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1話 追放された錬金術師

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「今日でアクア、あなたは解雇(クビ)よ」

「うえ……!? ま、まじ?」


 迷宮から帰還して行きつけの酒場に着いたと同時に、パーティリーダーのリノアは俺に突き放すように言った。

 リノアの言葉に、俺の頭の中が真っ白になっていく。


「どどどど、どうしてだよ!?」

「理由、本当に分からない?」

「……全く」


 リノアが呆れたように深くため息をつく。


「はぁ……あのね、あなたの錬金術が今は全く役に立たないから、私達パーティには不要ってことよ」


 リノアにそう言われ、俺はすがるように他の仲間の顔を見た。

 他の二人は何も言わないが、リノアと同じように冷たい目で俺を見ている。


 ショックだ。

 リノアは俺の幼馴染み。

 しかも俺は密かに恋心を抱いていた。

 そんなリノアから解雇を告げられた事もだけど、ショックだけども。

 それ以上に数年もずっと一緒にやって来た仲間も、俺のことをそう思っていただなんて……


 もうこの四人でパーティを組んで五年くらい。

 最初はペーペーのパーティだったけど、今じゃこの辺り最強とまで言われるパーティにまで成長していた。


 確かに今の俺はパーティのお荷物に成り下がっていたのかも知れない。

 最初は俺の錬金術は役に立って重宝されていた。

 パーティが強くなって行くと、次第に俺出番はアイテムにとって変わられた。


 何年も築いて来た信頼が簡単に崩れ去っていく瞬間は、なんとも呆気無い。


「なあ、俺の錬金術ってそんなに使えなかったか? ハンズ、お前の負った傷も俺が精製した薬で治ったよな?」


 戦士ハンズ。

 熊のように毛深い大男で戦闘では先陣切って戦う勇猛果敢な便りになる男だ。

 俺の一番の親友だと言っても過言じゃない。


 しかし――


「まあ、昔はな。でもオレ達は今Sランクで有名なパーティだ。金も稼げてるし、お前が作る薬より上位の薬が買えるからな。リノアの言うとおり、お前はもう役に立たんのだ」


 ハンズは、俺を小馬鹿にしたように鼻で笑った。


「ハーディ、お前は違うよな!? お前の魔力を増幅するタリスマンは今でも役に立ってるよな?」


 魔道士ハーディ。

 彼女の攻撃魔法や並大抵の威力じゃあない。

 バフもデバフも得意とするパーティの要と言ってもいい。


「は? あんな粗悪品すぐに捨てたわよ。ハンズが言ったとおりだけど、買った方が良いものがあるしねぇ〜」

「……す、捨てた!? あれを捨てたってのか!? タリスマン作るのにどんだけ苦労したと――」


「だから何? 役に立たないモノは捨てるは、当たり前でしょ? そんなの抱えてたらパーティの生存率がどれくらい下がるのか知らないとは言わないわよね」


 う……正論すぎて反論すらできない。

 ハーディの言ってる事は正しい。


 ハーディは爪の手入れをして、その間、一度も俺と顔を合わせようとしない。


「……リノア」

「役に立たない人に、みんなと同じような給金を支払うつもりは無いの。だからみんなで話し合って、アクア……あなたを解雇する事にしたのよ」


 彼女は蔑さんだ瞳で俺を見下している。

 こうなったら何を言っても彼女は取り合ってくれないだろう。


「――ねえ、あんたさ。なんで無能なのにあたし達のパーティにいんの?」


 ハーディの重い一言に俺は絶望を覚えた。

 もうこいつ等には、俺に対する信頼感は無いんだと。

 俺を残して置く気すら無いのかと。


「――お前等なんてもう仲間じゃないっ!」


 かっこ悪い捨て台詞をリノア、ハンズ、ハーディへと吐き捨てた。


「そう。じゃ、さようなら」

「ばいば〜い」

「何処とでも行くがいい、無能錬金術師!」


 三人にそう言われた瞬間。

 俺は叫びながら夜の街の中へと飛び出していた。


読んで頂き本当にありがとうございます。


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