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第11話 冒険者ギルド


こんな大きな建物があるんだ。

帝都に入って最初に思ったことはこれだった。

城壁の中に入ると、より城の大きさが目立つ。


だいぶ前に帝都に来たことはあるけど、そのときはこんなに大きな都市じゃなかった気がする。

それに道路は石畳で舗装されている。


すごく栄えている都市なのだろう。



とりあえず冒険者ギルドを探そう。


そう考えて歩き出す。


ガヤガヤとしている大通り。


それぞれの店から色々な声が聞こえてくる。

子供の声、若い女性、男性の声も。

すごくいい。


エルフの街にはなかった活気だ。

懐かしさに微笑みが浮かんでくる。


エルフは生物としてだいぶ欠陥がある気がする。

世代を遡れば遡るほど感情が薄いんだよね。

まあ最近のエルフにはだいぶ人間らしさを感じるけど。


「そこの人、うちのパンどうだい?」


声の方向を見るとパン屋の女将さんがいる。


私に声をかけられたのか分からなくて自分を指さすと女将さんは頷いていた。




店の近くに行って、店頭に並べられたパンを見る。


ふっくらしていてとても美味しそうだ。


グゥとお腹がなった。

そういえば前に食べてから結構な時間が経ってる。


ううん。

お腹はペコペコなのにお金がないや。


「今はお金ないのでまた後で来ます。」


「そうかい?じゃあ、ほら一つ持ってきな。」


そういってパンを投げてくる。


「いや、お金が…。」


「いいんだよ。お腹ならしてるんだから遠慮せずに持ってきな。」


「ありがとうございます。」


「宿屋もやってるから、まだ部屋が決まってないならうちに泊まるといい。食事には美味しいパンが付くよ。」


「はい、絶対来ます。」


そう言って店から離れる。


「そうかい?可愛いお嬢さんが来るなら、腕に縒りを掛けて食事をつくるよ。」


!?!?!?


思わず足を止めて振り返る。


「なんでわかるんです?ローブを着てるのに。」


「あたいの美少女センサーを甘く見ないでもらいたいね。」


そういって胸を張る女将さん。


そんなセンサーが?

しばらく見ないうちに人はそんな進化を?

エルフにはついてないだろうな。

いや、私が気付かなかっただけで、エルフにもついてたのかな?




そんなことを考え、首を傾げながらまた冒険者ギルドを探しために歩き出す。


女将さんに貰ったパンをモギュモギュ頬張りながら歩く。


ほんのり甘くて美味しい。


冒険者ギルドで賞金を貰ったら、今日はあの店に泊まろう。


そう心に決めた。


大通りを歩いていると冒険者ギルドを見つけることができた。




城ほどではないがこの施設もかなり大きかった。


冒険者登録と賞金の交換を早くして、今日は街の探索をしたい。


そう思って冒険者ギルドの中に入る。


冒険者ギルドの中はマークの言っていた通り、酒場が一緒になっており成果があったのであろう冒険者達が祝杯をあげていた。


騒々しいが嫌いではない。


冒険者ギルドというからには、荒れているイメージだったが別にそんなことはなかった。


確かに見た目が厳つい人や、武装した人もいるがちゃんと受付の列なども守っており、冒険者と思われる女性も結構いて、施設内は小綺麗だ。



入ったときから何人かの冒険者がさりげなく私に視線を向けてきている。


私を見定めるような視線だ。


見慣れない人間だからだろうか?


まあたしかにローブを着た人間が入ってきたら私も気になるかもしれない。


そんな視線を受けつつ受付の列に並ぶ。


まだ昼だからだろうか?

そんなに混んでおらず、すぐに受付にたどり着くことができた。


「こんにちは。本日はどのような御用でしょうか?」


受付の女性がそう尋ねてくる。

眼鏡をかけた綺麗な人だ。




「冒険者登録をお願いします。」


「冒険者登録ですね。それではこちらへどうぞ。」


そう言われ、席に案内された。


「こちらで少々お待ちくださいね。」


そう言って受付の女性はどこかに行ってしまった。


冒険者ギルドの中を見渡すと、二階には本棚に本がびっしりと置いてあった。

資料と書いてあるので魔物図鑑などでも置いてあるのだろう。


本か。しばらく読んでなかったな。

久しぶりに読んで見るのもいいかもしれない。


一通り辺りを見渡して特にめぼしい物もなく、暇になってしまった。


両手をお椀の形にして、その中で魔術で作った小さい氷の結晶をクルクル回す。

暇なときにやってしまう手癖のようなものだ。



回っている氷の結晶を眺めていると受付の女性が物をたくさん抱えて戻ってきた。


「大変お待たせしました。」


そう言ってテーブルの上に資料やら何やらを乗せる。


「いえいえ、大丈夫ですよ。」


そう言って、手の平を合わせて氷の結晶を手の平で擦り合わせて溶かす。


冷たい。


「改めまして受付嬢のソフィアといいます。ソフィーと呼んでください。まずは冒険者という職業について説明しますね。」


そう言ってソフィーは説明を始めた。


「冒険者には主に3つの仕事があります。まず1つ目は魔物の討伐、2つ目はダンジョンの攻略、そして3つ目が依頼任務の達成です。」


「3つ目の依頼任務っていうのは?」



「依頼任務は冒険者ギルドではないところから出されたものになります。基本的には条件を満たしていれば誰でも受けられるますが、たまに指名依頼という個人に対して出されるものもありますね。」



「指名依頼は断れるの?」


「もちろん可能ですが、基本的に報酬が高いのであまり断る人はいらっしゃいませんね。それに個人依頼を出す方と冒険者が懇意にしていらっしゃる場合が多いですし。」



「なるほど。」


断れるのなら別にいいか。


「これらとは別に特別任務というものも存在します。」


「特別任務?」



「はい、魔物氾濫(スタンピード)や強力な魔物が現れた時などに冒険者ギルドから発令されるものです。こちらは基本的に断ることができません。冒険者ギルドに所属する全冒険者で対処してもらいます。」


「もし特別任務を断ったら?」


「冒険者ランクの降格、最悪の場合は除籍までありますね。くれぐれも参加を怠らないでくださいね。」


ソフィーが顔を近づけてそう言う。


「了解。」


「ここまでは大丈夫ですか?」


「うん、大丈夫。」


「次は冒険者ランクについての説明です。冒険者には活躍に応じてランクがつけられます。ランクはEからD、C、CC、CCC、B、BB、BBB、A、AA、AAA、Sになります。魔物の討伐や、ダンジョンの攻略、依頼任務を達成することによって上のランクに上がることができますよ。」



「ランクを上げるメリットってあるの?」



「上のランクに行くほど報酬が高い高難易度の任務を受けることができるようになります。高ランクの冒険者は指名依頼を受けやすくなったり、いろんなところで融通が利きやすくなりますね。何よりランクが上がることは名誉なことなんですよ?」


「Sランクの冒険者って何人くらいいるの?」


「Sランク冒険者ですか?そうですね、詳しい数はわからないですが、帝国で有名なのは『鉄壁』のパーティや『阿吽』の兄妹ですかね?」


「Sランク冒険者って強い?」


「もちろんです。冒険者ギルドに所属していない強い人たちもいますがSランク冒険者は間違いなく人類の到達点、怪物ですよ。」


「へぇー、すごいんだね。」



「はい、とってもすごい人たちです。」


ソフィーが胸を張ってそう言う。

えっへんという効果音がつきそうだ。


人類の到達点か。

会ってみたいな。

















































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