4話
今日はちょっと長いかな?
「あの、助けていただき感謝申し上げますわ」
先程倒された女の子が頭をさげていった。
正直、彼女を助けたというよりあれの物言いにカチンときただけなんだけど、、、
「いいよ、あなたのためじゃないし」
彼女は顔を上げると、少し困ったように微笑んだ。
綺麗な桃色の髪と、キラキラした紫色の瞳。
ふわふわした雰囲気で同じ性別の私でも可愛いと思う。
「それにしてもあのような行動、よくできましたわね。彼がゴールドだった場合、大変なことになっていましたわよ?」
「ん、見たから」
実は、ジェンさん夫婦から今年受験する生徒の一覧をもらっていた。
その紙束は、名前と顔写真、その他の情報が載っていたので昨日は徹夜で覚えた。
上の方の貴族はマークしてたし、あれの名前も実は知ってた。
油断させるのは常識ってジェンさんも言ってたしね。
「、、、はぁ、まあいいですわ」
彼女はため息をつくと、近くのベンチに腰掛けた。
私はクラス表のところに戻ろうとしたとき、彼女は私を引き止め、ベンチに座るように促した。
「あなた、不思議な人ですわね」
「、、そう?」
「えぇ、まるでこれからのことがわかっているみたい」
そう言って、彼女は可愛らしく笑った。
彼女から見て、私はどう見えるのかはわからない。、、、だけど
(、、、私は、そんなに万能じゃないよ)
「ねえ、これもなにかの縁。私達、お友達になりません?」
「友達?」
「ええ、それに、あなたみたいな人は稀ですし、面白そうですから」
そう言って、彼女は微笑みながら指を指した。
そこには、先程私がこてんぱんにした貴族たちが、別の貴族様に説教されていた
「あの方は、、、レイスレージュ家の方かしらね」
レイスレージュ家は伯爵の地位にいる、高位の貴族様だ。
ジェンさんいわく、いい人たちらしい。
、、、高位の貴族様をいい人で片付けちゃ行けない気がするけど、、、
「ふふ、、、私なんかで良ければ?」
「決まりですわね。わたくしの名前はマリアベールですわ。マリアとお呼びください」
「私はリジェンタ。リジーでいいよ」
私達が自己紹介をしていると、
「リジェンター!クラスみたかー!」
元気な声が聞こえてきた。
この声はガルドだろう。
「ガルド、見たよ」
「そっかー、あそこ人がぎゅうぎゅうで参っちまうよなー」
「あら、、、あな、、、」
「ガルド!」
マリアがなにかを言おうとしたとき、ガルドを呼ぶ声がした。
「げ!リージュ、、、」
どうやら知り合いらしい。
私は、足跡がする方を見た。
そこには、先程叱っていた貴族様がいた。
青い髪に、銀色の瞳で涼し気な見た目なのに、彼の周りに赤い炎が見えるのは、彼の怒りが爆発寸前だからなのだろうか。
「ガルド!お前クラス表前で揉め事起こしやがって!少しは大人しくできないのか!」
「いだ!いだいいだい!」
彼はそう言うと、ガルドの頭をガシッと掴み、グリグリと下に押し付けた。
ガルドは痛がっているが、結構激しめの喧嘩を見てしまったので、自業自得だと思ってしまった。
それにしても、こんなに仲がいいということは、ガルドは彼の従者なのだろう。
名家も大変なんだな。
「ふふ、そのくらいにして差し上げたら?」
「マリアベール嬢、助け舟はいりません」
「そうではなくて、このままではあなたの主様が地面に激突してしまいますわよ?」
、、、、、ん?あなたの主?
「、、、えと、、ガルドが従者じゃないの?」
「、、、、、それだったら、どんなに楽か、、、」
彼はガルドから手を離すと、黄昏れながら言った。
、、、苦労しているんだな。
「いってー。リージュー手加減とかできないのかよ、、」
「あなたが問題を起こさず、大人しくしていれば痛いことなんてしませんよ」
「はあ?リージュが手加減すれば俺も大人しくなるかもだぜ?」
「申し遅れました、私はこのアホの従者をしているアシュリーと申します」
ガン無視されたガルドは、とてもがっかりしていた。
それをマリアがおかしそうに笑っている。
「あ、私はリジェンタです。あと、敬語は使わなくていいですよ。私は平民ですから」
「、、そうか」
そう言って、彼は優しく微笑んだ。
笑うと、同い年に見えるな。
こうして、私は大型犬みたいな貴族と、しっかり者の従者と、おしが強いお嬢様と友だちになった。
マリアベール嬢は桃色の髪に紫色の瞳で、見た目弱そうだけど、話してみると結構おしが強い子です
アシュリー少年は青髪銀目で、ガルドの世話でお疲れな少年です