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北風が吹いたら  作者: 辰巳尚喜
12/16

一人目12

小野は泣いた。又しても起こった不運を恨んで。

そして、人が信じられなくなった。


翌日、せっかく買った念願の時計と便箋に


正美、ゴメン。でも、僕は何もしていない


そう書き残し、いなくなった。


それ以降、小野は出来るだけ目立たずひっそり生きてきた。


あてもなく途方にくれたあの頃。


救いは何もなかった。



「太郎丸ラーメンにしよう」


急に小野は思い立った。


「風の里」で働いていた頃、仕事終わりや休みの日によく食べたラーメン屋


当時のアパートの近くで、豚骨ラーメンに焼豚丼のセットが小野の定番だった。


大盛りでも値段は同じ、おまけにサービスのキムチも食べ放題


一人暮らしには有り難い店だった。


「確かに950円だったよなぁ」


正美と初めて二人で食べたのもここだった。


いつも何食べてるかと聞かれ、よく行く「太郎丸ラーメン」を教えると一緒に行くとついてきた。


始まりはそこだった気がする。


小野は正美の笑顔を思い出した。


もう戻れない、今までの人生で一番幸せだったあの頃。


忘れられないあの夜のあと、あてもなく電車に乗りたどり着いたのは、工業団地だった。


家電メーカーの部品工業が建ち並ぶ町でたまたま見つけた求人にそのまま応募した。


それから2年、住み込みの3交代勤務をただ言われるがまま続けていた。


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