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2話 転生したら女の子だった

 声が聞こえる……聞いた事のない声。

 しかし何処か安心感のある声が聞こえ、俺の意識は覚醒する。


「ーーー、ーーーー」


(あれ?俺は死んだ筈じゃ…。もしかして死んだのは夢で、俺は生きていたのか?)

 目を開けようとするが、上手く開かない。もう1回開けようとすると今度は少しだけ開き、うっすらぼんやりと誰かが俺を見ているのが分かった。


「ーーー、ーーーーーーー♥」


(誰だ?ていうか何て言ってんだ?)


 男の声が聞こえるが何を言っているのかが分からない。なんとか聞こうとするが、睡魔に襲われそのまま睡魔に抗えず、俺は眠ってしまった。


 目が覚める…。昨日と比べると目は良くなり、全体がよく見える様になった。


(ここは何処だ?)


 目が見える様になった事により、昨日はよく見えなかった部屋を見ようとするが、首が上手く回らないので、またか…と思いつつも見える範囲を見渡す。

 木造の壁に木枠の窓。それ以外は特に何も無い部屋。


(本当にここは何処だ?病院じゃないのか?それに…俺がいる場所、何か赤ちゃんベットっぽい場所のような?)


 暫く何も無い部屋を見ていると、ドアが開く音が聞こえ、部屋に誰かが入ってくるのが分かった。

 部屋に入ってきたのは年若そうな女性だった。女性は俺を見つけると近寄り、顔を見つめながら俺には理解できない言語で喋ってきた。


「ーー?ーーーーーーーーー?ーーーー」


(えっ……。誰?凄く綺麗なんですけど)


 俺が謎の美人女性に見惚れているとその女性は俺を抱き上げて、服を捲り胸の部分を見せてきた。


(えっ?何?御褒美?俺に対しての御褒美?)


 俺は興奮で鼻血が出そうになり、慌てて降ろしてもらおうと暴れると、その女性は心配そうな顔をして俺を見て


「ーーーーー、ーーーーー?」


 と、また謎の言語で喋った。暫くすると諦めたのか、服を下ろし俺をまたベットの上に乗せて何処かへいってしまった。

 俺は女性の胸に飛びつけば良かったと後悔したが、今更仕方ないと諦めてここは何処なのかと考えようとすると、ふとある事に気が付いた。


(あれ?さっきの人よくよく考えたら凄く大きくないか?。俺の身長は168cmの筈だ。それと比べても先程の女性は、俺の三倍近く大きかった。つまり504cmぐらいの身長がある事になる。世界最高の身長が確か、2m50cmぐらいだった筈だ…。それに比べても二倍近く大きい事になる。どうゆう事だ?)


 考えても答えは出る訳もなく、暫くするとお腹が空いてきた。恐らく考え事をしていたからだろう。しかし、食べ物を食べようにも動く事が出来ないし、食べる物が近くにある訳でもない。

 お腹の空腹感が徐々に増していき、気が付いたら俺は泣いてしまっていた。


「おぎゃぁぁぁぁん!!」


 ポタポタと大粒の涙が俺の頬を流れていく。

 俺は泣きたいとは思って無いのだが、何故か泣いてしまう。

 何故泣いてしまうのか、困惑しながら泣いていると、先ほどの女性が俺の声を聞いたのか慌ててやって来て俺をあやし始めた。しかし、俺はお腹が空いているので泣き止まない。暫くすると女性は何かに気がついたのか、また服を捲り上げ胸を俺の顔元へと近づけ始めた。

 俺は何やってんだ?と思ったが、目の前にある胸に興奮と空腹が隠し切れず、気が付いたら飛び込んでいた。

 いざ飲んでみると、案外母乳は美味しく感じた。その美味しさにいつの間にか涙は収まっており、しばらく飲むとお腹がいっぱいになったので女性の胸から顔を離す。女性は俺が顔を離したのを確認すると、俺の背中をさすりげっぷを出させた。


 ここまで来たら流石の俺も理解し始めた。どうやら俺は転生してしまったらしい。それも異世界らしき場所に。

 どうして異世界らしき場所か分かるのかだって?それは、こんなに可愛い女性は地球にはいないからだよ!!

