アリストテレスレイプ!形相と化した空手部
木村「続いてはアリストテレスに就いてやっていきますよ。ソクラテス、プラトン、アリストテレスは古代ギリシアの三大哲学者として有名ですね」
三浦「アリストテレスは流石に耳にしたことあるゾ。確か…ウニか何かに『アリストテレスの提灯』って名前の臓器があったはずゾ」
野獣「流石っすね三浦さん、確かにウニの口にはアリストテレスの提灯という咀嚼器があるんすよね」
木村「はい、三浦先輩の言ってくれた通り、アリストテレスは哲学だけでなく生物も研究していたんですよ。それは彼の書いた『動物誌』という本に書かれてあります」
野獣「はぇ~。やっぱアリストテレスは凄いんすねぇ」
木村「ええ。『万学の祖』と言われるだけの業績も伴っているから凄いですね。…それでは哲学の話に移っていきましょう。三浦さん、以前話したプラトンのイデア論について、何か疑問がありませんか?」
三浦「疑問?…ポッチャマ…(思考停止)」
野獣「駄目みたいですね(諦め)」
三浦「…あっ、そうだ。粘土で作られた椅子があったとして、そこには椅子のイデアが宿るわけゾ?でも一旦崩して、同じ粘土で机を作ったとしたら、椅子のイデアはどうなってしまうのだゾ?」
木村「その通りです。そこにアリストテレスは目を向けたのです」
野獣「しかし、どうしてアリストテレスはイデア論について疑ったんでしょうかね?今の三浦さんみたく、無批判に受け入れてしまいそうですけど」
木村「それは彼が動物について研究している時、現実の生き物がどうも偽物とは思えなかったから、らしいですね。イデア論では我々の見えているものは全て偽物扱いですから」
野獣「やっぱり彼は生き物好きなんすねぇ」
木村「そしてアリストテレスは、物や生き物の本質はイデアなどではなく、個別の中にあると考えたんですね。…彼はそれらの本質は『形』だと辿り着きました。これを『形相』と言います。例えば椅子があったとして、プラトンなら椅子のイデアだと言いますが、アリストテレスは椅子の『形相』、つまり椅子の形があると言ったんですね」
三浦「形なのかゾ…?(純粋な疑問)」
木村「先ほど三浦先輩が挙げてくれた粘土の例は、イデア論では矛盾してしまいますが、アリストテレスなら椅子の形相、机の形相と表せますよね?」
三浦「…あっ、ホントだゾ!形で表せば食い違うことなんて無いゾ!」
木村「更にアリストテレスは、その形相を作り上げている素材を『質料』と言いました。粘土の椅子の例で言えば、「粘土という質料」をもとに「椅子の形相」を生み出したわけです」
野獣「つまり、全ての物や生物は『形相』と『質料』の二つから構成されている、という事だろ?」
木村「その通りです。つまりアリストテレスは、プラトンとは違って現実的な考え方をした訳ですね。その『形相』と『質料』の関係を、アリストテレスは更に解明していきます。…例えば種があったとして、そこから芽が生えますよね?」
三浦「当たり前だよなぁ?ちゃんと世話していれば芽が出るはずゾ」
木村「それを言い換えると、『その種は未来、芽が生える』という"可能性"を持っていませんか?」
三浦「そうだよ(便乗)…世話していれば芽が出るはずだし、世話しなければ枯れてしまうゾ」
野獣「ちゃんと世話してあげて、どうぞ」
木村「その種の例からも分かる通り、種は芽を出すという可能性を持っています。更に芽は成長して木になる可能性もありますよね?」
三浦「そうだゾ。そして永遠に続くんだゾ…」
木村「ご明察の通りです。…アリストテレスは全ての質料の中に、未来実現されるであろう形相が眠っているだろう、と考えたんです。種の中には芽の形相になれる可能性がある。芽の中には木の形相になれる可能性がある。…これを『可能態』と呼びます。そして、その形相を実現させている状態を『現実態』と呼称したわけですね」
野獣「つまり、どんな物にも他の何かになれる『可能態』と、その物の形相が実現されている『現実態』があるわけだな。…そしてこの二つは同時に備わっている」
三浦「分かったゾ!…さっきの種なら、種の形相という現実態と同時に、芽の形相になれるかもしれないという可能態があるわけだな!」
木村「そうですよ。…つまり鈴木先輩にはホモビ男優という現実態と同時に大物YouTuberと言う可能態があるわけですね」
三浦「…こんなステロイドを誰が好んで観たがるのかゾ?」
野獣「三浦さん結構辛辣ッスね」
木村「更にアリストテレスは世界について研究していきます。…彼は全ての物事は四つの原因のお陰で成立してる、と言ったんです」
三浦「おっ、待てぃ(江戸っ子)形相と質料はどうなったのかゾ?」
木村「それは『要素』に過ぎません。…それだけでは、どうして現実態から可能態へ変化していくのか説明出来ないでしょう?」
三浦「あっ、そっかぁ」
木村「ここで彼は『形相因』『質料因』『目的因』『作用因』を提案しました。…形相因は「その物の形」、質料因は「その物の素材」と、ここまでは形相や質料とは変わりません。大事なのは目的因と作用因で、前者は「その物が目指すもの」、後者は「それを変化させる要因」です」
