13.銀髪碧眼の少女
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書き足しと書き直し、行間を開けましたので読みやすくなっていれば幸いです。
今、僕の目の前には白髪蒼眼の女の子がいる。
彼女はとても嬉しそうな顔でこう言った。
「久しぶり!ひかる」
「なんでその名前を?!」
ぼくは彼女の発言に驚き、ここに来るまでのことを思い出していた。
僕は今日も朝、ルナに起こしてもらってから顔を洗い、朝食を済ませた。
「レン、今日は一昨日に言った通りラフェルタ伯爵家へと向かう。粗相のないようにな。まぁお前は大丈夫だろうが」
「はい。分かっています。父様」
「今日はトルネは私たちと行動してもらうので、あちらのご息女とはルナと二人で会ってもらう。あちらのメイドが付くから何かあればその者に言うように」
父様からラフェルタ伯爵家に着いた後のことを聞き僕らは宿を出た。
ラフェルタ伯爵家は王都の貴族が多く住む貴族区に住んでおり、中でもあまり派手な家ではないのが特徴らしい。
貴族区は遠いため馬車で行く。
宿から2時間どうやら着いたようだ。
僕らが馬車を降りると同時に家から一人の執事が出てきた。
「ようこそお来し下さいました、ベルトリート侯爵一行様方。私はセワスと申します。本日は屋敷の案内をさせていただきます」
「ああ、よろしく頼む」
「はい。案内致します。こちらへ」
執事さんは流れるような動きで扉を開ける。
中は外見の雰囲気とあって色合いの薄い、なんだか落ち着く感じだった。
中には数人メイドと執事が綺麗に整列していた。
僕らはその間を通ってすぐの少し広い客間へ案内された。
「旦那様方を呼んで参ります。少々お待ちください」
「ああ、なるべく早く頼むと伝えてくれ」
「承知致しました」
僕の家族は侯爵家なので伯爵より一つ階級が上なのだ。
そんな僕たちを待たせるのは不敬だと言わんばかりに父は執事に言伝を頼んだ。
ただ、ここで父が怒り出さない所を見るとラフェルタ伯爵とは仲が良いとまではいかなくとも少し関係を持っていそうである。
「お待たせいたしました。こちらです」
執事さんの言葉の後、若い男性と女性そして男の子が2人に女の子が2人入ってきた。うちと同じ四人兄弟か。
「待たせて済まなかった、レオ」
と男性が頭を下げる。
「構わん。ただ、他のやつの時は気をつけるようにな。それより自己紹介を頼む。息子が誰かわからず困っておる」
どうやら愛称で呼ぶくらいの仲ではあるらしい。
「それもそうだ。俺の名前はゲイル。ゲイル=フィン=ラフェルタだ。この家の大黒柱をしている」
最初に入ってきた、銀髪銀目のイケメンだ。
がははと笑いながら喋る姿はどことなく子供っぽい。
「私は妻のアイナよ。この子たちは大きい子からガン、ゲン、マリア、リーフィアよ」
子供たちは名前の後にお辞儀をする。
ゲイルさんの隣の美人さんは妻らしい。
長いのに手入れの行き届いた銀髪、おっとりとした姿は貴族というに相応しい姿だ。
次に紹介された子供たちは男子は父親に似て活発そうだ。
女子2人はお母さんに似てお淑やかだ。
一番小さい子がなぜかこちらをずっと見ているのだが、僕の顔を何か付いているだろうか?
「えっとレン=フィン=ベルトリートです。よろしくお願いします」
「して、今日レンに会いたいと申したのはリーフィア嬢でよろしいかな?」
「あぁ、そうだ」
「よし、レン。リーフィア嬢を連れて別室で話でもしてきなさい」
リーフィアってあの子だよね?ずっと僕を見てる……。
覚悟を決めるしかないか。
あくまでも外見だけはこんなこと考えてるとは思わないようにしなくては。
年相応に年相応に。
「はい、父様。リーフィアちゃん、いこ」
「うん」
「ルナもいくよ」
「はい」
僕は二人を連れて部屋を出た。
僕たちが出て言った後、
「なかなか賢い子だな」
「うむ。自慢の息子だ」
「それではそちらのご息女の話を聞かせてもらおう」
「こっちからも頼むわ」
大人達の話は始まった。
部屋を出た僕らは、部屋の外で待っていた執事さんが呼んだメイドさんの後について行き、さっきよりも少し狭い部屋に移った。
「それでは。私は部屋の前で待っておりますので、何かあれば何なりと」
案内を終えたメイドさんは外で待つようだ。
僕はメイドさんが出たタイミングで、早速どうして呼ばれたのか聞いてみた。
「えっとリーフィアちゃんはどうして僕と会いたかったの?」
彼女は僕の質問が聞こえてないのかじーっと僕を見ている。
さっきも見てたけど、やっぱり何かついているのだろうか?
顔洗ってこようかな?
「えっと…」
「間違いない」
「へっ?」
喋ったかと思ったら、続けて彼女は大きく深呼吸してこう言った。
「久しぶり、ひかる」
こうして冒頭へと戻る。
「なんで、その名前を?」
僕は敵かと思い、警戒する。
「だってこんな近くで神の名のつくスキルを授かる者が複数いるなんておかしいもの」
なんだって?
「もしかして、日向?」
「そうだよ。まぁ外見が変わったし気づかないよね」
そう言って髪を指でくるくるといじる。
たしかにこっちの世界に来て、僕もかなり変わったが。
「じゃあそっちははなんで気づいたんだ?」
「さっき案内してくれたメイドさんいたでしょ?マーサって言うんだけど、鑑定のスキル持ちなのよ」
「そして偶々君を見たら魔法が基本属性を全部使えるし、おまけにユニークスキルが神眼だって言うじゃない」
日向は可笑しそうに笑う。
「それに最初はふぅんと思ったけど、私が授かったスキルが神風って言うのでね。私が武術特化だったからもしかしたらって思って」
なるほど。たしかに共通点は多い。
「けど、もしかしたらってことは確証はなかったわけだよな?」
「それは貴方の発言で確信したわ。あまりにも5歳児には不釣り合いな態度だったから」
「うっ…家ではちょっと賢いくらいで通ってたから。
やっぱり変だったのか」
「当たり前でしょ」
日向は呆れたような嬉しそうな声音でそう言った。
こうして僕と日向は再会を果たした。
日向が僕を見つけてくれたおかげで。
「あのー私あまり発言できてないのですが…」
「ルナちゃんそれは作者の実力よ」
「とほほ…」
頑張ります。