 見てみろよあの美しい銀髪ロング、そして碧眼の眼。この時点で地球じゃない確率が高い。そして極めつけは男の方だよ。先程、チラリと俺の様子を見に来たのが見えたのだが、何処のサ○ヤ人だよ!ってほど筋肉がついていた。

 恐らくこの2人が俺の今世での両親なんだろう。

 今世の両親を見てると、前世の事を思い出した。


(結局、あの後俺は死んだんだろうな。そうしてなきゃ今ここに居るのもおかしいし…。父さんと母さん今頃どうしてるのかなぁ…)


 しかし、何時までも悲しんではいられない。死んでしまった以上、元の世界に戻れたとしても両親は俺の事を遠野凪だと気づくことはないだろう。ならどうすればいいのか。

 異世界でよくある話と言ったら、チートをバンバン発動しハーレムを作る。通称、チーレム。

 俺も異世界に転生した以上、このチーレムを目標とする事に決めた。そして、チーレムの野望の第一歩として俺は心の中であの言葉を叫んだ。


(ステータス!!)


 しかし何も起こらない…。


(い…いやまだだ)


(ステータスオープン!!)


 やはり何も起こらない…。


(もしかしてステータスとか無いのか?いや、それとも喋ってないから出てないとか。くそっ、まさか俺のチーレム野望がここで終わってしまうとは)


 結局、詳しい事は分からずにその日は終わった。


 ☆☆☆


 あれから一週間が経った。結局俺はステータスの事は諦め、次に魔法関連を極める事にした。


「ーーーーーーーーーーーーー♪」


 謎の女性改め、母さんが俺の背中をさする。

 〝けぷっ〟

 今日も母乳を飲んだ後にげっぷをする。赤ちゃんはげっぷをしなきゃいけないと聞いたことがあるが、いざ自分がげっぷする側になると恥ずかしいものだ。まあ俺は既にこの一週間で、恥ずかしい思いを何回もしてきたのだが…。

 朝の食事が終わると母さんが俺が見える所で家の家事をし、父さんが俺と母さんに挨拶をして仕事をしに出かけて行く。


 よし、魔法の練習を始めるか。この一週間で俺は魔法を何回も見た。何処で見たかというと、母さんがやっていた。部屋の掃除をする時に魔法を使っていたのだ。だから俺は、それを今日もよく見て観察をする。


「ーーーーー♪」


 上機嫌で母さんは魔法を木の桶に向かい放つ。

 すると、桶の中に水が注ぎ込まれたではないか。後は雑巾を先ほどの水が入った桶で濡らし、掃除を始める。

 詳しい原理は分からないが、良くある話では体内にある魔力を使用して魔法を発動させているので、おそらくきっとそれだろう。


 俺はまだ喋る事は出来ないが、高校生だった記憶があるので頭脳はそこそこある。この一週間、俺は母さんが使う魔法の言語をリスニングした。そしてその結果、何とか聞き取る事に成功したのだ。

 俺はまだ喋る事が出来ない為、心の中でその魔法を詠唱をしてみる。


(ーーーー)


 …………………………何も起こらない。


 あれ、おかしいな?

 上手く発音できたと思ったんだけど、何が駄目だったんだ?

 もしかして魔力が少なかったとかか?

 いやそれは無い、俺は転生者だから魔力は沢山ある筈…

 それとも体内にある魔力を認識しなきゃ魔法は発動出来ないのか?

 多分そうだ。じゃあどうやって認識する?

 考えても魔力を認識する方法が分からなかったので、俺は一度落ち着いて母さんが魔法を使う所をまた観察する事にする。


(あれ?母さん何処に行ったんだ?)


 気がつくと母さんはトイレに行っていたのか、先程いた場所には居らず見つける事は出来なかった。




 俺がこの世界に来てから1ヶ月が経った。まだ両親が何を言っているか分からない為意思疎通は難しいが、自分の名前はわかった気がする。俺と話す時に何回も出ていた言葉があったんだ。それは「セレン」という言葉だ。何回も何回もその言葉を発していたので、もしかしたら俺の事を言ってんじゃないかなと思ったわけだ。いやぁ凄いだろう。えっ?凄くない?そ…そうか。


 それはさておき、暇だ。母乳を飲み、魔法の特訓をして寝る。やる事がこれ位しか無いのだ。魔法に関しては何も進展がないので、毎日続けていると流石に暇になってくる。赤ちゃんだから1人で外に出れないのは分かるけど、自分が何処に居るのかを理解する為に散歩ぐらいはしてみたいものだ。


 お昼過ぎになると、父さんが小さな男の子とその父親らしき人を連れて帰ってきた。

 父親らしき人の年齢は父さんと同じくらいで、男の子の方の年齢は4〜5歳と言った所か。


「ーーーー、ーーーー?」


 父さんと謎の男性は部屋の奥に行ってしまった為、1人になった男の子は俺の方を指さしながら母さんに何やら質問をしていた。恐らく俺の事について聞いているのだろう。

 俺はというと、今まで何も変わらなかった日々に新たな変化が起きた事が嬉しかったので、この男の子で遊びたいと思った。

 と言っても軽く腕を動かしたりとかしか出来ないので


(こらこら、人に指を指すなって学ばなかったのか?)


