16/16
一人目16
小野たちの待遇も日に日に悪くなっていった。
まだ、働けるだけましだと思うしかなかった。
職場はいつ切られるかわからない不安感でいっぱいだった。
そんな中でも、小野は真面目に仕事をこなした。
シジマール達がいなくなり、淋しさはまたもやってきていたが、これ以上悪くならない事だけを祈っていた。
しかし、現実は厳しかった。
容赦ない首斬りが始まった。
いくら真面目で堅実な小野でも、その対象に違いはなかった。
年末の仕事納めの日が最後になった。
住み込みの小野にとって会社を失うと同時に住まいも失う
一ヶ月の猶予はあったが、部屋を探すのは一苦労だった。
小野は必死で住まいと仕事を探した。
その頃の世間は最悪な状態だった。
あれから一年、辛く暗い絶望の繰り返しだった。
新しく何かを得るより、一つまた一つと失って行く物が多かった。
そして今、小野はこうして公園のベンチで最後の晩餐を考えている。
「バシャン!」