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あんた、オヤジ?

「ど、どうしたの、コン。急に船を出すって」

 保存食を食べながら、コンは荷物をまとめてヘルマンに言った。

「親父のことは、何も聞くな」

「どういうことさ。コン。ちょっと、ねえ」

「親父さん、元気でやってるからよ」

 ヘルマンは背中を一向にこちらへとむけないコンラードに、不信感を募らせた。

「どういうこと。コン。言ってくれ。お父さんにもしものことがあれば、僕はいってあげなくちゃ、ならない」

「そういうことでもないんだ。まあ気にするな」

「何言ってるんだ。僕には皆目、見当すらつかないよ。お願いだ、コン。言ってくれ。お父さんに何が・・・・・・」

「よしソラ。碇をあげろ」

 ソラに話しかけ、わざとその話題から逃れようとするコンラード。

「コン!」

「知らないほうがいいことだってあるだろ、お前も男なら黙っておけ!」

 コンは皇帝と仲たがいしてきたおかげで、感情がたかぶっており、そのせいか、友人にまで怒りをぶつけてしまっていた・・・・・・。     

 だがコンの苛立ちの裏にはわけがあり、ヘルマンの繊細な心を、傷つけたくないというそれもあった。

 しかし彼の態度は、かえってヘルマンを疑心暗鬼にさせていく。

「なんだよ、それ。僕はお父さんに何かあったか、それだけを聞きたかったのに」

 コンはそれ以上何も言わなくなり、沈黙を一途に守り通していたので、ヘルマンとしても聞くことが躊躇された。

 


「ねえ、コン」

 早朝になると、目をこすりながら、自室でいびきをかいていたコンを起こすソラ。

「おきろ」

 コンの頭を勢いよく蹴る。

「ふげっ。鼻血出ちゃった。おいっ! このはすっぱめ!」

「それどころじゃないわ、ヘルマンがいないのよ」

 コンはいやな予感が走った。 

 


「やあ、おはよう」

 ヘルマンはいつになく、さわやかに微笑んでコンとソラに挨拶した。

「心配したんだよ」

 ソラがこれまた、珍しくヘルマンを気遣う。

 コンは調子が狂い、頭をぼりぼりとかいていた。

「ちょっと朝の散歩に。昨日はごめん、コンラード。僕、もう決めたからね」

「あ? 決めたって何をだ・・・・・・」

「僕は見届ける。きみがこれから何をなすのかを、ね。ソラから聞いたんだ。きみが実は、もうひとつの肩書き、あの有名なローゼンクロイツ卿であることを」

 コンはだらしなく、あんぐりと口を開きっぱなし。

 だがすぐにソラに向き直ると怒鳴りつけた。

「しゃべったのか、このおてんば娘!」

「ごめん、だってヘルマンも仲間でしょ。だったら言ってもいいかと思ったの。それにヘルマン、この間お父さんと会ってから、やさしくなった。あのあと私にも、謝ったのよ」

「ふ、ふうん」

 ふけが落ちるのも何のそので、コンは頭をかき続ける。

「やだ、きったなーい。コン、オヤジでしょ」

 コンはムッとしながらソラにいやがらせをはじめる。

「うわ、きったねえ。ほんとだ、コン、オヤジになってる・・・・・・」

「お前らまとめて、ふけ地獄味わえ! がっはっはっは」

 ・・・・・・あんたなぁ、この話だけは、まじめにまとめたいのに・・・・・・。  

     


 

 まったくどうして、いつもいつも(汗。

 でも今回は、ちょっと違って、この暴走も空回りするのかもしれない・・・・・・。

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