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5話 畑仕事のお手伝い

 

 オーガ探しはエレイナ姉さんの勝利で終わり、お昼になったので、一度解散し家に帰るとお母さんは何やら怒っている様子だった。


 お母さんは僕が帰ってきたのに気づくと怒った様子で「セレン、スコットさんの畑を荒らしたんだって?」と言った。身に覚えがない…確かに畑には入ったけど荒らしてはいない。そう伝えるとお母さんは付いてきなさいといい、僕の腕を引っ張りスコットおじさんが育てている畑に行く。畑に着くとオーガ探しをしていた時には凛々しく育っていた野菜は、なんと無残にもボロボロになっていた。


 どうしてこんな事に?僕は聞く。するとどうやら、昼前に僕がこの畑に入っていくのを村人が見たらしい。その後少ししてからまた畑の前を通ったら、畑は既に荒らされた後だったらしい。その事から僕が犯人の第一候補として挙げられた訳だ。


 恐らく僕が入っていったのはオーガ探しをしている時だろう。とするとエレイナ姉さんも追ってきてた筈だ。僕には畑を荒らした記憶が無い、だから一番怪しいのはエレイナ姉さんだと思うけど証拠がない。それに僕がやっていない証拠もない。

 取り敢えず謝ろう。そう決めるとそこへ、スコットおじさんがやって来た。


 僕はスコットおじさんが何か言う前に「申し訳ございませんでした」と綺麗な土下座をしながら謝罪する。もし土下座大会があったのなら、ベスト4には入れる程の綺麗な土下座を。


 スコットおじさんの顔は見えないが、さぞかし怒っている事だろう。大事に育ててきた野菜が荒されたのだから。無言、誰も何も喋らない状態が数秒間続いた。その数秒が今の僕にとっては、数時間にも感じられた。数秒間、僕にとっての数時間が経過すると、スコットおじさんが口を開いた。


「あー…顔を上げなさい、セレン」


 顔を上げるとスコットおじさんは、君は何も悪くないから頭は下げなくてもいいだろうと言った。どうやら畑荒らしの犯人はエレイナ姉さんだったらしい。僕が畑に隠れた後、探すのが面倒くさくなったエレイナ姉さんは、風魔法を使い野菜を切断しズタズタにしてしまったらしい。本人にその気はなく、風の流れで僕がいる場所を探る予定だったらしいが…。


 スコットおじさんは許してくれた。しかし僕が原因である事は間違いない。そもそもの話、僕が畑に逃げ込まなければこんな事にはならなかったのだから。その事を伝え、何か手伝える事はないか聞く。


「流石にボロボロになった野菜をこのまま放置は不味いから手伝ってくれると助かるかな」


 スコットおじさんは少し悩むが、畑がまだ直ってないのを見るとそう言った。


「じゃあ手伝ってもいいですか?」


 僕は邪魔にはならない様に気をつけますからとお願いすると〝手伝ってくれるのを断りはしないよ。寧ろありがたい〟と畑仕事の手伝いを許可してもらえた。


 まだお昼ご飯を食べてなかったので、一度家に帰りご飯を食べる。食べ終わると、スコットおじさんの畑へと向かう。畑に着くとそこにはケールおばさんとエレイナ姉さんも居た。エレイナ姉さんは僕の事に気づいたが、ケールおばさんはエレイナ姉さんを叱っているようで、今も「どこ向いてんだい!!」と叱り、僕の事には気づいてなさそうだった。


「ケールおばさんこんにちは」


「あぁ、セレンかこんにちは」


 僕が挨拶をすると、ケールおばさんは僕がいる事に気がついたようで、挨拶を返してくれた。ケールおばさんは、このバカ娘のせいで迷惑を掛けちゃってすまないねというが、僕は自分のせいでもありますからと返す。


 エレイナ姉さんは、間違えて強く打っちゃっただけでわざとじゃない!とケールおばさんに何度も説明をしていたが、ケールおばさんはエレイナ姉さんの頬を引っ張ると、やった事には違いないんでしょ!!と叱る。

 頬を引っ張られているエレイナ姉さんは、僕に目で助けを訴えるが、僕は気付かないふりをし、スコットおじさんに手伝いの内容を聞く。スコットおじさんはエレイナ姉さんの事を気にする事もなく「セレンにやってもらう仕事は草刈りだな」と教えてくれた。


 手伝いの内容を聞いているうちにエレイナ姉さんは解放された様で、ジト目で僕の事を睨みつけていた。ちなみに引っ張られた方の頬は赤くなっていた。


 私は何すればいい?エレイナ姉さんも仕事の内容を聞く。

 ケールおばさんは、あんたはあたし達と一緒に処分する野菜を運ぶのよ。と答えると、エレイナ姉さんは言われた仕事に対して、面倒くさいやつじゃんと文句をつける。するとケールおばさんは、あんたがやらかしたんでしょ!と怒った。エレイナ姉さんは怒られると、しゅんと沈んで、はーいとだけ返事を返した。


 スコットおじさんはその間に道具を持って来てたようで、これで雑草を抜くんだよと、ハンドサイズのシャベルを渡してくれた。

 僕はそれを受け取り、早速雑草を抜いてきます!と言うと畑の中へと走っていった。



 ブチブチッ!


