赤い空と切り株の丘
「おい、待てって!」
少年は無限とは言いにくい有限のスタミナを使い果たし丘へと続く堅いコンクリート路面をゆっくりと歩いている。
「遅いぞぉ、私と付き合うならもっと根性を見せろ」
赤く沈む夕日の光が少年を待つ少女の髪が重なり赤みがかかった少女の髪を一層と赤く、煌びやかなものに変えた。
「うがぁぁぁ!」
動こうとしない足を無理やり気合いで動かす。
「そうだ、体育会系の私と付き合うのだろ?」
「貴女様昨日は文学系とか言ってたのに・・・」
少女は少年の言葉をあたかも聞えていない、聞いてないかのように言葉をつなげる。
「さぁ、がんばれ」
今の関係は恋人―いや昔から恋人だったのかも知れない。この二人の出会いは世界では微塵な事かも知れないし二人の住む町でも些細なことかもしれないが、六十七億分の一の出会いである事には変わりはなく、無数の出会い方の一つかもしれない。
「やっと着いた」
少年のスタミナを使い果たして辿りついたのは一本の切り株だけしかない丘にたどりついた。少年達からしてみるとなじみ深く。前までは木が一本立っていたが今はもうなかった。
「じゃ、あの言葉をもう一回言ってくれ」
「本当か!」
最後、明日になればこの丘はなくなるがどういった理由で無くなるのかは少年達は知らない。ただ最後だと言う事だけだった。そういう意味ではこの場所を思い出の場所とするために告白と言う一大イベントを選んだのかもしれない。
「もう一回!」
「わかったよ」
少年は大きく息を吸う。冷たいが何処か温かい感じさせる。
「絶対に幸せにする。貧乏になるかもしれないが断言して幸せにする・・・・」
「俺の残りの人生を賭けて言う。俺と結婚してくれ!」
少年の思いは声に乗る。少年の瞳は固く決意した芯が見える。少年の決意は数時間前まで青かった空すら赤く、情熱的に染め上げる。
「・・・絶対だぞ、絶対私を幸せにしてくれるのか?」
「あぁ、絶対だ」
「貧乳でもか?」
「おう、そんなのは関係ない」
「可愛くはなれなくてもか?」
「可愛いから俺は告白してる」
「男っぽくてもか?」
「それは、幼馴染だわかってる」
「骨を折るかも知れない」
「できれば、やめて」
「最後に聞く、私は命を賭ける存在か?」
少し少年に笑みが見えた。
「俺はお前に命を賭けた存在だぞ」
「もう一度聞く、私が好きか?」
「断言して言う・・・・」
「大好きだ!」
丘から見える夕日で赤く染まる坂。学校のチャイム。人の生活する音。
「じゃ、私も言う」
「私は貴方と結婚します!」
怖くはない。どんな困難が待とうが、少年達はそう思える。
その感情は一瞬の事かも知れない。もしかしたらこの後別れるかもしれない。
だが、一つの出会いは始まったばかりだがこの物語を締めるならこう言おう。
―めでたし、めでたしと
どうでしたか?出来れば感想などお願いいたします。
未熟かもしれませんがどんどん腕を上げていきたいと思います