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北風が吹いたら  作者: 辰巳尚喜
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一人目

11月だと言うのに日中はポカポカ陽気で下手をすれば汗ばむくらいだった。


これも、昨今の温暖化のせいだろうか。


小野肇は公園の池のほとりのベンチですでに1時間はひなたぼっこに興じていた。


「何食べようかなぁ」


誰に言うわけでもなく、小野は独り言をつぶやいた。

午後2時を過ぎた公園は至る所に人がいた。


スーツ姿のサラリーマンがサボっていたり、老人が暇に任せて鳩に餌を与えていたり、子供達がたわいもない遊びに夢中になっていたりと、午後の公園ののどかな風景がそこいらを支配していた。


その中で小野は一人、何を食べるかで頭を悩ませていた。


普通なら、何て暇な奴だと思うが、今の小野にとっては人生最大の決断だった。

小野肇は34歳、身長172センチ体重68キロ。


今は髪が少し伸びボサボサに近い状態だが、普段は短めの爽やかな感じだった。

見た目は全くの普通、何も印象の無いタイプだった。

ただ彼はもう3日も食べていない。


昨年末に働いていた電気部品の工場を解雇になった。

アメリカの馬鹿な奴のおかげで真面目に働く日本人が辛い目にあうはめになった。


まだ若いとは言え30歳を超えたこれと言って何も無い男に世間の風邪は冷たかった。


一ヶ月前までは何とか短期のバイトで食いつないでいたが突然と言うか必然と言うか仕事の話しは皆無になった。


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