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第2話 Aランクパーティー

 キツネのお面が割れ、生配信にしっかりと俺の顔が明かされる。


 デュラハンは俺の個人的なことなど気にしないで思いっきり突進してきて壁まで吹き飛ばされた。


 「グァッ」


 赤坂さんいわく、デュラハンは炎魔法が弱点らしい、俺は運のいいことに炎魔法が使える。Aランクパーティーのメンバーが来るまでの間炎魔法を使って耐えるしかなさそうだ。


 速度上昇魔法を全身につけ、デュラハンに接近、移動している間に両手に耐久力上昇魔法をつけてさらに炎魔法も纏わりつける。


 「炎拳」


 デュラハンの背中側に回り込み、炎の拳で攻撃を繰り返す。


 デュラハンは馬に乗っており体に当てるのに馬が邪魔して面倒くさい。遠距離魔法を試しにやるか。


 デュラハンから遠ざかり、両手のひらを前方に向け、深呼吸する。


 両手のひらから炎が現れ、たちまち巨大な炎の球体になる。


 「ファイアボールッ!」


 デュラハンに向かって勢いよく炎の球体が放たれた。


 そして見事に直撃したが、デュラハンは怯んだものの体制を即座に立て直した。


 「駄目かぁ……」


 ファイアボールは中級魔法、デュラハンに大ダメージを与えるなら上級魔法が一般的だろう。魔法は初級魔法、中級魔法、上級魔法とあり、後者程強い大ダメージを与えられる。


 俺は1つ上級魔法を使えるが、魔力を大きく消費する為むやみに使えない。魔力が極限まで減ると気絶するらしい。


 そんな事を考えていると、どこからか複数人の足音が聞こえてきた。


 足音の聞こえた方へ振り向くと、女性1人と男性2人の3人組パーティーの姿があった。


 「ごめんね! 本当は「炎拳」の辺りから君のこと見てたんだけど、凄い戦い方してるから無我夢中でみちゃって、出るのが遅くなっちゃった」


 黒髪のツインテールの女性はそう言い終えると両手を合わせて謝った。


 たぶんこの人達が赤坂さんがギルドに連絡して来てくれたAランクパーティーのメンバーなんだろう。これは勝てる。


 「もしかして、Aランクパーティーの……?」


 「ああ、俺達がAランクパーティーの『火の鳥』だ、よろしく」


 明らかにリーダーの風格が漂う金髪でゴツい男が言う。


 もう1人の紫髪で小柄な人も喋るかと思いきや、なにも喋らず首を縦に振るだけだった、きっといつもああいう感じなんだろうな。


 「よし、みんなさっさとデュラハン倒すぞ、雅はその冒険者を守ってろ、デュラハンは俺と久美がやる」


 「達也! 一瞬で終わらそうねー! 早く帰って笹団子食べたい!」


 「あまり食いすぎるなよ……今日来る前にも3個食べたじゃないか」


 そんな話をしている間に、久美はデュラハンに接近し剣帯から短剣を左右同時に2つ取り出し、瞬時に斬りかかる。


 1回の攻撃はそこまで強くなさそうだが、色々な角度から繰り返し素早く攻撃することでじわじわとダメージが入っている。


 「よし、俺も行くか!」


 達也は背負い帯からロングソードを抜き取り、そのゴツい体からは想像もできないくらい素早くデュラハンに向かって走った。


 「久美、離れろ! 巨大なのいくぞぉぉ!」


 久美は攻撃を止め、バッタのように飛んで俺の隣に着地した。


 ロングソードを高く振りかざすと、剣に一瞬で炎が燃え盛った。その剣をデュラハンに斬りかかる。


 「紅蓮斬ッ!」


 紅蓮斬がデュラハンの腹を真っ二つに斬り、倒した証として黒い霧になって消えた。


 「凄い……」


 圧倒的な強さに俺は思わず息を呑んだ。


 ーーーーーーーーー


 翌日、俺は普通に通っている高校にクラス一番乗りで登校した。


 後で配信記録を観たところ、なぜか急上昇ランキング10位に入っており、最大視聴者数1万人を超えていた。


 ということは、俺は1万人に顔バレしたということ。でも1万人の中に同じ高校の生徒が見てるという可能性は低いのでそこら辺は心配いらないだろう。


 そんなことを机にうつ伏せになりながら座っていると、ガラガラガラと教室のドアを開く音が聞こえた。


 たぶんいつもクラスで2番目に来るのが早い俺の隣の席のギャル、菊地希子さんが来たのだろう。


 足音がだんだんと近づき、すぐ近くで足音が止まった。


 「まじで間違ってたら申し訳ないんですけど……ゴーさんっすよね?」


 俺はその言葉を聞いた瞬間反射的に起き上がって、目の前にいた希子さんの顔を見た。


 「はい、そうですけど……」


 「やっぱ?! 私初期の頃からゴーさんの配信観てて私の推しなんですよ! 今の生きがいはゴーさんの配信を学校終わったら観ることなんす!」


 目を輝かせて早口で最後まで噛まずに言い切り、少し疲れた様子で俺の机の上に手を置いた。


 「ありがとう、もしかして希子ちーさん?」


 「そう! 私希子ちーなんよ! こんな近くにいたなんてまじで奇跡!」


 まさか、俺の配信をこんな近くに観てる人がいるなんて思わなかった。


 なにより嬉しいのは、俺の配信を観て生きがいにしてくれてるということ。


 俺がコミュ障を改善しょうと始めたダンジョン配信は1人の生きがいになっていた。


 顔バレしたのはショックだったが、こう言ってくれたことで顔バレして良かったと思えることができた。


 ……もっと配信頑張ろう。

面白かった、続きが気になる、など思っていただけたら評価お願いします! 活動の励みになります!

完結させるのが目標です!



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