 雑草を抜く音が聞こえる。ちゃんと根っこまで抜けてない、根っこが途中で千切れている音だ。上手く抜けない…。あれから30ミルが経ったのだが、毎回このように根っこが途中で千切れてしまう。このままじゃ、任された仕事も満足に出来ない人。というレッテルを貼られてしまってもおかしくない。なんとかしようと模索をしていると、ケールおばさんが僕の様子を見に来た。僕は上手く抜けるコツを聞く事にした。ケールおばさんは、僕が上手く雑草を抜けない事を聞くと、根っこは残しといて良いんだよという。


 理由を聞くと、根っこはほっといても土の中で腐るらしい。そしてその際に、腐った根の部分が穴となり空気や水の通り道とはって、土が柔らかくなるそうだ。更に根っこが地下にある水を吸い上げてくれる為、表面の土が乾かないで済むらしい。


 それだけを言うと、ケールおばさんは後少ししたら休憩するから頑張りなと言い、自分の仕事をしに戻って行った。僕は言われた通り根っこを残す為、根元からほんの少し上を刈る。


 ザクッ、ブチチッ!


 途中までは上手く刈れたが、やはり途中で千切れてしまう。僕はスコットおじさんに鎌はないか聞くと、どうやら倉庫の中に閉まってあるらしい。僕はスコットおじさんから許可を貰うと、鎌を取りに行くために倉庫へと歩いて行った。


 倉庫の前に着くとルーイ兄さんが居た。ルーイ兄さんは「セレン、何やってんだ?」と聞いてきた。


「ちょっと謝罪と反省の意を込めて畑仕事のお手伝いをね…」


 僕はこうなるまでに至った経緯を簡単に話す。するとルーイ兄さんは、それなら俺も手伝うよ。と言ってくれるが、これは僕とセレイナ姉さんが起こした問題だからいいよと断ると、ルーイ兄さんはそうかと納得してくれて家に帰って行った。何処かからエレイナ姉さんのブーイングが聞こえる気がするが、きっとの気のせいだろう。


 僕は倉庫の中で鎌を取ると、畑仕事の手伝いを急いで再開するために畑へと走って帰った。畑に戻り、お手伝いを再開しようとするとエレイナ姉さんが笑顔で、でもよく見たら心からは笑ってない笑顔で、どうしてルーイにも手伝わせなかったの?と聞いてきた。僕は、今回はルーイ兄さんは一緒に遊んでただけで何も悪いことはしてないからと言うと、エレイナ姉さんは手伝わせる事はルーイの人生経験にもなるんだよという。僕はそんなエレイナ姉さんに、なんて言おうか悩んでいると、そこへケールおばさんの助けが入った。ケールおばさんはエレイナ姉さんに、ちゃんと処分する野菜を運ぶのを手伝いなさい。というと、エレイナ姉さんはビクッとし、直ぐに処分する野菜を運ぶのに戻っていった。

 僕はケールおばさんに感謝をしようと頭を下げると、ケールおばさんは気にしなくてもいいのよ、と言った。


 とゆうか、エレイナ姉さんはどうやってルーイ兄さんの事を知ったんだ?あの時は仕事してただろうし…。でもまあ、気にしてても何も始まらないかと考える事を辞め、雑草抜きの続きに戻ったのだった。


 あれから2時間ジルが経った。何度も雑草を抜くと、やはり慣れてくる。今では5秒で1本が抜けるペースだ。途中で休憩も挟んだが、余り変わらないペースで抜いていったので、暗くなる前に作業を終わらせる事が出来た。


「手伝ってくれてありがとうな」


 スコットおじさんは僕の頭に手を乗せて、わしわしと頭を撫でながらお礼を言う。僕は、今回の原因は僕にもありますからと同じ事を言う。するとスコットおじさんは、じゃあ畑仕事の手伝いに免じて許してあげようと言ったのだった。


 僕は、スコットおじさんに畑仕事をしていて楽しいのかを聞く。

 スコットおじさんは難しい顔をし微笑むと、そうだね、色々地味だったり大変な事もあると思う。けれど、皆が美味しいと言いながら食べてくれるのを見ると嬉しくなるんだ。そして、また来年もこの笑顔を見る為に頑張ろうってなる。今年の収穫祭まではまだ時間はあるけど、今年も皆に笑顔で野菜を食べてもらいたいね。そう答えるスコットおじさんの顔を夕日が射す。そんなスコットおじさんの姿を見て僕は、カッコイイ…と思ったのだった。

畑の内容に関しては、自分の知識と調べて出た内容を参考に書いていますので、間違っていたら申し訳ございませんm(_ _)m

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