表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
北風が吹いたら  作者: 辰巳尚喜
3/16

一人目3

最後の晩餐、そんなカッコイイものではない。


空腹で野垂れ死ぬ樣なことは嫌だと思っていた。


最後くらい美味しい物を食べ、満足感の中で人生を終えたいと思っていた。


ただ、残された現金は1231円!


決して散財できる金額ではない。


納得いくまで考えたいと、このベンチで考えていた。

目の前を子供が走り回るのを見ながら考え続けた。


「オムライスかハンバーグか」


食べたい物はいくらでも湧いてでてきた。


この一年あまりは我慢に我慢をかせねて過ごしてきたのだから。


「やっぱ、肉食べたいなぁ」


考えては所持金の少なさで消えていくのが半分近く。

小野はふと隣のベンチで考え事をしている学生さんに目を止めた。


あのくらいの時は何がご馳走だっただろう?


金持ちではないが、貧乏ではなかった子供時代。


小学5年の時に父親が死んだ、病気を苦にした自殺だった。


優しい父親だったが、昔の事故の後遺症で苦しんでいた。


母親もそんな父親の面倒に疲れていた。


そんな時の自殺は悲しみはあったが、同時に開放感もあった事は否めない。


小野が高校にあがると、母親に男ができた。


相手は小さな酒屋の店主だった。


悪い人ではなかったが、今まで父親の看病をみて、その後は女で一人で小野を育てていた反動なのか、どっぷり男に溺れた。


あまり家に帰らなくなった母親


小野はバイトに明け暮れる樣になった。


最初は定番のハンバーガーショップ


夕方から閉店まで、毎日ハンバーガーを作り続けた。

バイト終わりに貰える、残り物や失敗した物など、小野は喜んで持ち帰り食べた。


「ハンバーガーかぁ」


これならいくつかは買える。


ただ、最近はハンバーガーも安い物があり、金の無い時などの定番だった。


「違うなぁ」


小野はまた独り言を言い、その何か考え中な学生を見ながら、彼には明るい未来があるよね。いや、きっと明るい未来があると願った。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