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迫真空手部・哲学の裏技  作者: そのまんま東のような人物のイラストをイメージ画として自身が一種の淫夢系のキャラクターとして扱われている、近年ではイワナ系朗読やFXで有り金を溶かしたりしている朗読兄貴
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論理実証主義レイプ!パラダイム・シフトと化した空手部

木村「以前に構造主義をやりましたが、今回はそれを展開したり批判したりする哲学者についてやっていきます」


野獣「オッスお願いしま~す」


木村「最初に、レヴィ=ストロースを代表する構造主義は、実存主義を倒し、世界に広がりました。そんな構造主義の思想を批判したりした考えが『ポスト構造主義』です。言い換えて『後の構造主義』ですね」


野獣「つまり構造主義の影響を受けた思想って事だな」


木村「その通りです、鈴木先輩。…まずはデリダについてやっていきます。彼は西洋の哲学を分析し、『二項対立』と言う概念を説いたのです」


三浦「『二項対立』って何ゾ?」


木村「例えばですが、「善」と「悪」の二つの概念があったとします。先輩がたは、どちらの概念のほうが優れていると考えますか?」


野獣「善でしょ」


三浦「善なんだよなぁ」


木村「お二人がたは『善』と答えました。このように『主観・客観』や『真・偽』と言った二つの概念は対立します。そして、どちらかには根拠のない優位性があるのだ、と捉えたのです」


野獣「確かに『主観』は『客観』より優れてると思えるし、『真』は『偽』より優位性があると思えるわ」


木村「これこそが『二項対立』です。この背反した二つの概念の優劣によって西洋哲学は発展してきたのだ、と彼は考えました」


三浦「よくよく考えてみると、どっちも同じ価値の概念なのに、どうして優劣があるんだろうな?」


野獣「女性の参政権が男性の参政権より普及が遅かったのも、こうした二項対立の優位性があったんだろうな」


木村「この二項対立で概念どうしを隔てる線を『対立軸』と言います。さっきの場合の『善と悪』であったら、『と』という助詞が対立軸ですね」


野獣「要するに二項対立を作り上げている壁だろ?」


木村「はい。ですからデリダは、こうした対立軸を取り除くことで構造主義から脱却したのです。これを『脱構築』と言います」


三浦「レヴィ=ストロースも、『文明の思考』と『野生の思考』という二項対立を言ってたなぁ…」


木村「例えばですが、スーパーのお菓子を万引きした子供がいたとします。この場合、この子供は『悪』ですよね?」


野獣「万引きはよくない」


三浦「そうだよ(便乗)」


木村「ですが、実はその子供は万引きをさせられていた。本当はいじめっ子に無理矢理やらされていたんです。…果たして『悪』は誰ですか?」


野獣「いじめっ子でしょ(即答)」


三浦「そうだよ(便乗)」


木村「便乗先輩きらい」


三浦「そうだよ(便乗)」


野獣「えぇ…」


木村「今、『"悪"は誰か?』という質問に答えがコロコロ変わりました。そうです、二項対立の概念の優位性は簡単に逆転できるんです」


野獣「二項対立は危険だぁ…」


木村「ですからデリダは、こうした二項対立の関係性を危惧しました。なぜなら、簡単に関係性が変わってしまうからです。ですから脱構築を唱えました」


三浦「デリダ兄貴かっこいい」


木村「また、西洋では『文字』は『声』を代用するためのコピーだと考えられています。つまり、「文字」とは「声」の翻訳者だったのです。これを『音声中心主義』といいます」


野獣「つまり「声」のほうが「文字」より優位性があるのか?」


木村「『二項対立』の考えでは、「声」のほうが「文字」より優位性が存在するのです。…しかし、音声中心主義は危険でした。何故なら、相手に分かりやすく聞いてもらうために偏向してしまう恐れがあったからです」


三浦「文字では、誰にも依存しないで書くことができる。しかし声だと、聞いてもらう側に依存してしまう。だから分かりやすさを重視してしまう…」


野獣「夜間に演説を行ったナチスみたいだな」


木村「そうです。しかし彼は考えました……『文字』は『声』の正確なコピーではないと気づいたのです。声が文字に変わった瞬間、それは動的存在から静的存在へと変わるからです」


野獣「『声』は誰かに聞いてもらえないと意味がないし、一生残らない。しかし『文字』では、確かに誰かに見てもらえないと意味がないけど、一生そこに残る」


三浦「確かに録音機とかの発明もあったけど、こうした場面では『声』と『文字』の性質はぜんぜん違うな」


木村「はい。そして、『声』を『文字』にするには時間がかかります。こう言った『時間のズレ』も存在するのです。ですから、声と文字の価値は同等なのです。何故なら、どっちも性質が違うから」


野獣「当たり前だよなぁ?」


木村「この場合、性質の「ズレ」と言い、時間の「ズレ」と言い、二項対立の間には「ズレ」があると考えました。このズレこそを『差延』と言い、この差延は永遠に繰り返されるのです」


