3話 謎の声
カタカタカタカタ
結構ピンピンしてる。
ファイヤが当たったのにあまり効いていないようだ。
レベルが低いしこんなもんなのかな。
ブン、ブン
スケルトンは拳を振ってくるが拳は、私を通り過ぎていく。
エルフの時も戦うことはあった。
身体が痛くなる前に何回か魔物を討伐している。
魔物と戦うのは楽しかった。
命の危険もあったが、自分の持っている技術や知識を使って魔物を倒す。
魔物との戦いには高揚感があった。
しかし今は何もない。
ただ魔法を唱えて、一方的にダメージを与えるだけだ。
命の危険は全く感じない。
こんなに退屈な戦闘はない。
早く終わらせてしまおう。
魔法の並行発動をする。
エルフの時に魔法の研究を進めるためによく使っていた。
魔法陣が空中に描かれる。
その数は20個。
『ファイヤ×20』
スケルトンに向けて20発のファイヤが飛んでいく。
ドドーン
耳があったらそんな音が聞こえただろう。
ファイヤによって土煙があがる。
煙が収まったときにはスケルトンは跡形もなかった。
【スケルトンを倒しました。】
【レベルが3に上がりました。】
【初級火魔法のレベルが3に上がりました。】
スケルトンを倒したらレベルが3に上がった。
戦闘と呼んでいいかわからないがウィスプになってから初戦闘が終わった。
周りを改めて見渡す。
ほんとにここはどこなんだろう?
『『ここがどこか知りたい?』』
!?!?!?
誰かに話しかけられた。
『『そうだよね、びっくりするよね』』
また周りを見てみる。
やっぱり誰もいない。
そもそも私は声を出してないはずだ。
声帯がないし。
『『私はそこにはいないよ』』
どこから私のことを見てるのだろうか
『『私は全知全能だからね。』』
何だろうこの胡散臭さ。
自分を全知全能と言い切る人なんて信用できない。
『『あー! 信用してないね?
じゃあここがどこか教えてあげるよ。』』
謎の声の主は怪しいがここがどこなのかは気になる。
『『そうだよね、気になるよね?じゃあここがどこか教えたら、私のお願い聞いてくれる?』』
よし、ここがどこなのかは自分で確かめるとしよう。
そう考えてすぐに通路を進み出す。
『『ちょっと待ってよ。話だけでも聞いてよ。』』
全知全能の存在なのに威厳がない。
そもそも全知全能なのにお願いとは?
『『今はとある事情で力が弱ってるんだよ〜。』』
ますます胡散臭い。
『『私の名前はエリシア、女神エリシアだよ』』
女神エリシアときた。
おそらくこの世界の人間なら全てが知っている名前だろう。この世界を作り、世界の調和を見守るとされる女神だ。
女神エリシアを主神とする女神教も存在している。
その女神様がこんなのなのだろうか?
間延びする話し方をするこの声の主が?
私の思考を読み取っている時点でただものではないのは確かだろうけど。
『『失礼だよね〜。女神に向かってこんなの呼ばわりとは。私の力が弱ってる理由知らないの?』』
だいたい知っている。
有名な神話になっている聖魔大戦のことだろう。
約6000年前に女神エリシアと邪神の戦いがあった。この世界を侵略しようとした邪神とその配下たち、それに対抗した女神エリシアと女神エリシアに協力する人類との間で起こった大戦のことだ。女神は邪神を封印したもののかなりの力を消耗してこの世界から姿を消して私たちを見守っていると神話ではされている。
『『そうそう、その戦いのせいで今は力が弱っているんだ。』』
力が弱くなっている理由はわかった。
しかし、私に何のお願いがあるのだろうか?
『『ダンジョンを攻略して欲しいんだよ』』
ダンジョン攻略ね。
でもなぜ?
ダンジョンはそもそも女神が作ったもののはずだ。
『『ダンジョンは邪神の復活に備えて人類を強くする目的もあったんだけど予想以上に攻略が進まなかったんだ。そのせいでダンジョンコアが暴走しちゃっててね。地上にも溢れてきてしまいそうなんだ。だからダンジョンをクリアしてコアを壊して欲しいんだ。』』
なるほどね。
『『手伝ってくれる?』』
まあダンジョンは世界中にあるから、世界を見て回るという目標も満たせるし、ゆっくりでいいのなら大丈夫だけど。
『『ゆっくりでも大丈夫だよ。』』
それなら引き受けてもいいかな。
『『ありがとう〜!君を召喚してよかったよ。』』
召喚? 転生じゃなくて?
『『召喚だよ。資質のある魂を召喚したんだ。なぜかウィスプになってしまったけど。』』
結局ウィスプになったのは謎なんだ。
『『じゃあ、ここのダンジョンからお願いするよ』』
私がいるのはダンジョンだったようだ。
存在は知ってはいたけれど入るのは初めてだ。
『『そのままじゃ不便だよね?ダンジョン攻略する前に身体をあげるよ。今から案内するから。』』
カクヨムでの連載が先なので終わり次第こちらも編集をしていきます。