7.王都
かなりの間が空いてしまい申し訳ありません。
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書き足しと書き直し、行間を開けましたので読みやすくなっていれば幸いです
最初はアメリアは王都にはきていなかったのですが、忘れていただけなので、入れました。
本当に申し訳ありません
「レン準備はできたか?」
「はい。問題ありません。」
僕は今年で5歳になった。
神様からの祝福を受けるため王都の教会に向かうことになった。
この領地には教会がないからだ。
なぜ教会に行くのかというと、教会で神様に祈りを捧げると神様からお返しに祝福され、同時に自分に合ったスキルが貰えるからだ。
稀にユニークスキルと呼ばれる通常のスキルより強力なスキルを貰えるが、ごく稀に世界に1つしかないユニークスキルが貰える人もいるという。
しかし、それは未発見ということであって世界に同じユニークスキルを持つものが2人以上いるということではない。
今は生きていない偉人などが持っていたとされるスキルを授かったということだ。
「よし、では今から王都へ出発する」
「道中は私とクランツがいるから心配ないと思うが、万が一ということもある。気を引き締めて行くように」
「「はい、行ってきます」」
僕とアメリア姉さんは笑顔で言う。
「「「「「行ってらっしゃいませ」」」」」
メイドさんたちや執事さんたちも笑顔で返してくれた。
出発してから6時間僕はどこまでも青い空を馬車の中から眺めながらどこの世界も変わらないなーと思っていた。
「そろそろだ」
「わかった」
父さんの声を聞いて眠たくて重い瞼をこする。
「降りる準備するわよレン」
アメリア姉さんはいつも笑顔で元気いっぱいだ。
王都への道中は魔物が出てきた。
父様とクランツさんがすぐに倒してしまうので僕の出番はなかった。
まぁ出て行こうと思ってもトルネの膝の上だから逃げられなかったんだけどね。
そんなことを考えていたらどうやら門ついたようだ。
そこには2人の兵士がいて、こちらを怪しそうな睨んでいる。
「何か身分を示すものはございますか?」
「ああ」
父さんは返事をすると懐からカードを取り出した。
「これは失礼したしました、ベルトリート侯爵様。どうぞお通りください」
「うむ。検問ご苦労だ」
父さんは笑顔で門番に答えると馬車の綱を引き、門をくぐった。
こうして僕は初めて王都に入った。
王都についた僕らはまず宿をとった。
今日はここで一泊してから明日教会に行く予定だ。
僕は初めての王都に興奮していた。
「父様。王都の街並みに見てきてよろしいですか?」
「私も行きたい!だめ?」
期待の眼差しを込めて言う僕とアメリア姉さんに父さんは笑顔で言う。
「ふむ……。本来なら明日にしろというところだが、今回はトルネとクランツもいるからね、行ってきても良いぞ」
「やったー!」
「ありがとう父様!」
僕とアメリア姉さんは父様にお礼を言うとトルネとクランツの元へ走っていった。
「あなた、よかったの?明日は大切な日だと言うのに」
サラは笑顔でレオに向かってそう言う。
「構わんさ。初めての王都だ。気分が高揚するのもわかるからな」
「ふふ、レオのそういうところ私好きよ」
「あ、ありがとう」
レオは頬を赤くして顔を背ける。
「まぁ、何事もなければいいけど」
サラはどことなく何か起こる予感を感じていた。
僕は今トルネとアメリア姉さんの手を引いて商業区を歩いていた。
その後ろをクランツがついてくる。
いろんな店を回ったが、どの店に行ってもトルネはニコニコと笑って「そうですね」としか言わない。
僕はそんなトルネを見て楽しくないのかな?なんて思ったり。
けど僕はトルネの笑顔が見れただけで満足だった。
アメリア姉さんは終始「これすごい!」「あれすごい!」のオンパレードだった。
商店をあらかた回り終わった僕らは、明日回りたい店を確認した後、お土産を買った。
「これ買って帰ったら母様は喜ぶかな?」
僕は骨董品の前で眉を寄せ唸っていた。
「ええ、きっと喜んでくれますよ」
そこにトルネが後押しをする。
「私はこれにするー」
アメリア姉さんも決まったようだ。
「よしそれじゃあ買って帰ろうか……うん?」
店の外で誰かがぶつかったようだ。
「おいこら、てめぇどこ見て歩いてんだ?」
「ご、ごめんなさぐふっ」
店の外では小さな女の子が冒険者であろう男に謝ると同時に男は女の子を殴り飛ばしたところだった。
「くそ、汚れちまったじゃねえかクソガキ!」
手を見てそう言った男はまた女の子を殴ろうと近寄った。
(どう考えても自業自得なんですけど……ってそれより早く助けないと)
僕は男が殴るより前にお腹を抑えて痛みに耐えている女の子の前に割って入った。
「ああ?誰だボウズ殴られたいのか?」
(えっと、こういう時どうしたらいいんだっけ?)
何も考えずに行動したため、内心すごく戸惑っていた。
が、一言。
「やりすぎですよ」
続けて、
「たしかに彼女はあなたにぶつかったのかもしれませんが、彼女は頭を下げて謝ったはずです。それなのに殴るのはどうかと思います」
「はぁ?なに言ってんだボウズ」
男は呆れた顔をする。
何か間違ったことを言っただろうか?
「そこのガキは主人に死なれた挙句、買取のいないただの奴隷だ。奴隷の分際で俺にぶつかったんだ殴るのは当たり前だろうが!」
そう言って額に筋を浮かべた男は俺に向かって拳を振り下ろした。
が、その拳はクランツさんによって遮られた。
そしてクランツさんは澄ました顔で諭す。
「こいつに手を出すのはやめておいた方がいいぞ」
「誰だお前?邪魔するんじゃねえ」
「そいつはこの国の侯爵家の息子だ。手を上げればどうなるかくらいわかるだろ?」
侯爵家と聞いた瞬間、男の顔が青くなる。
「侯爵家だと?ちっ今回は見逃してやる」
男はクランツさんと俺を睨みながら去って行った。
「おいレン。あまり無茶するんじゃない。お前が怪我でもしたら報酬が削られんだぞ」
「レン様無事でよかった。あまり無茶なさらないでください」
「レン、よくやったわ!」
どうやらかなり心配かけたみたいだ。
でもあのままじゃあの子が痛い思いをすると思ったらつい体がね。
ただ、僕が反射的にこの子を助けた理由は別にもある。
僕が助けた女の子は猫耳と腰から伸びる尻尾があったからだったりする。
助けたはいいが、どうしたものか。