11.父様との話
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書き足しと書き直し、行間を開けましたので読みやすくなっていれば幸いです。
「ご…じ…さま。ごしゅ…さま。ご主人様」
誰かに揺さぶられながら僕は目を覚ました。
「おはようございます。ご主人様」
「おはよう。ルナ。早いね」
起こしに来たルナはメイド服を着ていて、とても可愛かった。
「はい!えっと旦那様に起こしてくるように言われたので」
「わかった。じゃあルナも一緒に行こう」
「はい」
ルナは今朝から元気いっぱいの笑顔を向けてくる。
「ルナ、そのメイド服にあってるね。可愛いよ」
「えっと、あの、そのーありがとうございます」
最後の方は何言ってるかわからなかったけど照れてる姿も可愛い。
「ひゃあ!」
「ご、ごめん」
ついつい可愛く動く猫耳を触ってしまった。
反射的に謝ったが、
「ふにゃー」
何やら気持ち良さそうだ。
しばらくフニフニしているとどうやら我に帰ったようで。
「はっ!すみません!気持ちよすぎ、ではなく、その…」
慌てている姿も可愛い。
ちっちゃい頃の弟を思い出すな。
「あっ」
そんな風に物思いに耽っているとルナが盛大にこけた。
ビリリ
うわーやってしまった。
これはトルネ怒るだろうな。
「ど、どうしましょう」
ルナは涙目で僕に聞いてくる。
迷った末に僕は……
「よし、着替えよう!そして隠せば大丈夫だよ」
「わ、わかりました」
そう言ってルナは目の前でいきなり服を脱ぎ始めた。
「ちょ、ごめん外出るから」
すぐに外へ逃げ出た僕は今更になって思う。
(なんで5歳児の裸見て焦ってんのさ)
そう思いながら僕はルナが着替え終わるのを待った。
顔を洗い準備が出来たので朝食を取りに行くと父様と母様がいた。
「おはようございます」
「おはよう。レン、突然だが少し話がある」
「はい」
僕はルナを連れて席に着いた。
「ルナ?席につかないの?」
「奴隷は普通主人の後ろに立つか。床で食べるものなのよ」
母様がそう教えてくれた。
「そう…ですか」
僕は改めて奴隷の立場を認識した。
けど、
「ルナこっち来て椅子に座って。一緒に食べよう」
「ですが…」
後一足かな。
「僕が一緒に食べたいんだ。だめかな?」
「い、いえ…失礼します」
僕はルナが座ったのを確認してから2人に向き合った。
「お前は変わっているな。レン」
「…そうなのでしょうか?けど、父様や母様も奴隷に対してあまり差別的ではないですよね」
僕がこう思ったのは、ルナに対しての態度だけでなく、父様と母様は僕が奴隷を持ちたいと言った時、少し驚いた後こう言ったからだ。
「お前はその子を一生面倒見るきはあるのか?気まぐれではないか?もしお前が中途半端な気持ちで奴隷持ちたいなどと言っているのなら私はそれは認められない」
「私も同じ気持ちよ、レン。あなたが奴隷に対して自分の思うままに酷い扱いをするのなら、私は反対だわ」
僕は驚いたよ。
だって普通、異世界での奴隷を持つことに貴族なら物のように扱うのがお決まりだ。
奴隷に寛容であるはずがなかったからだ。
だから僕は父様と母様に感謝の気持ちと疑問を抱いた。
「私たちは昔から奴隷の扱いに疑問があったのよ。それに……ううん、なんでもない」
母様が気になる発言をしたと同時に、4人分の朝食が出てきた。
ここの宿の朝食はスープとパンとお肉が少しの割と贅沢なものだった。
この世界では肉は貴重だからな。
「それで話とはなんだったのですか?」
「うむ。実はな…お前には来月から王都の学園に通ってもらうことになる」
「はい!?それはもう決まっているのですか?」
「ああ、もう決まっている」
なんてこった後三年くらい修行してから、冒険者になるつもりだったのに……。
「ちなみに期間はどのくらいですか?」
「3年だ。実は私もサラもお前が魔法の才能があることはわかっている。自主的に魔法を練習していることもな。頭のいいお前ならわかるだろ?」
ぐっ!まさかバレているとは。
しかし、父様の言いたいことはわかる。
「はい。王都の学園で優秀な成績を残し、名を広めることですね?」
「うむ。1人で行かせるのは不安ではあったが、今朝方、王都のラフェルタ伯爵のご息女が君とぜひお会いしたいとの書状を受けてな。その子も来月から王都の学園に通うことになっているし、面識のある者がおるなら安心だからな」
「…ラフェルタ伯爵の娘さんはなぜ僕なんかとお会いになりたいと?」
「それはお前のユニークスキルが神に関するものだったからではないかと私は思っている。その子はちょうどお前と入れ違いで祝福を受けたらしいのだが、その子も神に関するものだったそうだ」
神に関するもの何かスキルには括りがあるのだろうか?
「それで運命を感じた、と?」
「そうなんだろうな」
ニヤニヤしやがって父様ってこんな人だったか?
「まぁ、立会いの印象はどうであれルナがいるのだから、王都の学園行きは変わらない」
一人なら行かなくて済んだのか。
まぁルナがいてくれるなら三年ぐらい耐えるが。
「わかりました。立会いはいつになるのでしょうか?」
「明日の昼ごろ伯爵家で立会うことになっている」
「では今日は自由にしていても?」
「かまわないが、宿から出るのは禁ずる。何かあればトルネに任せてある」
「わかりました」
「それでは私とサラは挨拶回りに行ってくる」
「行ってらっしゃい」
明日の予定は決まってしまったが、今日はなにをしようか。
外に出られないなんて。
はぁ憂鬱だ。