プロローグ
初投稿です
至らぬ点もあるかと思いますが頑張っていきます。
「おはよー神崎君。今日も朝早いねー。」
彼女は教室へ入ってくるなり、俺に声を掛ける。
「お前も大概早いだろ。月影。」
俺は、窓の方を向いたまま声を返す。
「まーね。私が2番で神崎くんが1番だもん。」
と話すこいつは月影ミレ。
俺と同じ中学二年生。俺のクラスメートで、クラスの人気者。常に人の中心にいる、所謂リア充。
「しっかしまぁ月影、なんで毎日毎日こんなに早く登校してくるかねぇ。」
「それは神崎君にも言えることじゃない?わざわざこんな早くに来なくても、家でゆっくりすればいいのに。」
「家でゆっくりはしたくねぇな。学校にいたほうが時間を気にせずゆっくり出来るし、勉強に集中できるんだよ。」
俺は窓の方を向いたまま話を続ける。
「それよりお前だよ、月影。こんな早く来ても、やることと言ったら俺と話すぐらいだろ。」
「んー?だってそれが目的だからね~。早く来たらその分、神崎君と話す時間が増えるじゃん。」
「…言ってろ。」
―――俺はこの女、月影ミレが苦手だ。
彼女はやさしい。確実に、誰が見ても。
彼女は、どんな人間でも困っていたら必ず手を差し伸べる。
優しい、と言うよりお人好し。
基本、無口で”寄らば切る!”というオーラを放っている俺にわざわざ話しかけてくるぐらいのお人好しだ。
―――さっきの発言も、間違いなく彼女の優しさそのものだろう。
だがそんな優しさも、人によって、時によっては苦痛になりのしかかってくる。
俺にはその優しさが、時に真っ黒に、裏があるように思えてしまう。
彼女の人間性を、裏があるように捉えてしまう。否定をしたくなってしまう。
俺はその優しさを、うまく信じることができないんだ。
俺は心が貧しいんだろうか。
もしくはただ単に…
「…崎君、神崎君!」
「…あぁ、すまん。聞いてなかった。」
…考え事をしていると、周りの情報が全く入ってこなくなる。俺の悪い癖が出ちまったな。
「神崎君結構そういうとこあるよね。考え事でもしてた?」
「…いや、ただ眠かっただけだ。それでどうしたって?」
「だからね、最近学校周辺に変な噂が立ってるんだって。」
「…変な噂?」
この町で変な噂なんざ早々聞かないぞ…
嫌な予感がする。
「うん。なんかね、学校の近くにおっきな豪邸があるでしょ?その家の庭に雷が落ちたりキャンプファイヤーみたいな炎が上がってるのを見たって人がたくさんいるんだって。」
―――マジかよ…
「…真っ昼間からか?」
「そうみたい、それも結構な頻度でね。何せ大勢の人が見たって言ってるから噂は本当みたいだけど…神崎君は見たことない?」
「……」
「神崎くん?」
「…いや、見たこともないし聞いたこともないな。そんな噂。」
「そっかー。もしかしたら何かあるのかな?あそこの家。」
「どうだろうな。俺はあまり興味が無いが。まぁとりあえず、そんなところにはあまり近づかないほうがいいぞ。何されるかわかったもんじゃないからな。」
―――あのバカどもは。
閲覧ありがとうございました。