勝手に書けるとかあったよな。
書けるかな。
地面に爪で、自分の名前、篝 和斗と書くとなんと見たこともない字が勝手に書けていた。
はいキタァァ、書けるぜ。これで色々聞けるっ!
いや、だがここで焦ってはダメだ、落ち着いていこう、うん。
そりゃ、いきなりドラゴンが字書いたってびっくりして話進まんだろ。
と言うことで、まずは仲良くなろう。
「....ひっ.....」
振り向いただけでめっちゃビビられた。
えーと、どうしよう。仲良くなるって言っても俺、転生する前クラスでぼっちだったし女子と話したこと無いんだよね。
だが、今はドラゴン。恥ずかしさを捨てて、この可愛い系の見た目を利用すればなんとかなるのでは......
てくてく.....
「こ、殺さないで......」
よっこらせっと。
「へ.....?」
確か名前はリタっておっさん行ってたな。
リタの膝に座って可愛さアピール作戦である。
もし、俺が人だったら恥ずかしさで死んでいただろう。
____________________________________
sideリタ
ドラゴネット。それは、可愛い見た目に反してCランクの冒険者4、5人がパーティーを組んで倒せる相手。
そして、それが今私の膝の上に座ってこっちを見ている。
攻撃して来ない事から敵意は無いんだと思う。
そして、可愛い。
体は、ぷにぷにしていて手の甲に大きな鱗がある。全体的に色は黄緑っぽくて、尻尾に毛が生えている。角は黄色っぽくて短いのが頭に二本ある。
でも、どうして攻撃して来ないんだろ?
____________________________________
よし、可愛いアピールは成功みたいだ。
だが、もう日も暮れてきたから話すのは明日にしよう。
足を挫いているみたいだから、近くの洞穴で休ませよう。