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闇術使いの英雄凱旋  作者: K=Shou
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第四話 計画

お久しぶりです

相当期間が空いてしまいましたが四話目です

「声が震えてた!?よく気づいたわね。」


月影、森田、水森と別れて帰宅した俺と凛は、上山を加えこれからの対策を練ろうとしているところだ。


「…そうだ、明らかに水森が動揺していた。何かを隠している証拠だ。」


そう、あれは確かに何かを隠している。おそらく、水森に親しい人物、もしくは水森自身がABUの可能性が高い。仮にそうでなくとも、やつが何かしらの情報を持っているのはまず間違いないだろう。そこら辺をもっと探る必要がありそうだ。

だが探る上で問題点が一つ。


水森との接点を持っている人物が、この三人の中で俺しかいないこと。

それだけならさして問題ではないのだが…


「涼様に調査を任せるとなると、やはり涼様自身の性格がネックになってきますね。」


「そうなのよねー。本当、そんな性格じゃなければもっとやりやすかったのに。」


「…」


この二人が指摘するように問題は俺の性格。俺が学校で、あまり他者と関わろうとしないことがネックになってくる。


俺自身あまり他人に干渉したくないというのもあるが、それ以上に重要なのがABHであることを隠すため。


ABHが表向きで存在する目的はあくまで、凶悪化する犯罪の取り締まり。

強盗やテロ、立てこもりなどの犯罪を解決する。

その他にも万引き、ひったくり等の事件も現行犯でのみ検挙に協力する。

言うなれば私服警官。


俺がABHであることを隠すのは面倒事を避けるため。ABHであることを公言してしまうと、俺を利用しようと擦り寄ってくるやからが増えてくる。それは俺の経験上、まず間違いない。面倒事に巻き込まれるぐらいなら、隠したほうがマシだ。


以上のことから、俺は積極的に他者と関わろうとしない。


―――それがまさか、こんな形で裏目に出るとはな。


「それで、どうするの?あんたも今更キャラ変えられないでしょ?」


「…確かにな。だが、運の良いことに、これからうちの学校は試験期間が始まるんだよ。」


「…は?それが水森ちゃんって子に探りを入れるのに、なんの役に立つっていうのよ。」


「確かに、凛の言うことは最もだ。詳しく説明する。」


そう、この会話の中で俺はとある奇策を思いついた。


「まず、凛なら知ってると思うがさっき水森と一緒に月影ってやつがいたろ?」


「ああ、あのハーフの可愛らしい子でしょ?」


「そう、そいつだ。約一週間前、あいつとこんな会話をしてるんだよ…」




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




『神崎君神崎君!突然だけど勉強教えてよ!』


『…本当に突然だな。どうしてだ?』


『いやほらね?後一週間もしたら試験期間が始まるでしょ?』


『…それとこれとなんの関係がある』


『…前回の私の結果知ってるくせに…意地悪いよ神崎君!』


『あーそういや、前回散々だったってぼやいてたな。』


『そーなの、だからね?勉強ができる神崎君に教えて貰おうと思って~。』


『…俺だってそこまで勉強できるわけじゃねぇよ。』


『もうっ!極端な遠慮は人をバカにしてるみたいで嫌われるよ!

前回も五教科平均90点以上とってたじゃん!』


『…悪かったな。それで?勉強を教えてほしいと。』


『そう!流石に今回頑張らないとヤバイからさ~。お願いしますッ!』


『…話はわかった、だがすまん。俺は今日この後…用事があるんだ。勉強に付き合うことは無理だ』


『え~!またなの~!?神崎君、いっつもそうやってはぐらかしてくるじゃん~!』


『…仕方ないだろ。忙しいもんは忙しいんだ。勘弁してくれ。』


『むぅ~…わかったよ…ただし、絶っっっっっっっっっっ対に!試験期間が始まったら、勉強に付き合ってよね!』


『…わかったよ』




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




「ってな会話をしていてだな。」


「はぁ?それと水森ちゃんに探りを入れるのと、なんの関係があるのよ。」


凛が何故か、多少苛ついたように聞いてくる。

すると上山がすかさず


「凛様のおっしゃることもわかります。しかしながら涼様。何か考えがお有りになるのですか?」


とフォローを入れてくれた。さすが上山、人を落ち着かせるのに慣れている。

しっかし女ってもんは本当によくわからんな。


「とっとと説明しなさいよ!早く!」


―――わかってるようるせぇな!

