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バベルの登塔者  作者: Crowley
一章 どこまでへも続く道
19/41

馬鹿貴族と代理決闘。

一部の方々、ご迷惑おかけします。

目の前にはバラン……グリッド氏が座りながら大汗をかいてハンカチで額を拭いている。びしょびしょのハンカチが出来上がったのはこれで五枚目だ。


「それで、あのー、報酬に関してなんですが」

「ミツミ、出してやりなさい。」


女中のおばさん、ミツミさんがエプロンのポケットから銀貨三枚の入った小袋を渡してきた。一、二、三、確かに。


出してもらったお茶を飲み干したら帰ろうと思い、高そうな紅茶を飲んでいると、バランスボー……グリッド氏が何か言いたそうにモジモジとしている。


「あのー、何か顔についてます?」

「い、いいや、そそそういう訳ではないのだよ。」


そう言うと、汗塗れの手で懐から金貨五枚をテーブルの上に出して、声を聞いた時から予想をしていた事をものの見事に言い当てた。


「きっ、貴様の隣の奴隷二人をそそっ、ソレで買い取ってやるんだな。」


でしょうね。もうテンプレがあからさますぎて驚きもしない。やっぱり言ったかこのバランスボールはとしか思わない。


「残念ながら、彼女ら二人は生憎奴隷ではなく冒険者です。なので、金銭による譲渡や売買は出来ませんよ。彼女らのはチョーカーと言うアクセサリーです。最も、奴隷だとしても手放しませんよ。」

「なっ、ききっ、貴様!貴族である我が父ピース男爵の次男、このグリッド・イール・ピースの言うことが聞けぬというのか!」


馬鹿かよこのBB(バランスボール)。奴隷身分以外の人身売買は犯罪だぞ?頭イカれてんのか?しっかし、見事テンプレに乗って見せたな。自分でもとっても驚きである。


「ななっ、ならば、けっ、けけっ、決闘をしろ!」

「はぁ?」


驚き過ぎて抜けたような返事しか出来ない。この後も段々話が勝手に一人歩きし決定され、BBの勝利で無償でアナスタシアとノルンの提供、俺の勝利はなにもなしの理不尽真っ只中な決闘が翌日行われることとなった。




「はーぁ、だる」


ため息がでてしまうのは無理もないと思いたい。こっちは俺が決闘に出て向こうは今日中に猛者を選出して、戦うって全く持ってフェアじゃない。


アナスタシア曰わく、決闘とは基本、一対一で行われる一騎打ちのようなものだという。アナスタシアの時代は盛んに行われていて、審判員は決闘スキルなるものを持った人が行い、不正やルール違反は敗北と見なされるなど、決闘スキルを持つ人は公平に審判が出来る証らしい。


受け手は受けるか否かの決定権があり、今回はこっちが受け手だが何故か俺から、持ち込んだ感じになっているという。なんという理不尽。


決闘での決定は絶対であり守らなければならないように、決闘スキルによって魂に刻まれるらしい。たった一つの決闘で大規模戦争が終結したこともあったそうだ。


翌日、決闘は街中に知れ渡り、街の中心にある闘技場で行われる。朝起きて闘技場に行くと見知った顔がちらほらと。来たときの御者に衛兵の青年、それにフローラまでいる。


闘技場はイタリアのコロッセウムのようになっていて、コロッセウムの中は客席をドーナツ状に防御系結界が張られている。


審判員はピース男爵長男の家臣の一人が買って出てくれた。観客は満員という程では無いが座席が埋まっていて、賭けをしていたりしている。因みに胴元はピース男爵長男らしい。