野獣「んにゃぴ…やっぱり目的因と作用因が難しいですね」
木村「鈴木先輩、例えば電話があったとして、電話に何を求めますか?」
野獣「えっ、そりゃあ遠く離れた相手と会話するためでしょ(断言)」
木村「そうです。…それが『目的因』です。何事にも目的が備わっているとアリストテレスは考えました。家なら住みやすさ、椅子なら座ることを求めますね?…これこそ全て目的に付随しているんですね」
三浦「じゃあ『作用因』ってのは何ゾ?」
木村「それは『物を変化させる要因』です。…木があったとして、それを鋸で切ったりして木の椅子を作り上げたとして、その行動こそが『作用因』ですね」
野獣「なるほど、つまり目的因と作用因は変化させるための要因、形相因と質料因は要素の要因ってわけだな」
木村「その通りです、先輩」
三浦「すっごく深いゾ…」
木村「そしてアリストテレスは色々なものについて形相や質料のもと、分析していきます。…例えば目の前にアイスティーがあったとして、それについて『アイスティーの形相とは何か』、『アイスティーの質料はなんだろう』、『アイスティーとはそもそも何なのか?』と考え始めます。…このように、実際見える物事を超越した物事を考察することを『形而上学』と呼ばれますね」
三浦「じゃあ、プラトンのイデア論は形而上学に分類されるのかゾ?」
木村「その通りです。…また彼は、物や生物の固有の機能を発揮している時こそ最も幸せである、そして人間の固有の機能は「理性」だから、人間にとって物事を探求している時こそ最も幸せだと考えました。…これを『観想』と呼びました」
野獣「つまり、鳥にとって固有の機能は翼だから、飛ぶことこと鳥にとっては最も幸せだと考えるんだろ?」
木村「はい。また、人間が幸せになるには『知性的徳』と『倫理的徳』が必要だとアリストテレスは考えました。…知性的徳とは、物事を理解する"知恵"、物事を判断する"思慮"、作り出すための"技術"の三つを纏めたものです。逆に倫理的徳はソクラテスが説いたような"勇気"や"節制"のことを言ったんですよ」
三浦「知性的徳と倫理的徳が合わさって初めて幸せになれるのかゾ…?」
木村「そう言う考えですから、今は無理に納得する必要は無いですよ。…アリストテレスにはアリストテレスの、三浦先輩には三浦先輩の考え方がありますから」
野獣「当たり前なんだよなぁ。…哲学に答えはない、はっきりわかんだね」
三浦「おっ、そうだな」
木村「…話に戻りますが、アリストテレスは倫理的徳を身につけるには常に『中庸』をとる習慣こそ大事だと言ったんですね」
三浦「中庸って何ゾ?」
野獣「つまり『真ん中』って事ですよ、三浦さん。1人で龍退治に行くのは"無謀"だけど、退治に行かないのは"臆病"。…仲間を集めて龍退治に行くことこそ"勇気"と言った具合に、極端すぎてはダメだと言ったんです」
三浦「何か分かる気がするゾ。…日本人特有の精神に似ているような…」
木村「確かに我々は、どちらかと言うよりどちらでもない方が選びやすいですからね。それと類似しています」
三浦「アリストテレスは日本人だった可能性が微粒子レベルで存在している…?」
野獣「ないです」
三浦「あっ、そっかぁ…」
木村「…話を続けますが、アリストテレスは『人間は共同体的動物である』と言いました。共同体を維持するには正義や公正を維持しなくてはならない…そう考えた彼は正義を『全体的正義』と『部分的正義』に分け、更に部分的正義を『配分的正義』と『調整的正義』に分類しました」
三浦「色んな正義が出てきたゾ…」
木村「まず『全体的正義』とは、一般的なものです。暴力してはいけない、昏睡レイプしてはいけない等々の事です。常識と捉えてくれればOKです。…そして『配分的正義』は、共同体の中の正義です。『配分的正義』とは労働量などによって報酬の大小を分ける事です。…例えば、同じバイトを3時間アルバイトした人と6時間アルバイトした人の報酬が同じなら不公平ですよね?」
野獣「その場合は6時間アルバイトした人に3時間アルバイトした人の2倍の報酬を渡すことこそ『配分的正義』ってわけだな」
木村「その通りです。…続いて『調整的正義』ですが、罪を犯した人には懲役を、罪を受けた被害者には補償を、と言ったように調整することで公平さを保とうとした訳ですね」
三浦「つまり調整的正義は全体的正義を破った人に施行される正義の事かゾ?」
木村「まあ、そうですね。…全体的正義という管理のもとに調整的正義が置いてある、と考えてくれればOKです」
野獣「それにしてもアリストテレスは難しいっすねぇ。これが紀元前384年生まれとか天才過ぎませんかね…」
木村「そういやアリストテレスはプラトンのように、『リュケイオン』と言う学園を開いたんですよ。そこの回廊を歩き回りながら弟子達と議論したため、彼の哲学は『逍遥学派』とも呼ばれますよ」
三浦「はえ~」
木村「まあ、彼の哲学から色々な人が影響を受けましたからね。…中世ヨーロッパはアリストテレス哲学ありきの状態だったらしいですし。…ここら辺の話は後にします。さて、続きに行きましょうか」