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5話 スライム


視界が元に戻った時にはすでに別の部屋にいた。


便利な魔法だ。


私にも使えるようになるだろうか?


そんなことを言いながら部屋の中を見渡す。


さっきまでいた部屋とは違い、通路のように薄暗い部屋だ。


だが広さはとてつもなく広い。 


なにより空気が重い。


体を刺されるようなプレッシャーがある



部屋の真ん中にはスライムがいた。


しかし大きさが異常だった。


通常のスライムは大きくても30cmほどだがこのスライムは小さく見積もっても2mはある。


はたしてこれをスライムといっていいのだろうか。


なによりもこの存在感、威圧感。


普通のスライムとは思えなかった。



確かにスライムではあるだろう。


しかし普通のスライムじゃないなら言って欲しかった。



まずは魔法を撃ってみる。


魔法陣が浮かび上がる。


『ファイヤ』


炎が放たれる。


巨大なスライムには避ける気配がない。



ファイヤはそのままスライムに当たったが爆発をしなかった。


不発だろうか?


いやそんなミスをするほど魔法初心者ではない。


何が起きたんだ?


そんなことを考えていると、スライムがこっちに飛んできた。


物理攻撃は効かないが避けておいたほうが良さそうだ。


あんなに大きな体なのに意外にも速い。


スライムの体が私を掠めた。


なんだろう?魔法を使った時のように魔力が少し減った感覚。


『『大丈夫かい?』』



能天気な声に軽く殺意が湧く。


ねえ、スライムって言ったよね?


『『スライムだよ、グラトニースライムだけどね。

あいつの核と粘液が欲しいんだよ。』』



グラトニースライムって厄災級じゃん。


魔物にはランクがある。

初級、中級、上級、最上級、厄災級


最上級でも高ランクの冒険者がパーティで対処するレベルだ。


厄災級なんて個人で対処するレベルじゃない。


都市1つを滅ぼせるレベルだ。


厄災級の魔物に対しては軍隊が出てくることもある。



『『大丈夫だよ。頑張って!』』


具体策を出して欲しい。

精神論は今いらないんだけど。


『ウォーター』


『ウィンド』


『ストーン』


『ライト』


『ダーク』



駄目だ。

どの属性の魔法も当たる直前になると消えてしまう。


そもそもライトとダークは攻撃用の魔法じゃないし。


『『グラトニースライムはね、固有スキルひとつで暴食のスキルしかないんだよ。』』



暴食?初めて聞くスキルだ。


どのような効果なのだろうか。


『『暴食はね、触れたもののスキルと魔力を吸収する効果があるんだよ。』』


触れたもののスキルと魔力を吸収?


魔法は効かないということだろうか?


なら私に勝ち目はないだろう。


私に物理攻撃はできないんだから。


『『魔力の吸収には上限があるんだよ。君の魔力量は多分世界で一番って言ってもいい。私のお墨付きをあげる。』』


魔力量か。確かに魔力で困ったことはなかったな。


じゃあ魔力を吸収させ続ければいいの?