「に、逃げ出さずに来たことはほっ、誉めてやるんだな!」

「バランスボールごときに逃げ出すわきゃねえだろ。あんた馬鹿かよ?」

「ばば、ばらんす?なにがいいたいかは分からんが、我が輩は断じてばばっ、馬鹿などではない!」


いや、馬鹿だろう。この程度のおちょくりでブチギレてんだから。貴族という立場がコイツの性格の悪化を助長させたのだろう。いい死に方は出来ないな。


「うっせ、一々キレんな。んで、俺がやるのは誰なんだ?隣の執事か?」

「いや、私だ。私に気がついていて言っただろう?君は冗談が下手だな。」


そう言ったのは、執事とBBを挟んで反対側に居る女性。金髪のポニーテールに碧眼、陶器のような白い肌と女性騎士の代表みたいな見た目。


白を基調にした胸当て、ソールレット、ガントレットをつけてその下には白と黒のギャンベゾンをきて腰に細剣を携えた軽装騎士の恰好だ。


「……私の恰好に何かあるのか?あまりジロジロ見るな。それで、人質はどこにいるんだ?」

「なんもないし、そんなジロジロも見てねえよ。アナスタシアとノルンの二人のことなら、今頃は門を出て少しした辺りで魔法の練習でもしているだろうよ。」


さすがにあの二人をここに呼ぶのは躊躇われた。だってバランスボールを見た二人の反応が心底嫌そうだったし、アナスタシアは体に換えがきくからいいが、ノルンはそういう訳ではない。


「いい、いきがっていられるのもいっ、今のうちなのだよ!」

「一々絡んでくるなBB。そこの執事、早く連れていけ。観客から野次が飛んでる。」


早く始めろーなんて声のほかにも、野次ではないがリリィ様ーという黄色い声援も聞こえる。賭け金は大銅貨一枚からで倍率は女性騎士リリィが1.5倍、俺が2倍、相討ちが5倍となっている。


大抵の人がリリィに投票し、一部の冒険者らしき人や知り合いは俺に投票してくれている。周りの状況を見ている間に執事が後ろにバランスボールを引いていったようだ。


「邪魔者は消えたな。名乗りをあげておこう。私は第一王女直轄近衛護衛部隊『精花の騎士団(ラスター・ナイツ)』団長、リリィ・キルケゴール。君の名前を教えて貰えるかい?一応、帰省中とは言え団長としてでも人としてでも騎士道は通したいところだ。理解してくれ。」

「分かった。俺はヴェア・ヴォルフという。ただの冒険者だ。そちらさんが、あのバランスボールにどんな利益を齎されるかは知らんが、俺もあいつらの為には負けれんでな。必ず叩きのめす。」


ルールは時間無制限、魔法あり、殺人はなし。まあ、普通だな。私的な闘技場の利用のため実況者はいない。殺せないとなると、使える魔法は大きく制限されるな。


「それでは、双方名乗りをあげたところだが、審判員席で、私がこの笛を鳴らした瞬間から開始だ。」


そう言うと、男性はスタスタと審判員席に着席。


「それでは、はじめ!」


甲高い笛の音が鳴る。向こうにとっては勝ち戦、こちらにとっては面倒事が始まった。




「はぁぁぁぁぁぁ!」


リリィの身体強化を施された肉体は軽く地面を蹴るだけで、瞬きをする間にヴォルフの懐に入り込む。瞬時に抜き出された細剣は(はらわた)を取り出さんとするように切り上げるも、細剣には血糊は付かず空を切る。動きを見切り、少し後ろに下がったのだ。


殺そうとしない刃は治せる傷の範囲までしか抉らない。故に大きな動きは必要なく、傍目に見ればあまりの早さについて行けずギリギリでの回避をしたように見えるだろう。


そして、リリィは後ろに回り込み袈裟切りにするも瞬時に反転したヴォルフに避けられる。力強く踏み込み後ろに跳んで距離をとる。勿論、一瞬で距離を詰められる環境であるため慰めにしかならない。


しかし、その生まれた一瞬で反撃方法を模索、発見、そして決定まで漕ぎ着く。着地した瞬間より、反撃へ転じ今度はリリィの目の前に跳ぶ。すぐさま抜き出した蠱毒に魔力を纏わせて刀身を細剣の間合いよりも僅かに伸ばし続ける。


