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北風が吹いたら  作者: 辰巳尚喜
15/16

一人目15

日本の景気は上がらなかった。でも、それなりに仕事はあり、多くを望まなければ楽しくもあった。


ところが、アメリカで起きた金融不安は恐るべきスピードで景気を悪化させた。


期間労働者の小野達にも冷たい風が吹き出した。


派遣切り!まずは年寄り、そして外国人だった。


すでに三交替だった勤務は二交替に変わり、休みも多くなっていた。


「ハジメ、とうとう俺達も切られる」


シジマールが珍しく神妙な顔で言った。


「どうするの?」


「日本に居たいけど、このままではブラジルに帰るしかないね。」


小野は心が痛んだ。


真面目に働く外国人達を小野は見てきた。


そりゃ、中には悪い奴もいる。


それは外国人に限った事ではなかった。


しかし、今の小野にはどうする力もなかった。

それから一週間後、シジマールたち外国人労働者はクビになった。


テレビのニュースは派遣切りの話題を取り上げてはいたが、だからって何も変わらない現状があった。


シジマール家族は一ヶ月後にブラジル帰国した。


帰り際にシジマールは絶対連絡するからと笑顔で言った。


小野もそれにおうむ返しのように答えた。


エレンは寂しさを身体いっぱいで表現し、出発ぎりぎりまで小野にまとわり付く状態だった。

「ハジメのオムライスおいしかったよ。また、食べれる?」


小野は今にも涙がこぼれそうになるのを我慢して。


「大丈夫、きっとまた食べるよ。」


それが大人嘘と気づいいるのか、エレンは精一杯の笑顔で頷いた。


シジマール家族は笑顔を絶やす事なく日本からさっていった。


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