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再び巡り会うその日まで  作者: 10雪菜01
番外編ーシーク・ドールの場合ー
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第3話

「………やっぱりこういう感じか…」

試着室で俺は呟く。

リリアがチョイスした洋服は、黒いサルエルパンツ。

そして、青い夏用のパーカー。

ただのパーカーなら良いかなって思ったけど

「猫耳フードのパーカーかよ…」

俺はフードを被り肩をガックリと落とす。

ゴシック調の店なのに…

(まさかの洋服…)

完全に予想外だった洋服に俺は項垂れる。

(仮にもライアさんが俺の目標なのに…)

ライアさんは185センチも身長がある。


俺とは30センチ定規でも追いつけない身長差。

(憧れるくらいタダな筈だ。悪いことは何一つしていない)

でも

(猫耳パーカーは幼すぎるだろぉぉぉぉっ!)

チラリと鏡を覗き込めば、幼い顔の自身の姿が青い瞳に飛び込んでくる。

しかしその姿は、悔しいことに違和感なんて感じない。

その事実に俺は言葉を失う。


その時

「テアちゃーん!どうかな〜開けるよー」

リリアの声が響くと共にシャッと、カーテンが開けられる。

「ぁ、まだいいって言ってな…」

言いかけた俺だったが

「んーっ!テアちゃん可愛いーっ!」

「はぁっ⁉︎可愛いってなん…っ…」

抗議する俺の言葉を無視して、リリアは

「キャーッ♡」

と声を出しリリアは俺に勢いよく抱きつく。


「ぁっ!こら!危ねぇだろ⁉︎ってぅわぁぁぁぁぁっ⁉︎」

必死に受け止めようとしたのだが、それも虚しくリリアと共に俺は試着室に転げる。

「やーん…痛……あれ?痛くない」

俺の上でうつ伏せたままリリアがキョトンと声を出す。

「……痛くないなら…いい」

俺は、彼女を乗せたまま呻くのだが…

「ありがとーっ」

エヘヘェと、笑ってリリアが状態を起こす。

「……ぁっ……」

俺は言葉に詰まる。

「…どっか痛い?」

「いや…違う…」

俺はどもりながら否定する。

よくよく考えてみると、狭い空間にリリアが密着しているからだ。



しかし、リリアは俺の小さなパニックに気付くことなく

「ぇー?でもどこか怪我してたら…」

俺が着ているパーカーをめくり上げる。

「ちょっ⁉︎何⁉︎」

「アザでも出来たかと思って…ぅーん…?」

ペタペタと彼女は俺の腹を触る。

「ちょ、辞めて!リリアそこくすぐったい!…くっ…ふふ…あははははっ!」

俺はの口からは堪えられず笑い声が漏れる。

「痛くないならいいけどぉ」

そう言いながらリリアは俺の腹から手をどかす。


ゼェゼェと肩で息をしてリリアを見つめるが、彼女も同じように俺を笑顔で見つめる。

「……何だよ?」

「着替えないの?」

「いや、だから…あのな?」

「ぁ、ここお店だ。ごめんごめーん」

と軽く謝りながら彼女は試着室のカーテンを閉める。

(そういう問題じゃない…)

と俺は心の中で突っ込んで、元の服に着替えて、試着室を出る。


すると

「はいっ♪どーぞ♡」

ボックスを可愛くラッピングされた少し大き目の箱を見せてくる。

「いや、どーぞって…?」

「私からのプレゼントだよ!試着ピッタリみたいだったから先に買っちゃった」

Vサインをしてリリアは笑う。

「え、いやでも…お金」

「もぉープレゼントって言ったでしょー?」

「いや、申し訳ないじゃんか」

俺が呟くとリリアは

「ぁ、そーだ!じゃあこれ買ってよ」

「?」

疑問符を浮かべた俺にリリアが見せたのは

「鈴型のイヤリングーっ!可愛い?似合うかな?」

実際に試着することはしてないが、彼女は耳元にそのイヤリングをあてがう。

「それでいいの?」

「うんっ。このチョーカーと同じシリーズなんだけどね?」

そう言いながら、リリアは俺に首元のチョーカーを見せてくれる。

チリチリと鈴の音が鳴り響く。


「あれ?でも、そのチョーカーにフローラいるよな?」

「もとは只のチョーカーなのっ。ゲラタムのあの古物商みたいなお店あるでしょ?」

「ぁぁー…あの今にも潰れそうな古臭い店…」

俺は一度だけ入ったことのある店を思い出す。

確かあの時は、俺が産み出され一年経っていない頃の話だ。


確か、年端も行かない目付きの悪い金色の目をした黒髪の少年と、銀髪の男性がいたはずだ。

確か…

(カスールとオゼルクと言ったか…)

俺は胸中で彼らの名前を確かめる。


にしても、ゲラタムのような街にあんな古い店があること自体、今考えると不思議だ。


(一体、あの店はなんなんだ?)