何かをしようとしている事に、反撃をする事に気がついたのか、リリィは空いた左手に魔力を集中させて詠唱を開始する。詠唱と同時並行で剣戟を繰り出すリリィは本来、酷く強い部類に入る筈であるがヴォルフには関係無い。


「うらぁぁぁぁぁぁ!」


右へ左へ上へ下へと出鱈目に斬りつけているように見えるも、一閃と一閃の意識の隙間に肘、肩、手首をランダムに狙って突きを入れる。戦闘不能に持ち込ませる確実な攻撃であり、この場合においてヴォルフに大きく有利に働く。


左手の魔力を纏め上げ詠唱し魔法を形成しようと集中力を高めることもほんの僅かに緩んだ防御によって、殺しは無しのこの代理決闘においても、死を覚悟させる猛烈な攻撃を受ける原因になりうる。


一つ一つの一閃が死を招くものだと感じ取れ、ヴォルフの剣戟から目を離すことが出来ない。そしていつまでも続くかと思われるほどに拮抗していた剣戟は、不意に終劇へ向かう。


「ぐぁああ!」


僅かに伸び続けていた刃による突きが、一瞬の弾き損ねにより右肩へ突き刺さる。思わず細剣を落としてしまいつつ体制を崩しながら、詠唱を一瞬で終わらせて、一般的な風魔法の『風斬り(ウィンド・カッター)』で体制を立て直す時間を設けようとする。


放たれた風の刃は真っ直ぐヴォルフに飛んでいき、左手に魔力を纏わせて力業で魔法を弾き勢いを利用して、リリィの胸当てを強く蹴りつける。


何とかその場で耐えたリリィだが反らした上体を右足を振り下ろされ地面に叩きつけられる。そして右足を胸当てに下ろしたそのままに、喉に未だに若干伸び続ける蠱毒を突き付けて試合終了。


もう一度笛の音がなり、決闘はヴェア・ヴォルフの勝利で幕を閉じた。


あっという間に終わってしまった、それも予想外の方向に進んだ決闘を見て、皆唖然としている。御者と青年は俺に投票したのかウハウハしている。対してフローラは微笑んでいる。


力の入りにくい右腕で顔を覆ったリリィの小さな嗚咽が聞こえるが、俺がしたことは自分のモノを守っただけだ。何かを守る職業に着いているリリィならば分かるだろう。




「きっ、貴様ぁー!おのれリリィ!何をしているであるかぁ!何故敗北をぉお?!」

「貴様それ以上言ったら……本気でぶち殺すぞ?」


他人任せで敗北したバランスボールに脅しをかけると、その場でへたり込んで呆然とした表情で地面を濡らしていた。うわ、きったね……


そのまま気を失ったバランスボールを担架で運ぶ人達を見送り、そっとリリィに目を向ける。未だに彼女は地面に倒れ込み右腕で顔を覆っている。


「おい、俺がやっておいてなんだが、いい加減にしろ。泣いてねぇで、こっから先のことを考えろ。俺がお前に勝ったのもお前が俺に負けたのも事実だ。何も変わらねえ。どうのこうの言ってたが、ただの虚仮威しか?さっさと立ってどうにかしろ。そしてどうにでもなれ。」


そして、俺はリリィに向かって左手を差し伸べる。リリィは俺の手をとることは無かったが、泣きはらして目を赤くさせていたが憑き物を落としたようにスッキリとした表情になった。




