13話 ランク測定試験
ホールに戻るとさっきよりも冒険者の数は増えて一層活気で溢れていた。
「賑やか。」
思わず呟く。
「そうですね。この時間はちょうど帰ってくる冒険者の方達が多い時間ですから。賑やかなのは嫌いですか?」
そうソフィーが訪ねてくる。
「いや嫌いじゃない。むしろ好きなほう。」
「ふぇー。何だか意外です。静かの方が好きなタイプだと
思ってました。」
「確かに自分からはしゃぐタイプではないかもね。」
「なんだか達観してますね。」
「ある程度生きてれば、そうなるよ。」
「アスタさんたしか21歳ですよね?」
「細かいことは気にしないの。」
そんなことを言っていると、どうやら演習場に着いたみたいだ。
「ここが第一演習場です。」
そうソフィーが言う。
「それでは中で試験官が待ってますのでお入りください。」
「ありがとう。」
「いえいえ、頑張ってくださいね。」
そうソフィーと言葉を交わして部屋の中に入る。
演習場は特に特徴もない広い空き地のようだった。そして部屋の真ん中にブラウンの髪と髭を生やした男が両手剣を持って立っている。
「あなたが試験官?」
「ああ、試験官のルイスだ。お前がアスタとやらか?」
そう男が返してくる。
「そう、私がアスタ。」
「そうか、それじゃあ今からお前のランク測定試験をする。とは言ってもどれくらいの戦えるか見るだけだからそんなにちゃんとしたものではないんだけどな。」
「あなたを倒したらどれくらいのランクから始まるの?」
そう言うとルイスは目を点にしてから笑い出した。
しばらく笑って涙を拭ったあとに
「いやすまん。久しぶりに元気な新人が来て嬉しかった。俺のランクはAA。もし俺に勝てたら少なくともA級の実力があると認めていい。だが冒険者登録で各ギルドの判断でつけられるのはCまでなんだ。」
「へえ、そうなんだ。」
「ああ、Bから先は一定のノルマをこなさないとなれないのさ。」
「ふーん。」
まあダンジョンに潜れるCランクになれればいいからあまり興味はないのだけれど。
「それで?職業はなんだ?」
「魔術師…になるのかな?」
「魔術師か、なら早く杖を出しな。」
「杖なんか持ってないけど?」
「はぁ?魔術師なんだろ?」
「魔術師なら杖は必須なの?」
「いや、俺はあんまり詳しくはないが魔術師なら普通は必要なんじゃねえか?」
「へぇー、そうなんだ。」
「へぇーってお前な…。まあいい。そろそろ始めるぞ。」
そう言ってルイスは両手剣を構える。
「そら行くぞ。」
そう言ってルイスが突っ込んでくる。
(【身体強化・中】)
身体強化で能力を上げて避ける。
「どうした?俺が早すぎて魔術が間に合わないか?」
ルイスが振り返って剣を肩に乗せて言う。
「いや、こんなところで魔術使っていいのかなって。」
「ああー。それなら気にしなくていいぞ。ここ一応ダンジョンの一部で壊れても勝手に治るし。そもそも滅多なことじゃ壊れないけどな。」
「ほーん。」
「そういうことだから遠慮なく魔術は使ってくれていいぞ。そんじゃあ、仕切り直してっっ。」
そう言って地面を蹴り、距離を詰めて両手剣を上段から振り下ろしてくる。
「【初級魔術:プロテート】【初級火魔術:ファイヤボール】」
プロテートで攻撃を防ぎつつ、ファイヤボールを放つ。
ボンッ
ファイヤボールが当たり爆発する。
「大丈夫?」
「大丈夫に決まってんだろ?」
そう言いながら爆煙を切り裂いて、下から切り上げてくる。
「【初級魔術:プロテート】」
「甘いぜ。」
バリンッ
そう言ってプロテートが砕かれ、両手剣が当たる。
そのまま壁際まで吹っ飛ばされる。
これがAAランクか。
「おい、大丈夫か?」
そうルイスが声をかけてくる。
「そこそこ平気。」
「そうかい。」
「今度はこっちもやらせてもらうから。」
「【氷魔術: 冰剣】」
ピキキキ
部屋に冷気が漂い、地面から氷のレイピアが生成され始める。
「待たないからな。」
そう言って身体強化を纏ったルイスがさっきよりも格段に速いスピードで近づいてきて剣を振り下ろす。
「【初級魔術:プロテート】×10」
ガガガガガガガガガガキンッ
10枚張ったプロテートのうち9枚を破って剣は止まった。
「大人気ないんじゃない?」
そう言って氷のレイピアの柄に手を伸ばし、引き抜こうとして消す。
「どうした?」
そうルイスが尋ねてくる。
「いやもういいかなって。魔力も切れそうだし。」
そう言うと
「そうか、わかったよ。」
と頬をポリポリ掻いて両手剣を下ろした。
まあ魔力切れではなく、これ以上やると楽しくなってしまいそうだからなのだが。
「それでランクはどんなもん?」
「CCCから始めても文句はねえよ。俺からタレスには言っておく。」
「そう、よろしくね。」
「ああ、もう出て行っていいぞ。後日受付で冒険者証を貰え。」
「あ、そういえば賞金首の報酬ってどこで貰えるの?」
「賞金首?レッドリストの犯罪者のことか?」
「まあ、そうなのかな?」
「それだったら受付で交換してもらうんだな。」
「わかった、ありがとう。」
そう言って部屋を出る。
来た道を戻ってホールの受付に並ぶ。
「こんにちは、どのような御用でしょうか?」
ソフィーとは違う受付の人だ。
「賞金首の賞金を貰いたい。」
「レッドリストの討伐ですね。冒険者証はお持ちですか?」
「まだ貰ってないんだけど…。ないとできない?」
「いいえ、大丈夫です。それでは身分証をお出しいただけますか?」
そう言われたので、検問所で渡されたタグプレートを渡す。
「ありがとうございます。討伐の証明として体の一部などはお持ちですか?左手が一般的なんですが。」
「首でもいい?」
「首ですか?…少々お待ちください。」
そう言うとしばらくして別の職員の人がトレーのようなものを持って出てきた。
「お待たせいたしました。こちらにお願いします。」
ゴロン
異空間から首を取り出すと周りが少しざわついた。
「今から鑑定しますのでもう少々お待ちください。」
「あ、これもお願い。」
そう言って紅鋼の大剣も出す。
「は、はい。かしこまりました。」
しばらく待ってると受付の人が戻ってきた。
「お待たせいたしました。こちら『巨腕』の賞金とお預かりしていた身分証になります。」
「『巨腕』?『魔術師殺し』じゃないの?」
タグと小袋を受け取りながらそう尋ねる。
「はい、ギルドではそう登録されています。」
ジョン達の勘違いなのかな?
そう思いつつ渡された小袋の中身を見る。
金貨が15枚入っていた。
よかった。これでオリバーに金貨1枚を返せるし、宿にも泊まれる。
「それじゃあ。」
そう言って受付から離れようとすると
「あの、大剣はどうします?」
「このお金って大剣も含まれてるんじゃないの?」
「はい、それは賞金だけの金額になってます。」
「大剣はお金にならなかった?」
「いえ、逆です。ギルドで買取も出来ますが、貴重な一品なのでオークションなどにかけたほうがお金になると思いますが。」
「じゃあお願いするよ。」
「手数料として落札価格の10%を戴きますがよろしいですか?」
「うん、大丈夫。」
「そうですか、わかりました。それではこちらで手続きを進めておきます。落札されたらお伝えしますね。」
「よろしく。」
そう言って冒険者ギルドを後にした。
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