『『魔力が吸収できなくなると動けなくなるからその時に核を狙って倒せばいいんだよ。』』



とりあえず魔法を撃ち続けることにする。


並行発動を駆使してそれぞれの魔法を発動する。


無数の魔法陣が空中に浮かび上がる。


『ウォーター×20』

『ウィンド×20』

『ストーン×20』

『ダーク×20』

『ライト×20』


ダークとライトは暗くなったり明るくなったりでチカチカしてるだけだが他の属性は20発ずつ発動した。




グラトニースライムの動きが速くなる。


明らかに最初よりも速い。


『ねえ逆に速くなってるんだけど?』


『『そりゃスライムは魔力で動いてるんだから魔力を吸収したら速くなるよ。』』



そういう大事なことは早く言って欲しい。


最初は大きい体で突っ込んでくるだけだったのが、攻撃の幅が増えて触手も振り回してくるようになった。


四方八方から鞭のような触手が迫ってくる。


本体の突進も避けつつ、触手も避けて魔法を放つ。


そんなことをどれぐらいの間続けただろうか。


グラトニースライムの動きが鈍くなってきた。


『ファイヤ』


魔法を放つ。


魔法は吸収されずにグラトニースライムの体に当たる。


グラトニースライムがプルプルと震え出した。


もう吸収の限界に達したのだろう。


と思っていたら急に魔力の塊を飛ばしてきた。


魔力の塊がすぐ横を掠めて飛んでいく。


危な。



本体の攻撃、触手と飛んでくる魔力の塊を必死に避ける。



『ねえ、吸収しかしてこないんじゃないの?』


『『固有スキルは暴食だけだよ。普通のスキルは知らないよ。あれは魔力をただ放出してるみたい。』』



ほんとに役に立たない駄女神だ。


全部言うのが遅い。




相手の攻撃を全部避けて、こっちの攻撃を当てる。


魔力を放出してるなら使うよりも多く魔法を当てて吸収量が放出量を上回ればいいんでしょ。



やってあげるよ。


避けて、魔法を当てる。


無数の魔法陣から全属性の魔法が放たれる。


避ける。


当てる。


スケルトンの時にはなかった緊張感。


ワクワクしている自分がいる。


魔法を放ち続けて、ついにグラトニースライムが動かなくなった。


あとは核を撃ち抜くだけだ。


魔法を放ちながら、魔力感知を使って色が濃いところを探す。


色が濃いところが5箇所ある。


『『核は1つしかないはずだよ。あとは偽物だね。』』



他の色が濃いところはダミーかな?


まあでも関係ない。全部壊せばいい。



魔法の威力を上げる方法知ってる?


魔法はね魔力を込める量を増やすこと、魔力を圧縮することで威力が上がるんだよね。


魔法陣を5つ発動する。


火の玉が5つ現れた。


火の玉魔力を込めていく。


2mぐらいある火の玉が5つできた。


そして圧縮。


どんどんサイズを小さくしていく。


2mぐらいあった火の玉が手のひらに収まるぐらいのサイズにまで小さくなった。




『ファイヤボール×5』


火の玉がすごい速度で飛んでいく。

そしてグラトニースライムの核を撃ち抜いた。




【グラトニースライムを倒しました。】

【レベルが17に上がりました。】

【初級火魔法のレベルが8に上がりました。】

【初級水魔法のレベルが6に上がりました。】

【初級風魔法のレベルが6に上がりました。】

【初級土魔法のレベルが6に上がりました。】

【初級光魔法のレベルが6に上がりました。】

【初級闇魔法のレベルが6に上がりました。】




長かった。


どれぐらいの間戦っていたんだろうか。


まあ作業は慣れているからいいけど。



『『おつかれー!』』




『もうちょっと手伝ってくれたりしてもよかったんじゃない?』



『『まあまあ、これで身体が完成するから。それにグラトニースライムがここのダンジョンボスだからね。身体を完成させる前にダンジョンコアを壊そうか。』』



部屋の真ん中に魔法陣の刻まれた球体が現れる。


『『これがダンジョンコア。それじゃあ頼んだよ』』



【称号:女神エリシアの加護を獲得しました。】

【状態異常無効を獲得しました。】

【結界魔法を獲得しました。】

【神隠しを獲得しました。】



【称号:女神エリシアの加護】

女神エリシアが与えた加護。女神に見守られしものの称号である。


【状態異常無効】

全ての状態異常を無効化する。


【結界魔法】

結界を張ることができるようになる特殊属性の魔法。



【神隠し】

自分の全てをどんな存在からも隠すことができる隠蔽スキル。




すぐに使い方が頭に流れ込んでくる。



なるほどね。


結構いいスキルをもらった。


結界魔法を発動し、ダンジョンコアを覆う。

そのままダンジョンコアを結界で異空間に飛ばす。



 

終わった。


これで大丈夫だろう。


『『うん。大丈夫だね。それじゃあ部屋に戻って身体を完成させようか。』』


まだ魔法陣が現れる。


私はすぐに魔法陣に乗った。




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