「んで、二人の方はどうだったの?」

「どうもこうもありませんよ、普通に教えるより魔法辞典を見せた方が早くて、普通に私の存在意義を見失いましたよ……」

「おー、やったなノルン。理の魔女の御墨付きを貰えたじゃん。」


その日の夜、簡易的な勝利報告と二人の日中の話をする。ノルンは魔法を覚える素質も良いらしい。流石、秤の魔女(仮)だな。


魔術師ギルドに所属する者には基本的に魔力量、魔法技術、総合力の三つの部門別に等級が与えられてノルンは大体、第二位階、第四位階、第三位階となる。


トップクラスが第二位階、第一位階は大英雄レベルなので、ノルンはなかなかに凄い。アナスタシアが俺とアナスタシアはオール第一位階のレベルにはあると評価していた。


何故総合力だけで決めてしまわないのかというと、魔力量が高い人は魔導兵器の運用者に、魔法技術が高い人は魔術師学校の教師に採用されやすく、就職先の決定にも影響する可能性があるかららしい。


総合力は総合力で、魔法兵を纏める人物の選定に一役も二役も買っている。必然的に魔術師ギルドは世界各国の軍事事上に大きく首を突っ込んでいるわけだが、一応中立的立場にある。


「でも、ご主人様みたいに大魔法は使えないですよ?」

「そんなノルンにはこんな言葉を贈ろう。『シンプルイズベスト』だ。」

「神父?ベスト?」

「つまり、簡単で単純が一番って事だ。どんなに難しいものを全部出来たとしても、簡単なことを限界まで極めた人間とは同等だからな。それだったら簡単を極めた方が楽だろう?」


とりあえずその場で思い付いた事を言ってみただけなのだが、ノルンは目を輝かせているので何も言えない。なんか騙したようで悪いな。恐らくそれはノルンにはばれているのだろうが。


「それでは私達は先に湯浴みに行きますが主殿はいかが過ごしますか?」

「俺は魔物の本がもう少しで覚えられるから先に行ってきなよ。」


各々それぞれのやりたい事をすませた後、二人を早々に湯浴みに出す。尤も、理由二人にはああ言ったが、本当はそんな事はない。


こんなものはとっくに覚えている。何せ万が一があるからな。この世界では何よりも死亡率が高い職業だし、頭の中では殲滅用と討伐用の殺し方は決めておかなければいざという時に困る。


早々に送り出した理由。他に何かあるかと問われれば、決闘が終了した後に得た単なるスキル『気配感知』、ギフト『空間探知(レーダー)』。恐らく刃を避けたりする際に得たものだろう。


それを帰るときからずーっと今も続けているのだが、とてもシャイなお客さんがこの宿にいらっしゃるようで、今も天井裏とここから近い大浴場に向かうアナスタシア達の四方に散らばっている。


「そんな所でどうしたんだ、入ってこいよ?」


そう言うと、天井がパカッと音を立ててなんか……こう………忍者?っぽい服の人が降りてきた。青い髪と赤い目が見えるだけで顔のそこから下は判らない。


「どうせお前あのバランスボールに雇われてんだろ?何で雇われてんだ?金か?それなら倍は出そうか。」


忍者擬きはうんともすんとも言わない。ただジッとこちらを睨みつけている。


「人質でもとられてんのか?ならお前があのバランスボールを殺して助ければいい。ま、その時点で人質を助けた意味がなくなる場合が多いけどな。なんなら、俺がやってやろうか?」

「うるさい!お前みたいな命乞いをするような奴に助けられることではない!」


初めて声を荒げた忍者擬きは未だ睨みつけているが、声を荒げた他に戦闘体制に初めて入った。構えもまずまず、呼吸も整ってない。こんな奴が勝てる訳ない。


短剣で切りかかってきたのでよけて床に叩きつけると直ぐに気絶したので、動けないように捕縛して上下左右の部屋に謝りに行く。


自室に戻り忍者擬きを起こす。観念したのか身の上を話し始めた。


要約すると、彼は幼い頃に結婚の約束をした少女がいて、その子と共に奴隷落ち。彼はバランスボールに拾われたが、その子を見つけてやる代わりに暗殺稼業を行うという契約の元、自らは現在に至る。


