3.創造神リエル
1話と2話に番号振るの忘れてました。
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書き足しと行間を開けました。
気がつくと僕は広い空間にいた。
「ここはどこだ?なんでここにいるんだっけ?」
僕は混乱してうまく回らない頭で少しの間考える。
「そっか僕はあの時…」
そう、僕はあの時、あの女の子を助けようとして、トラックに轢かれ死んだ。
「なのに…僕は……」
結論から言うと、僕は彼女の元にたどり着いた。だが、それだけだ。
「あのー」
彼女を助ける間もなく、二人同時にトラックに轢かれた。
だから僕は心配でならない。
彼女は生きているのだろうか?
一緒に死んではいないだろうか?
「もしもしー……。聞こえてないの?」
いきなり目の前に手が出てきた。
「うわっ!?」
手の出した人の方に顔を向けると、そこには僕が助けようとしたあの女の子がいた。
僕はとても驚いた。
そして悲しんだ。
「ふふふ、そんなに驚かなくてもいいのに」
「君は……そっか」
「そう落ち込まないでよ。私、嬉しかったんだから。見ず知らずの私のために頑張ってくれる人なんて初めてだったから。」
なんだよそれ。少しくらい哀しめよ。
「大袈裟だよ。それに一緒に死んじゃったし…」
「優しいんだね」
違う。僕は、
「悔しいだけだよ」
そう、僕は悔しかったんだ。
気づくのが遅かったとはいえ、彼女を助けるために飛び込んだのに一緒に死んで彼女に今、責任を感じさせてしまっていることに。
(けど、死んでしまったことはもう変えられないんだし、これからどうしようか?)
落ち込んでいても仕方ないと僕は気持ちを無理矢理切り替える。
そこに、
「ごめんねー、ちょっと仕事が立て続けに入ったので遅れました。まずは、今の状況は把握していますか?」
突如僕たちの前に一人の少女が現れた。
女の子は僕の後ろに隠れる。
「とりあえず、二人揃って死んだ後、気づいたらここにいました」
「うん。一応把握しているね。それじゃあ君達のこれからのことだけど、その前に自己紹介からしようか」
「そういえば、私は遊馬さんに自己紹介がまだでした」
「だよねだよね。と言うわけで私から、私の名前はリエル。君達にとっては神様にあたるものです。」
そう言って彼女は胸を張った。
ちなみに彼女の容姿は8歳児ほどの外観なので、見ているこっちにあまり威厳を感じさせなかった。
「私の名前は不知火日向と言います。死んだ日に、桜ヶ丘高校の一年生になりました」
(驚いた。同じ学校の同い年か)
「僕は遊馬ひかるです。僕も同じく死んだ日に、桜ヶ丘高校の一年生になりました」
「同じ高校の同じ学年だったんですね!」
「はい。僕も驚きました」
一通り感慨にふけった後、
「さて、自己紹介も終わったところで、君達のこれからについて話そう」
「まず、普通の人は死んだら必ず天国が地獄に行くための選別が行われれ、そのまま選ばれた方に行ってもらう」
「しかし、今回は私からの提案で君達には二度目の人生を別の場所で送ってもらいたいと思います」
ちょっと話が急すぎて頭がついて行かない。
えっと、二度目の人生ということは、
「それってつまり…」
「異世界転生!?」
リエルはドッキリを成功させたような顔で頷いた。
ひかるも日向もアニメやラノベが好きだったので、それなりにこの状況に興奮していた。
「けど、どうして私たちだけ?これってイレギュラーですよね?」
確かにそうだ。
「ああ、私の独断だよ。なぜと聞かれたら、日向さんが地球でかなり辛い思いをされていたのと、命を懸けて誰かを守ろうとしたひかるくんへのご褒美?かな」
理由は意外とあっさりしていた。
そんなんでいいのか神様!
「それで、ここからが本題なんだけど、転生というだけあって地球の時とは別の体で過ごしてもらうことになる。」
「そこでいつもはこっちで適当に決めてパパッとやるんだけど……今回は君達に色々と決めてもらおうと思って」
あーこれ絶対めんどくさいだけだ。
が、これは願っても無い。
「「わかりました」」
が、決める前に重要なことを聞かなければならない。
「それで僕らが行く異世界はどういった場所なんですか?」
そう、これだけは欠かせない。
行った先がサイボーグの世界とか、魔法のない世界とかそんなのは困る。
「えっとねー…」
リエルは掻い摘んで説明してくれた。
彼女曰く、
その世界では魔法が使える。
その世界には魔物がいる。
その世界には色々な種族が暮らしている。
その世界にはスキルというものがある。
その世界ではステータスはよくある数値で見ることなどはできないらしい。
「なるほど」
望んだ通りだ。
「大体はこんなとこだね。じゃあ今から決めてもらうけれど、ステータスオープンって心の中で言ってみて」
こうして僕たちは転生への準備を始めた。