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第1話

挿絵(By みてみん)


あと数日で満月になりそうな月が浮かぶ。

辺りは静寂に包まれ、町は眠りについていた。


月明かりだけが頼りな闇の中。

女は冷徹な瞳で男を見下ろす。


木々が生い茂る細い路地で女を目の前にし、男は絶望的な声を上げる。

「……ま…待って…くれ」

ガタガタと震え、腰を抜かす男に対して彼女は、息一つ切らさぬまま背面に月光を浴びる。


彼女の左耳に付けられているリング状のピアスが、月光に照らされて鈍く光っていた。

「ジェイク・マトラーという男は知っている?」

腰を抜かす男に歩みより、女は問いかける。


「ジェ…ジェイク…?」

立ち塞がる彼女を見上げ、男が眉根を寄せる。


その様子に

「知っているなら…最後に、望みを聞いてあげようとも思ったんだけど……ね?」

「ジェイク……ジェイク…だろ?」

男は視線を泳がせて、脳内の記憶を呼び覚まそうとしていたのだが


「知らなそうね」

女はそう呟いて、しゃがみ込み男の喉元に左手を添える。

右手に持たれたナイフを見た男は

「…こ…!殺さないでくれ!そうだ!金!!金を…!」

慌てて懇願する。

その言葉に

「お金…?」

揺れ動く彼女の赤い髪が銀色の刃が…

一瞬止まった。

「そうだ…誰の依頼か知らないが倍の報酬を…っ!」

男は叫ぶが

「…下品ね。交渉決裂。そういうの嫌いなのよ」

サヨナラ。と無慈悲にも女は別れの言葉を投げる。


そして、次の瞬間には男の喉元の皮膚は切り裂かれ、漆黒の闇の中に赤黒い液体が飛び散っていた。


女は黒に近いレザー素材の服に身を包んで、大量の返り血を浴びる。


男の喉元を切り裂いたナイフから、滴る赤黒い液体を一瞥したのち

(汚い……)

胸中で呟いたあと、ピッ……とナイフを振り、血飛沫を払う。


無数の赤い液体がタタタ……と路面に残される。


「死に方さえも……下品なのね」

呟いて、左頬に浴びた返り血を手の甲で拭い、男だったものを彼女は見下ろしていた。


挿絵(By みてみん)


赤髪のショートヘア。

少しくせっ毛。

金色の瞳を持つ彼女は

「アイレン・ストレシア」

背後から彼女の名を呼ぶ低い声がした。


その声を聞き、アイレン・ストレシアは眉根を寄せ怪訝な顔を見せる。

「毎回、何処から見ているわけ?」

ナイフをパチンッと片手で折りたたみながら名を呼んだ人物を見据える。

「知りたいか?」

そう言いながら、アイレンの澄んだ金色の瞳を見つめる。


その言葉に、これ以上の追求は無意味なものだと判断したのか

「全く……男のくせに」

淡々と言葉を放ち、彼女は先ほどまで魂が入っていた抜け殻を見やる。


月光に頼りなく照らされる抜け殻は

「まるで眠っているようだな……」

と男は平然と抜け殻へと歩む。

「後片付け頼んだからね」

ヒラヒラと顔の横で彼女は手を振る。

月光に照らされながら歩む彼女の後ろ姿に

「また近々、依頼する」

この言葉に一瞬迷いのある顔をして彼女……アイレン・ストレシアは

「……報酬、奮発してよね」

一言残し、彼女は月の光も届かぬ

更に細く、暗くなる闇の中へと消えていった。

あけましておめでとうございます。


そして初めまして。


雪菜と申します(*´∀`*)

この度、読者の皆様には

『再び巡り会うその日まで』

をご閲覧いただきありがとうございます。

貴重な皆様の時間を頂けたことに感謝致します。


公開にあたり、挿絵を担当してくださっているクラウンベリー様には、

comicoベスチャレ『マスファミ』の連載の中手がけてくださり、多大なる感謝を申し上げますm(_ _)m


週一更新を目指しております。


本編だけでなく

番外編等も後々組み込んでいけたらと思いますのでどうぞ末長くよろしくお願いします。

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