三浦「文字から声へ"差延"し、声から文字へ"差延"する。また文字から声へ"差延"し、再び声から文字へ"差延"する…」


野獣「優劣ないですね(確認)」


木村「続いてはサイードです。彼もポスト構造主義者なのですが、デリダとは違う概念を提唱します。それは『オリエンタリズム』というものです」


三浦「オリエンタル〇ンド?」


野獣「ハハッ」


三浦「消される!消される!」


野獣「一体何の事でしょうかね~?(すっとぼけ)」


木村「冗談ならないシャレはやめろ(建前)やめろ(本音)」


三浦・野獣「ゆるして」


木村「…話を本筋に戻します。西洋から見た東洋とは、得体の知れない存在でした。彼らはキリスト教を信仰していなくて、しかも近代的ではなかったのです」


野獣「アツゥイ!東洋への風評被害」


木村「こんな東洋人を見た西洋人は、東洋人に対して「なんなんだコイツらは」と考えます。そして東洋のイメージを『怠惰』『非論理的』といった具合に悪く変化させたのです」


三浦「西洋人の完全なこじつけだぁ…」


野獣「頭に来ますよ!」


木村「こうした悪いイメージが東洋に対してあったからこそ、西洋人は「お前らに正しい知識を教えてやる」と考えながら植民地支配したのです」


野獣「これは酷いですね…これは酷い」


木村「こうした表面的なイメージを『オリエンタリズム』と言います。こうしたオリエンタリズムを克服するためには多文化主義が必要だ、と考えたのです」


三浦「おっ、そうだな」


野獣「ちゃんと(多文化)咥え入れろ~?」


木村「次はトマス・クーンです。彼は科学のあり方について考えたのです」


野獣「クゥーン…」


三浦「トマス・クーンに失礼だろ!いい加減にしろ!!」


木村「そんな彼は、科学のあり方を変化させました。今までの科学は、進歩することによって徐々に真実へと近づくものだと信じられてきました。しかし、全く新しい真実が次々と発見されていったのです」


野獣「確かに天動説が主流だった時代に地動説が唱えられたら、困惑間違いなしだもんなぁ…」


三浦「ニュートン力学が主流だった時に唱えられたアインシュタインの相対性理論もそうだゾ」


木村「こうした時代の思考の枠組みを『パラダイム』と呼びます。そしてパラダイムは変化します。天動説から地動説へ変化したように、パラダイムが変化することを『パラダイム・シフト』と言うのです」


野獣「今でもパラダイム・シフトってよく言いますねぇ!」


木村「こうしたパラダイム・シフトによって、科学は進歩することによって真実へと近づくのではなく、断続的に真実が変化していくのです」


三浦「そうだゾ^~コレ」


木村「こうしたパラダイムは、科学をもとに語られます。これは資本主義経済が発展し、科学が発展したからです。これに便乗して、マルクスの「唯物史観」やフロイトの「無意識」など、何の根拠もないまま科学のように語られていたのです」


野獣「科学への便乗やめーや」


木村「こう言った便乗に危機感を覚えたのがウィーン学団です。彼らは観察や実験で検証できる論理を「科学的」、できないものを「非科学的」と統一したのです」


三浦「分かるゾ」


木村「しかし、彼らは気づきました。前期ヴィトゲンシュタイン哲学で言ったように、事実と対応しない文は言葉の誤用です。つまり哲学とは無用の知識だったのです」


野獣「ファッ!?」


木村「ですから彼らは、実証できる科学的事実のみ正しい知識とする『論理実証主義』を唱えます。しかし、この科学的事実は更新されていくのです」


三浦「それこそがパラダイム・シフトだな」


木村「そうです。しかし三浦先輩が仰ったように、パラダイム・シフトと言ったような更新があるのです。このパラダイム・シフトが起こる前に、一体どのような事が起こっているのでしょうか?」


野獣「新たな発見、とか?」


三浦「今までの科学では説明のつかない現象を見つけた、とかでしょ」


木村「基本的には先輩がたの言ってくれた通りです。どんな完璧な理論でも、新たな発見の一つがあれば簡単に覆せたのです。そうです、実証によって正しい知識とする『論理実証主義』には無理があったのです。これを唱えたのがポパーでした」


野獣「白鳥の99%が白く、残りの1%が黒い理論があるとして、赤い白鳥が見つかったら理論を覆せるな」


三浦「新発見が理論を覆して、パラダイム・シフトが生まれる…こう言いたいのか?」


木村「そうです。こう言った「新発見」、さっきの例で言う"赤い白鳥の発見"を、ポパーは『反証』と呼びます。こう言った反証があったら、理論は覆されます。ですから「反証できるか、それとも反証できないか」という判断基準が大切になります。これを『反証可能性』と言います」


野獣「この『反証』によってパラダイム・シフトが起こっていったのか…」


木村「はい。ですから、ポパーから見た科学的事実とは「未だに反証されていない理論」なのです。つまり科学とは、反証された場合に「素直に認められる」ものなのです」


野獣「哲学だったら、感性や直感で成り立ってるから反論されるな。だからサルトルとレヴィ=ストロースの論争が起こった」


三浦「でも科学だったら、反証されたら素直に認めるしかない…何故なら反論のしようがないから」


木村「今言ってくれた通りです。こう言った科学的事実があって、今の我々が成り立っているんですね」


野獣「はえ^~」


木村「さて、今日はここまでです。もう現代ですね(笑)」


野獣「なにわろてんねん」


木村「すみません」


三浦「もっと草生やせ」


木村「草」

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