と思わず言ってしまいそうになったが、余計に怒らせるだけなのでやめておこう。


「…説明する。まずさっきも言ったように明日から試験期間だ。

俺は月影に絶対と言ってしまってる。だから約束を果たすようにあいつは俺に言ってくるだろう。」


「…それがなんだって言うのよ。」


―――まぁ、凛の言うこともわかる。しかしまぁ、あいつの性格上…


「…あいつの性格上、俺は男女二人で一緒に勉強ってのはまずないだろうと考える。あいつもなんとなく気まずいだろうからな。」


「…それで、水森ちゃんって子に白羽の矢が立つ可能性がある、と。」


「恐らくな。月影と水森は大の仲良し、恐らくあいつが誘ってくれると考える。それで上手い具合に二人になれるときを見つけて探りを入れる。現状はこれしかないだろ。」


事実、現状はこの方法しかない。一刻も早く解決しなければ、色々と厄介なことになる。

しかしこの方法はある種のギャンブルになってくるな…


「…たしかにいいアイデアだとは思います。しかし涼様、もし月影様が水森様を誘わないもしくは、水森様以外を誘うという提案があるかもしれません。その時はどうするおつもりですか?」


そんなことを考えていると、上山が俺に疑問を投げかけてきた。


―――それもそうだ、水森以外も誘うって発想はなかった。

確かに考えものだな。どう対処すべきか…


「…そこはアドリブで何とかする。俺の話術にかかればなんとかなるだろ。」


「まぁ確かに、涼様にかかればなんとかなりますか。その方法でおまかせいたします。凛様もよろしいですね?」


「…別に、良いんじゃない…」


おいおい、こいつはいつまでふてくされてるつもりだ…?

なぜだかわからんが本当にいい加減にしてくれ…


「…そっそういえばそうでした。夕食がまだでしたね!そろそろ準備をいたしませんと。」


そうだった。対策に集中していて時間をあまり気にしていなかった。気づけばすでに六時を回っている。そろそろ夕食の準備を始める家庭がちらほら出てくる時間帯だ。


「…今日のメニューはなんだ?上山。」


上山が作る食事は本当にうまい。一流のシェフにも劣らないレベルだ。

どっかの有名店に就職できるんじゃないか?


「凛様の好物、オムライスです。」


「…!?オムライス!?」


「うおっビビった。何だいきなりテンション上げやがって。」


「だってそうでしょ!?悠人さんのオムライスよ!そりゃテンションも上がるわよ!!」


…全くこいつは、本当に単純だ


「なんかガキみたいだな。」


「やかましい!良いでしょ別に!楽しみなんだから!」


「まぁ…たしかに、上山の料理は何でもうまいけどよ…」


「お褒めに預かり大変恐縮です。それで涼様。」


「…ん?どうした?」


「明日はがんばってくださいね。」


「…どうした?いきなり。」


「いえ、なんとなくです。」


…なんだそりゃ。


「…そうか。ありがとうな。頑張ってくるよ。」


「そうと決まったら涼!明日のためにも悠人さんを手伝うわよ!」


「…何がというわけなんだ…」


「いいからいいから!手伝うわよ!ほら!はやく!」


「オムライスが嬉しいのはわかるが…興奮しすぎだ。全く。」


適当に受け流しつつも俺の頭は、やはり水森のことで頭がいっぱいだ。

もしかしたら明日、俺らはこの街にいられなくなるかもしれない。

もしかしたら、月影と水森の関係もめちゃくちゃになるかもしれない。


―――悩んでてもしょうがないな。全ては明日決まることだ。

自分にそう言い聞かせ、今はただ、夕食を待つ。


次回の投稿も遅くなりそうです

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