「ふーん、ありきたりな話だな。ま、当人達にはそんな事関係無いけど。んじゃ、俺が捜してやる。つー訳で、容姿と名前、今は何歳位?」

「アンネローゼ、十六か五、赤髪に青い瞳で今はあるかわからないけど雀斑がある。昔から動物、魔獣関係無く生き物が好きだった。」

「あ、ごめん。それ知り合いだわ。」


まさかの早期発見。ラヴェルでゲルマの店の店番をしている事を伝えると、ありがとうと礼を言って飛び出して行った。後からぞろぞろとやってきた仲間達は金で雇われていただけだったので倍の値段を払ったら帰ってくれた。


「そして、その一部始終を傍観していたリリィ・キルケゴールでしたとさ。」

「なんだ、やはり気付いていたのか。」

「そりゃそうだろ、あんなお粗末な気配遮断。さっきの男の方が巧かったぞ?」


リリィは、彼らは本職だろう?と言って苦笑いしている。少なくとも、ここにいるのは本人の休暇とは関係がない事なのだろう。いくらいい宿とは言えもっと良い宿は幾つかあるし、ナントカ団の団長らしいから金はあるだろうし。


「となると、此処に来た理由はやっぱり?」

「ああ、今回の代理決闘の件についてだ。」


でしょうね。ただでさえ王族の近衛騎士様だから、こんな所で休暇中とは言え要らない油を売るのは如何なものかと。


「どうせアレだろう?バランスボールに借りがあったからそれを返しただけだ、って事だろう?」

「まあ大体そんなところだが、近衛騎士第五席の私に勝利出来る君に折り入って頼みがある。」

「モノによるけど。」

「ありがとう、助かるよ。」


そしてつらつらと頼みを話し始めた。要するに、バランスボールが王国貴族としてあるまじき言動が目に余る為に、貴族位から引きずり出して欲しいらしい。一般人の俺には出来ないと言うと。


「……そうか、あい分かった。ただもう一つあるのだが代わりにそちらを聞いてやくれないか?」

「ん?分かった。断った負い目もあるしな……ま、俺が出来ることであればな。」

「ありがとう。では明日の昼、またここで。もうそろそろ彼女たちも帰ってくる頃だろうしな。」


レーダーを使ってみると、あとものの二三分で到着する場所に居る。襲撃を受けて念の為こっちに戻るようだ。リリィが帰った数十秒後、アナスタシア達が帰ってきた。ノルンが念を押して俺の無事を確かめにきてくれたらしい。


ノルンの頭をワシャワシャ撫で回すと、顔を真っ赤にして怒った。そんなにイヤだったのかな?ノルンを見ているとこう、父性を感じることが出来る。それが必要かどうかは知らないが。


湯浴みに行き遅れた二人を連れて湯浴みに向かう。月光が煌々と輝く筈が怪しい雲行きに遮られ街灯だけが街を照らす。街の喧騒と屋台から漂う香ばしい香りが要らぬ不安要素を揉み消し、旅の迷走を思考から排除させる。


今日の夕飯はあそこの店の爆牙猪(バーン・ボア)の生姜焼きにしよう。料理の勇者サマサマだな、故郷の味を食べられるのだから。


近衛騎士第五席を圧倒出来る彼が平和を享受出来るのは、もう残り少ないのかもしれない。災害と勇者(めんどうごと)は忘れた頃にやってくる。




ベッドに入り今日のことを振り返る。リリィの頼みって何の事なのだろうか。偽装結婚してくれってやつかな?それはないか。………ないよね?


それよりも、リリィが第五席で良いのだろうか。あいつ結構弱かったような?今頃あの御者は勝利の美酒で大盤振る舞い、あの衛兵の青年は同僚と酒盛りをしているだろう。フローラは何しているかな?……………………………何故フローラが居るんだ?


目覚めに隣にフローラがいることを幻視しながら瞼が重くなる。ストーカーこわい。幾ら美女でも心臓に悪い。翌朝に戦々恐々としながら眠りに落ちた。

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