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勇者のぶあき

なんだよ‥結局こうかよ‥。

雷雨の中木の陰に隠れた青年。

勇者のぶあき。

またの名を食い潰しののぶあき。

のぶあきは今城を、街を追い出されこの雨の中1人木の陰で雨宿りしていた。


4年前に魔王を倒したのぶあきパーティ。

勇者のぶあきを筆頭に、王女ミルキー、商売人ドロン、そして聖職者チノム。


のぶあきはただの農場で働いていた。

そこに見覚えある顔の人が現れた。

2代目勇者の男だった。


のぶあきには夢があった。

有名になりみんなにちやほやされる。

そして何よりみんなの役に立ちたい‥と。


そこにあの出来事が起きた。

魔界降臨。

この世界で一番と言われるエスベスト山と魔界が繋がったのである。


2代目勇者は呟いた。

「やっと‥か」

のぶあきはその言葉を聞いて確信した。

(この人は本当に勇者になるためだけに生まれた人なんだ‥!!)

のぶあきはその後彼と会う事はなかった。


彼と出会ってから3年。

のぶあきは必死に剣の使い方、魔術の勉強をした。

だがのぶあきには魔術は向いておらず、剣の使い方のみを鍛え上げた。


剣術はみるみると上達し、王剣法を容易くおさえつけた。

それをみた王はこう言った。

「お主が勇者になるのじゃ!2代目の帰りが遅すぎる!今から仲間を集めエスベスト山に向かってくれ!わしからは我が愛娘のミルキーの同行を頼んだ。魔術が得意な奴じゃ。連れて行って損はない」


こうしてミルキーと出会った。

雑魚モンスターを倒し、魔術力、戦闘術を学びながら進んだ。

行く街行く街になんらかのトラブルに巻き込まれた。


「お、俺の金ぇ返してくれぇ‥」

「この金はオメェさんのじゃねぇ、俺の貸した金だ」

この取り立て役がまさか仲間になるとは思ってもいなかった。

商売人ドロン。

商売術はこいつの右に出るものはいない。

金貸し、物売り、物買い。必要な知識はマスターしていた。


ドロンが預けていた銀行がモンスターに襲われた。

銀行員達が逃げ出す中ドロンは1人で突っ込んだ。

そこで衝撃の事実が知らされた。


「ドロン‥ここの金は全てお前のだろ?グッエッヘッヘ俺が今から盗むからおれのもんだ。また集め直してくれぇ。お前の親に会いたいんだろう?」

ドロンはモンスターの使いっぱだった。

親のために金を稼ぎモンスターに支払っていた。


これは俺たちにはどうにもできないと思っていた最中モンスターの声がさらに聞こえる。

「まぁ、お前の親の居所なんかしらねぇがなぁ。グッエッヘッヘ。今まで仲良くしてやったろ?そのお駄賃だこれは」

ドロンは服を脱いだ。背中に呪術を施していた。

「魔装」

ドロンの姿はみるみるモンスターに近づいた。

「魔装‥き、貴様‥呪われた一族かぁぁ」

これが奴の最後の一言だった。

モンスターは木っ端微塵となった。


そしてここではすれ違い解散した。

次の街で聖職者チノムと会うことになる。

チノムは言えば超のつくドジ娘だった。

いつも神父さんに怒られては反省し開き直り、

またやらかしては反省し‥を繰り返していた。

神父さんも痺れを切らしてとうとう解雇処分を下した。

チノムは立派な聖女になり帰ってくると告げた。

その時はまた雇ってください‥と。

そして俺とミルキーに声をかけてきた。

「勇者様!どうか私を連れて行ってください!魔王を倒しみんなの役にたち、私自身のスキルアップにつなげたいのです!」


俺はすぐにオーケーした。

なぜならば可愛かったからだ。

ミルキーも可愛い。しかし怖いのだ。


「ミルキー。魔術を少し教えてくれないか?」

「断る」

「ミルキー。野宿になるよ?このままじゃ‥」

「お父様にお金を渡されている。しかし自分のためだけに使えとの事だ。貴様は野宿、私は宿屋だな」


‥‥。思い出しただけで腹がたつやつだ。

だがみんななんだかんだいって魔王倒した後も働いてるんだよなぁ‥。

俺だけが城で一日中鍛錬とゲームの日々だもんなぁ‥。

‥食い潰しののぶあき!!

‥あんなの勇者でもなんでもない!

‥他の奴らを見習えー!


俺に居場所はない。

ならまた冒険者に戻ろうか。

ミルキーに挨拶はしてきた。

そうだな‥。まずはドロンに会いに行こうか!

のぶあきは木の陰で眠りについた。


雨の中勇者は野宿していた。

勇者になりたてのあの頃のように。


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