 そう心の中で言いながら、俺は男の子の指を咥えてみる事にした。

 〝パクッ〟

 そんな音が聞こえた気がした。

 すると男の子がこっちを見て叫ぶ。


「ーー!ーーーーーーーー!!」


 何かを言いながらこっちを指さし泣き始めた。


「ーーー!ーーーーーーーーーーーーーセレン!」


 母さんに怒られた気がした。まあ気にしてはいけないものだと思い、軽く聞き流しておく。

 しかし、本当にこの男の子は何なんだ?

 見たところ近所の子供かな?

 俺が男の子を見つめていると、男の子は泣き止むどころか更に大きな声で泣き出した。

 …いや悪かったよ、ごめん。だからな、泣きやんでくれよ。

 噛んだのには違いないから俺が悪いの仕方が無いのだが、そこまで泣かれると凄い罪悪感に包まれる。


 その後、先程の男の子の父親らしき男性が男の子の泣き声を聞いたのか慌てて来て、父さんと母さんに少し話をしてから家に帰ってった。


(悪いことしちゃったかな…。それにしても母さんと父さん以外の人、初めて見たな)


 そんな事を考えながら俺は今日も眠る。




 俺がこの世界に来てから半年が経った。


 最近何を話しているのか、所々だが分かるようになった。その中で、近所の男の子やそのお父さん、そして父さんと母さんの名前も分かった。

 父さんの名前は「カストル」

 母さんの名前は「ファノン」

 近所の男の子、この子は村長の孫らしい…。名前は「ルーイ」

 そしてその父親、村長の息子の名前は「ケイオス」

 なんというか、みんなカッコよかったり可愛い名前だな。まあ、俺のセレンっていう名前に比べたら普通なんだけどね。

 ちなみに魔法の特訓は今の所毎日続けているが、何も変わった気がしない。



「セレン、オムツ替えましょうねー」


 それにしても布オムツに慣れると分かるのだが、これ案外楽なんだよ。そのまましたくなったらして、泣いたら取り替えてくれる。オムツを発明した人は素晴らしいね。俺、恋しちゃうよ。

 オムツを変えている最中に俺は初めて自分の身体を見る事になったのだが、そこで違和感を感じた。ただ、少ししか違和感を感じなかった為その時は気にせずにいたのだが、後日その違和感の正体に気付くこととなる。


 翌朝。

 少し前からご飯が離乳食に変わったので、ご飯を食べるのに時間がかかる。ご飯を食べたら食休みの時間なので、その時間の間に魔法の特訓。やはり発動する事はない。


 そして、お昼前に一度目のオムツ替えの時間がやってくるのだ。

 オムツを部屋で変えていると、遊びに来ていたルーイが走りながらこっちにやってきた。そして俺のオムツを変えているところを見て、俺の身体のとある部分に指を指しながら、


「ーーーーセレンーはあれがないの?」


 ルーイは言った。そう、あれがないの?と言ったのだ。

 俺は何の事か分からなかった為、昨日の記憶を思い出す事にする。

 俺は昨日の記憶を想い出すと、そこにあるべきものが無いことを思い出した。

 そう男にはあって女には無いものを……。

 俺は異世界転生をした。それはそれは嬉しかった事だ。

 しかし俺は男として大切な物を前世に置いてきていたのだった。


(俺、男じゃなくて女に転生してたのかよー!!!)


「ピャァァァァァァァァァ!!!!」


 俺の声にもならない悲鳴が家の中に響き渡る


「セレン!?どうーーー!?セレン!!!」


 母さんの慌てている声が聞こえるが、今はそんな事はどうでもいい。俺が男じゃなかった事の方が問題だ。野望であったチーレム、それが叶えられないのは置いといたとしてもこれはピンチだ。何故ならこのままじゃ、俺がヒロインをする事だって有り得るのだ。目の前に居る母さんの顔が青くなるのを確認しながら、俺は意識を手放した。

ここまでは書いてたのですが、ここから先はまだ書いていません。(^_^;)


続きは出来るだけ早く、遅くても今月中には出せるように頑張ります。


もし面白いと感じてくれましたら、感想やブックマーク等をしてくださると作者のやる気が上がりますので、よろしくお願いします!!

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