眉根を寄せる俺に

「どうかしたの?」

なんて、リリアは覗き込んでくる。

「いや…」

「あそこに、異世界(シャルバラ)道具(ツール)があったから、買い付けてたんだー。それでね、先日フローラが来てくれたから直ぐ改良したのーっ」

「そう」

そういうことなら

「分かった。じゃあ、そのイヤリング俺にプレゼントさせてよ」

「やったーっ!ありがとーっ」

リリアが後ろで手を叩く。

俺はそれを横目に見ながら、お会計を済ませるのだった。



…にしても…

あの店に異世界(シャルバラ)道具(ツール)

なぁんか怪しい。

(帰って、落ち着いてから少し調べてみるか…)

そう思っていたのだが。

まさか、帰宅してからの騒動でそんなことスッカリ吹っ飛ぶなんて思っても見なかった。



「さて……」

組織内に戻り、リリアと別れた俺は自室にいた。

胡座をかき、カーペットの敷いてある床に座る。

「…結局コレ買ってもらっちまったな」

コレ。というのは洋服のこと。


ラッピングされている包装紙を綺麗に剥ぎ、俺はボックスを開ける。

「博士に頼んで洗って貰わないとな」

猫耳フードのパーカーを広げた時、パサッ…と1枚の布切れが落ちた。

(…なんだ?)

拾い、マジマジと見ていた時だった。



コンコンコン。

自室の扉がノックされる。

「どーぞ」

許可をだし、扉を開けると

「言い忘れてたわっ」

ヒョコッとリリアが顔を出す。

もぅ、先ほどの私服ではなく彼女なりの戦闘服。


黒いコルセット調のトップスは胸元まで編み上げられ、黒と赤のフリルのスカートから白い太ももが覗いている。


「ノックなんて珍しいじゃん」

目のやり場に困りながら俺が言葉を発すれば

「レディっていうの?気を付けなきゃって思ってね」

ふふん。と得意げな顔をしツインテールを揺らすリリアだ。


しかし、

「この短時間で何に感化されたか知らないけど…ノックするのが一般的じゃねぇの?」

俺は半ば呆れつつも丁寧に突っ込む。


すると

「なによーっ。折角私がパンツの説明してあげようと思ったのにっ」

「パンツの説明⁇」

俺は扉を更に大きく開き、リリアを部屋に招き入れる。

「そーそーっ!お洋服と一緒にトランクスが入ってたでしょ?」

「トランクス?」

「そーよっ!お兄さんなパンツよっ、オニパンよオニパン!ほらここに……ってあれれ?」

リリアは、猫耳フードパーカーを広げ、サルエルパンツも広げるが、どうやらそのトランクスっていうのが見当たらないらしい。


……ぁれ?

「なぁ、もしかしてコレのこと?」

俺は左手に持つ、先ほどの布切れをリリアに見せる。

「そーよ!それそれ!なんだぁっ知ってるじゃんっ」

「…これパンツなんだ?」

俺は、そのトランクスとやらをマジマジと見入る。

「そうだよー!履いてみたら?」

「……レディーは着替え見ないと思うんだけど…それに、一回洗濯してからがいいかな」

リリアを見やると

「それもそっか!」

ポンッと右手の拳で左掌を打ち付ける。

「だったら早く出て」

ギィッ。と俺は扉を開けて促すが

「待って待って待って!」

「何?」

「これ、ありがと!」

コレと言って見せてきたのは、先ほど買った鈴型のイヤリング。


…あぁ、そういうことか。

「もしかして、それ言うために部屋に来たんだろ?」

俺なニヤリとしながらリリアに問う。

「…っ…違うわっ!パンツ!パンツの説明よっ!」

チリチリと鈴の音を鳴らしてリリアは反論してくる。

フリルのスカートが揺れる。


「はいはい。分かった分かった。ほら、その服だ、仕事なんだろ?」

適当にあしらいつつ、俺は再度部屋の扉を開け彼女を促す。

「んむ〜っ」

「時間大丈夫なの?」

俺の質問にリリアは少し焦った顔をして

「んっ!だめ!行ってくるーっ!」

バイバーイッと俺の元から駆けていく。



その後ろ姿に手を振って見送ったのだが

(……?スカートの下のって…?)

フリルのスカートは柔らかく軽い。

リリアが駆ける度フワリフワリと揺れ動くけど……

チラリと覗く布に

(サテンだかってやつ?ぁ、パンツは綿じゃないって言ってたもんな)

俺は1人納得し部屋に戻る。



だけど

(いやいやいや!パンツ見えてるとかダメだろ⁉︎リリア女の子‼︎)

俺は慌てて部屋から飛び出したのだが

(あぁ…遅かった…)


フローラを使って転移したであろうリリアには到底追いつけるわけもなく


(……帰ってきたら言うべき?…いや…なにかもっと対策あるはず…)

俺は顎に手をやり考え自室に戻る。


(そもそも、スカートってなんであんなフワフワフワフワ頼りなさそうな布なんだ…)

パンツスタイルしか経験したことのない俺からしたらとても理解難い。


そして何よりも

(……ピンクに黒いヒラヒラ付いてたな…)

リリアのパンツが脳裏から焼き付いて離れなくなってしまっていた。

ご閲覧ありがとうございます。


このお話で、過去に彼らとポーターの接点があったことを少しだけ明かせました。


オゼルクは、2章の中に出て来てますが

カスールとアイレンの出産に立ち会ったモグリのお医者さんです。



次回更新、ストックは出来ているので近いうちに更新出来ればと思っています。

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